表紙。 富山県障害者差別解消ガイドライン。 令和6年9月改訂。 富山県。 表紙裏。 はじめに 県では、すべての障害のある人が安心して暮らすことのできる社会を実現するため、平成26年12月に「障害のある人の人権を尊重し県民皆が共にいきいきと輝く富山県づくり条例」を制定しました。 この条例は、障害を理由とする差別の解消について、基本理念、県や県民の責務、障害を理由とする差別の解消に関する施策の基本事項を定めており、「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」とともに、平成28年4月1日に施行されました。 このガイドラインは、法や県条例で規定されている「障害を理由とする差別」について、基本的な考え方とともに、障害のある人の日常生活や社会生活において特に配慮すべき事項を示すために策定したものであり、相談対応や紛争解決の際の判断基準ともなるものです。 令和3年6月の法改正により、当初努力義務としていた事業者による合理的配慮の提供が義務化され、令和6年4月1日に施行されました。県では、条例制定当初より行政機関等をはじめ、すべての事業者や個人に対して合理的配慮の提供を義務としており、対応についてはこれまでと変わりはありませんが、法の改正では、環境の整備、相談体制の整備、普及啓発活動等について重点的に規定がされ、差別の解消に向けてのより強い意識が求められています。 障害や障害のある人に対する理解を深め、障害のある人も障害のない人もみんながお互いにかけがえのない個人として尊重しあいながら、共にいきいきと輝く富山県づくりに取り組みましょう。 目次。 T ガイドライン策定の趣旨、 1ページ。 1 背景。 2 目的。 3 位置付け。 4 対象者。 5 対象分野。 6 その他。 U 障害を理由とする差別とは、 4ページ。 1 障害を理由とする不利益な取扱い。 2 合理的配慮の不提供。 V 「障害を理由とする不利益な取扱い」や「合理的配慮の提供」の具体例、10ページ。 1 分野別。 2 障害別。 W 相談体制と紛争解決(相談体制、紛争解決のしくみ)、 61ページ。 1 地域相談員や広域専門相談員による相談対応。 2「富山県障害のある人の相談に関する調整委員会」での紛争解決。 参考資料、 62ページ。 P1。 T ガイドライン策定の趣旨。 1 背景。 近年、障害のある人の権利擁護に向けた取組みが国際的に進展しており、平成18年には「障害者の権利に関する条約」(以下「権利条約」という。)が国連総会で採択されました。日本は、平成19年に権利条約に署名し、国内法の整備をはじめとする取組みを進め、平成26年1月に批准しました。 国は、平成16年の障害者基本法の改正で、基本的理念として「障害を理由とする差別の禁止」を明示し、平成23年の同法の改正で、差別禁止の基本原則として「障害を理由とする差別の禁止」と「合理的配慮の提供」を規定しています。また、この基本原則を具体化するため、平成25年に「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」(以下「障害者差別解消法」という。)を制定しました。 障害や障害のある人に対する理解が徐々に深まってきているとはいえ、今なお、日常生活や社会生活の様々な場で、障害を理由とする差別や社会的な障壁があり、障害のある人は暮らしにくさを感じています。 平成25年1月に、県が障害のある人を対象に行った「富山県身体障害者・児ニーズ調査」によると、「障害のある人に対する周囲の理解が進んでいない」、「進んでいるが不十分」との回答が6割を占めています。その理由として、多くの人が「障害が正しく理解されていない」ことを挙げています。 こうした中、本県では、障害を理由とする差別の解消に向けて、平成25年11月から、県議会議員によるプロジェクトチームで条例制定の検討が行われました。障害者団体をはじめ、商工、交通、教育、医療、福祉など各方面の意見を反映した条例案がまとめられ、平成26年12月に「障害のある人の人権を尊重し県民皆がいきいきと輝く富山県づくり条例」(以下「県条例」という。)が成立しました。県条例は、障害者差別解消法と同じく平成28年4月1日に施行されました。 2 目的。 障害者差別解消法や県条例では、「障害を理由とする差別」として、 ○ 正当な理由なく障害を理由として不利益な取扱いをすること、 ○ 社会的障壁を取り除くために必要かつ合理的な配慮をしないこと、 を規定し、障害のある人に対してこれらの差別をすることを禁止しています。 このガイドラインは、これらの差別を未然に防止するとともに、障害や障害のある人への理解を深めていただくために策定するものであり、差別についての基本的な考え方や、障害のある人の日常生活や社会生活において特に配慮すべき事項を定めています。 P2。 また、このガイドラインは、障害を理由とする差別に関する相談対応の判断基準や、紛争解決のための助言・あっせんの申立てがあったときの「富山県障害のある人の相談に関する調整委員会」における判断基準にもなるものです。 なお、不利益な取扱いや合理的配慮について、より一層理解していただけるように、生活の様々な分野ごと、障害ごとの具体的な事例も併せて示しています。 3 位置付け。 県条例第8条第3項に基づき策定するものです。 なお、策定にあたっては、国の「障害を理由とする差別の解消の推進に関する基本方針」(平成27年2月24日閣議決定)や障害者差別解消法第11条第1項に基づき主務大臣が定める「事業者が適切に対応するための指針」を踏まえています。 4 対象者。 (1)「障害のある人」とは。 県条例における「障害のある人」とは、障害者基本法や障害者差別解消法における定義と同じです。すなわち、身体障害、知的障害、精神障害(発達障害及び高次脳機能障害を含む)、その他の心身の機能の障害(難病等に起因する障害を含む)(以下「障害」と総称する。)がある人であって、障害や社会的障壁によって継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態にある人のことをいいます。 これは、「障害のある人が日常生活又は社会生活において受ける制限は、障害のみに起因するのではなく、社会における様々な障壁と相対することによって生ずるもの」という、いわゆる「社会モデル」の考え方を踏まえています。したがって、「障害のある人」は、それぞれの状況等に応じて個別に判断されることとなり、いわゆる障害者手帳の所持者に限られるものではありません。 (2)「何人も」とは。 県条例では、「何人も」障害を理由とする差別をしてはならないとされています。 「何人も」とは、障害の有無にも、個人・法人の別にも、営利・非営利の別にもかかわらず、あらゆる人(事業者、機関等を含む)を指します。 なお、県条例では差別を禁止する対象を「何人も」としていますが、障害者差別解消法では「行政機関等及び事業者」としています。 5 対象分野。 障害のある人の日常生活や社会生活に関するすべての分野が対象となります。 P3。 6 その他。  県内の障害者に対する理解については、県政世論調査において「障害のある人に対する差別があると思う人」の割合が、平成28年度の59.8%から令和4年度には74.8%に増加しており、障害や障害のある方に対する理解促進と差別の解消に一層努める必要があることから、今回の法改正を機にさらなる普及啓発のため本ガイドラインの充実を図るものです。 今後も国の動向や社会経済情勢の変化、障害を理由とする不利益な取扱いや合理的配慮の事例の集積等を踏まえ、適宜必要に応じて本ガイドラインの見直しや充実を図っていきます。 <ガイドライン参照にあたっての留意事項 >。 本ガイドラインで「望まれます」と記載している内容は、それに従わない場合であっても、障害者差別解消法や県条例に反すると判断されることはありませんが、障害者基本法の基本的理念や、障害者差別解消法と県条例の目的を踏まえて、できるだけ取り組むことが望まれることを意味しています。 また、本ガイドラインに記載している「障害を理由とする不利益な取扱い」や「合理的配慮の提供」の具体例は、それぞれ「正当な理由」や「過重な負担」が存在しないことを前提としています。また、これらの具体例は、あくまでも例示であり、一律に実施を求めるものではなく、また記載のないものは差別ではないということではありません。 実際には、個別の事案ごとに具体的場面やその場の状況に応じて判断することが必要です。 【コラム】。 障害者差別解消法の改正と県条例の規定。 障害者差別解消法は、令和6年4月1日に改正法が施行されています。 改正内容のポイントは、合理的配慮の提供義務の範囲が拡大されたことです。 法の対象である行政機関等と民間事業者のうち、行政機関には合理的配慮の提供は当初より「義務」、民間事業者には合理的配慮の提供は「努力義務」が課せられていましたが、法の改正によって、民間事業者に対しても合理的配慮を提供することについて「義務」が課せられることになりました。 一方、富山県の条例では、「何人も」と全ての人を対象として合理的配慮の提供は条例施行当初より「義務」としています。 P4。 U 障害を理由とする差別とは。 1 障害を理由とする不利益な取扱い。 (1)「障害を理由とする不利益な取扱い」とは。 「障害を理由とする不利益な取扱い」とは、正当な理由なく、障害を理由として、障害のある人の権利利益を侵害することです。 <不利益な取扱いの例>。 ・ 商品・サービスや各種機会の提供を拒否する。 ・ 商品・サービスや各種機会の提供にあたって、場所や時間帯などを制限する。 ・ 障害のある人に対して、障害のない人には付けない条件を付ける。 注釈、車いす、補助犬その他の支援機器等の利用や介助者の付き添い等、社会的障壁を解消するための手段の利用等を理由として行われる不利益な取扱いも、障害を理由とする不利益な取扱いとなります。 (2)「障害を理由とする不利益な取扱い」の留意点。 障害のない人と事実上平等にするために、障害のある人に対して特別な対応を行うことは、不利益な取扱いではありません。 <特別な対応の例>。 ・ 障害のない人と比べて優遇する取扱いをすること(積極的改善措置)。 ・ 合理的配慮を提供するため、障害のない人との異なる取扱いをすること。 ・ 合理的配慮を提供するため、プライバシーに配慮しつつ、障害の状況等を確認すること。 (3)「正当な理由」の判断。 障害を理由とする不利益な取扱いであるかどうかの判断には、「その取扱いを行う正当な理由があるかどうか」がポイントとなります。 正当な理由に相当するのは、「客観的に見て正当な目的の下に行われたものであり、その目的に照らしてやむを得ないと言える場合」です。正当な理由に相当するかどうかについては、「個別の事案ごとに、障害のある人、その取扱いを行う人、第三者の権利利益(例:安全の確保、事業の目的・内容・機能の維持、損害発生の防止等)について、具体的場面やその場の状況に応じて総合的・客観的に判断する(注釈)こと」が必要です。 判断にあたっては、具体的な検討をせずに正当な理由を拡大解釈するなど、障害者差別解消法や県条例の趣旨を損なうことのないようにしなければなりません。「事故が起こるかもしれない」、「危険かもしれない」といった抽象的なことを「正当な理由」として、サービスや各種機会の提供等をしないことは適切ではありません。 P5。 また、正当な理由があると判断した場合は、障害のある人にその理由を説明し、理解を得るよう努めることも望まれます。 注釈、客観的に判断するとは、判断が客観的な事実によって裏付けられ、第三者の立場から見ても納得を得られるような客観性があることをいいます。 (4)分野別にみた「障害を理由とする不利益な取扱い」と「正当な理由がある場合」。 障害のある人の日常生活や社会生活に関わる分野における「障害を理由とする不利益な取扱い」と「正当な理由がある場合」の例は、次のとおりです。 福祉サービス。 福祉サービスを提供する場合。 障害を理由とする不利益な取扱い。 ◆障害を理由として、福祉サービスの提供を拒否したり、制限したり、これに条件を付けたりするなど。 ◆障害を理由として、障害のある人の意に反して障害者支援施設などへの入所や入居を強制すること。 正当な理由がある場合。 ◆障害のある人の生命や身体の保護のためやむを得ないと認められる場合など。 ◆障害者総合支援法に規定する相談支援が行われた場合など。 医療。 医療を提供する場合。 障害を理由とする不利益な取扱い。 ◆障害を理由として、医療の提供を拒否したり、制限したり、これに条件を付けたりするなど。 ◆障害を理由として、障害のある人の意に反して長期間の入院などの医療を受けることを強制したり、隔離したりすること。 正当な理由がある場合。 ◆障害のある人の生命や身体の保護のためやむを得ないと認められる場合など正当な理由がある場合など。 ◆法令に特別の定めがある場合など。 商品販売・サービス。 商品を販売したり、サービスを提供する場合。 障害を理由とする不利益な取扱い。 ◆障害を理由として、商品の販売やサービスの提供を拒否したり、制限したり、これに条件を付けたりするなど。 正当な理由がある場合。 ◆障害の特性により他の者に対し提供するサービスの質が著しく損なわれるおそれがあると認められる場合など。 労働・雇用。 労働者の募集や採用を行う場合。 障害を理由とする不利益な取扱い。 ◆障害を理由として、応募や採用を拒否したり、これらに条件を付けたりするなど。 正当な理由がある場合。 ◆従事させようとする業務を適切に遂行することができないと認められる場合など。 雇用する場合。 障害を理由とする不利益な取扱い。 ◆障害を理由として、賃金や労働時間等の労働条件、配置(業務の配分や権限の付与を含む)、昇進、教育訓練、福利厚生について不利益な取扱いをしたり、解雇したりすること。 正当な理由がある場合。 ◆業務を適切に遂行することができないと認められる場合など。 P6。 教育。 教育を行う場合。 障害を理由とする不利益な取扱い。 ◆障害のある人の年齢や能力に応じ、その特性を踏まえた十分な教育が受けられるようにするために必要な指導や支援を講じないこと。 ◆本人やその保護者への意見聴取や必要な説明を行わずに、又はこれらの者の意見を十分に尊重せずに、就学すべき学校を決定すること。 正当な理由がある場合。 ◆通級による指導、特別支援学級又は特別支援学校における特別の教育課程が、その時点で教育的ニーズに最も的確に応える指導を提供できる場合など。 建築物の利用。 不特定かつ多数の者が利用する建物その他の施設を利用する場合。 障害を理由とする不利益な取扱い。 ◆障害を理由として、建物やその他の施設の利用を拒否したり、制限したり、これに条件を付けたりするなど。 正当な理由がある場合。 ◆建物等の構造上やむを得ない場合、障害のある人の生命や安全の保護のためやむを得ないと認められる場合など。 交通機関の利用。 交通機関を利用する場合。 障害を理由とする不利益な取扱い。 ◆障害を理由として、交通機関の利用を拒否したり、制限したり、これに条件を付けたりするなど。 正当な理由がある場合。 ◆交通機関の施設や車両等の構造上やむを得ない場合、障害のある人の生命や安全の保護のためやむを得ないと認められる場合など。 不動産取引。 障害のある人や障害のある人と同居する者等と不動産の取引を行う場合。 障害を理由とする不利益な取扱い。 ◆障害を理由として、不動産の売却、賃貸、転貸、賃借権の譲渡を拒否したり、制限したり、これに条件を付けたりするなど。 正当な理由がある場合。 ◆建物の構造上やむを得ないと認められる場合など。 情報の提供・コミュニケーション。 障害のある人から情報提供を求められた場合。 障害を理由とする不利益な取扱い。 ◆障害を理由として、情報の提供を拒否したり、制限したり、これに条件を付けたりするなど。 正当な理由がある場合。 ◆その情報を提供することにより他者の権利利益を侵害するおそれがあると認められる場合など。 障害のある人が意思を表示する場合。 障害を理由とする不利益な取扱い。 ◆障害を理由として、意思の表示を受けることを拒否したり、制限したり、これに条件を付けたりするなど。 正当な理由がある場合。 ◆障害のある人が選択した意思表示の方法では障害のある人の表示しようとする意思を確認することに著しい支障がある場合など。 P7。 【コラム】 身体障害者補助犬とは 。 「身体障害者補助犬」とは、目や耳や手足に障害のある人の生活をお手伝いする 「盲導犬」「聴導犬」「介助犬」のことです。特別な訓練を受けて、身体障害者補助犬法に基づき認定されている犬であり、不特定かつ多数の人が利用する施設等(注釈)は、原則として、同伴を受け入れるよう義務付けられています。 障害を理由とする差別には、直接障害を理由とする場合だけでなく、「補助犬の同伴を拒む」など、障害に関連する事由を理由とする場合も含みます。 ※注釈、受入の義務のある施設等は、 国や地方公共団体等が管理する公共施設公共交通機関(電車、バス、タクシー等)。 不特定かつ多数の人が利用する民間施設(商業施設、飲食店、病院、ホテル等)。 事務所や職場(国や地方公共団体等の事務所、従業員50人以上の民間企業)。 受入の努力義務のある施設等:事務所や職場(従業員50人未満の民間企業)、民間住宅。 2 合理的配慮の不提供。 (1)「合理的配慮」とは。 合理的配慮とは、障害のある人から何らかの配慮を求める意思の表明があったときに、過重な負担とならない範囲で、社会的障壁を取り除くために必要かつ合理的な配慮を行うことをいいます。例えば、車いすの人が乗り物に乗る時に手助けをすることや、窓口で障害のある人の障害の特性に応じたコミュニケーション手段(筆談、読み上げなど)で対応することなどが挙げられます。 このような配慮を行わないことで、障害のある人の権利利益が侵害される場合は、差別にあたります。 <社会的障壁とは>。 障害のある人が日常生活や社会生活を送る上で障壁(バリア)となるものすべてを指します。 例えば、社会における事物(通行、利用しにくい施設、設備等)。 制度(利用しにくい制度等)。 慣行(障害のある人の存在を意識していない慣習、文化等)。 観念(障害のある人への偏見等)、などです。 (2)「合理的配慮」の留意点。 求めることのできる合理的配慮は、次のようなものに限られます。 ○事業等の目的や内容、機能に照らし、必要とされる範囲で本来の業務等に付随するもの。 ○事業等の目的や内容、機能の本質的な変更に及ばないもの。 P8。 ○障害のない人と同等の機会の提供を受けるためのもの。 また、合理的配慮は、障害の特性や配慮が求められる具体的場面や状況に応じて異なり、多様で個別性の高いものです。このため、障害のある人の状況を踏まえて、代替手段の選択も含め、当事者間の対話による相互理解を通じて、柔軟に対応する必要があります。 さらに、合理的配慮は、技術の進展や社会情勢の変化等に応じて変わり得るものでもあります。 (3)意思の表明。 ア、表明する者。 障害のある人本人からの意思表明だけでなく、障害により本人自ら意思の表明をすることが困難な場合には、家族や支援者、介助者、法定代理人などコミュニケーションを支援する者が本人を補佐して行う意思の表明も含みます。 イ、表明の方法。 言語(手話を含む。)のほか、点字、拡大文字、筆談、実物の提示や身振りサイン等による合図、触覚による意思伝達など、障害のある人が他人とコミュニケーションを図る際に必要な手段(手話通訳者や要約筆記者等の通訳を介するものを含む。)によります。 ウ、その他。 意思表明が困難な障害のある人が介助者を伴っていない場合など、意思の表明がない場合であっても、必要とされている配慮が明らかな場合には、適切な配慮をするために、障害のある人に話しかけ、建設的対話を働きかけるなど、自主的に必要な配慮を行うことが望まれます。 (4)「過重な負担」の判断。 過重な負担に相当するかどうかについては、「個別の事案ごとに、次の判断要素等を考慮し、具体的場面や状況に応じて総合的・客観的に判断すること」が必要です。 判断にあたっては、具体的な検討をせずに過重な負担を拡大解釈するなど、障害者差別解消法や県条例の趣旨を損なうことのないようにしなければなりません。 また、過重な負担に相当すると判断した場合は、障害のある人にその理由を説明し、理解を得るよう努めることも望まれます。 P9。 <「過重な負担」を判断する要素>。 ○ 事務・事業への影響の程度。 (配慮することにより、その事務や事業の目的や内容、機能を損なわないか)。 ○ 実現可能性の程度。 (配慮するにあたり、物理的・技術的な制約や、人的・体制上の制約がないか)。 ○ 費用・負担の程度。 ○ 事務・事業規模。 ○ 財政・財務状況。 P10。 (5)障害のある人のための環境整備。 合理的配慮を必要とする障害のある人が多数見込まれる場合、障害のある人との関係性が長期にわたる場合等には、その都度の合理的配慮の提供とは別に、環境整備を考慮することも必要です。 なお、環境整備には、施設等のバリアフリー化、意思表示やコミュニケーション支援のためのサービス、支援者や介助者等の人的支援、障害のある人による円滑な情報の取得・利用・発信のための情報アクセシビリティの向上のほか、職員や従業員に対する研修等も含まれます。 ・ V 「障害を理由とする不利益な取扱い」や「合理的配慮の提供」の具体例。  1 分野別。 (1)各分野共通。 不利益な取扱いに該当する可能性がある例。次のような対応をすることは、「障害を理由とする不利益な取扱い」に該当する可能性があります。ここに記載する事例は、あくまでも例示であり、これに限られるものではなく、また、客観的にみて正当な理由があるときは、不利益な取扱いに該当しない場合があります。 不利益な取扱いに該当するかどうかについては、個別の事案ごとに判断する必要があります。 (以下、各分野とも同じ)。 <サービス等の提供や対応を拒否すること>。 ・ 身体障害者補助犬の受入義務がある施設等であるにもかかわらず、一律に身体障害者補助犬の同伴を拒否する。 ・ 車いす等を使用していることを理由に、一律にサービス等の提供や対応を拒否する。 ・ 障害を理由に、一律に対応を拒否したり、対応の順番を後回しにしたりする。 ・ 障害を理由に、一律に資料の提供や講演会等への出席を拒否する。 ・ 障害の種類や程度、サービス提供の場面における本人や第三者の安全性などについて考慮することなく、漠然とした安全上の問題を理由に施設利用を拒否すること。 ・ 障害者が介助者を伴って窓口に行った際に、障害者本人の意思を全く確認せず、介助者のみに対応を求める。 ・ 障害があることのみを理由として、一律に、障害者に対して必要な説明を省略する、または説明を行わない。 <サービス等の提供や対応を制限すること>。 ・ 障害を理由に、業務の遂行に支障がないにもかかわらず、他の人とは違う場所で対応したり、サービス等の提供時間を限定したりするなど、場所や時間帯などを制限する。 ・ 障害を理由に、サービス等の利用に必要な情報提供を行わない。 ・ 特に支障がないにもかかわらず、付添者の同伴を許可しない。 <サービス等の提供や対応をする際に、障害のない人には付けない条件を付けること>。 ・ 客観的に人的体制や設備体制が整っており対応可能であるにもかかわらず、保護者や介助者、支援者等の同伴を条件としたり、特に支障がないにもかかわらず同伴を拒んだりする。 ・ 障害があることを理由として、具体的場面や状況に応じた検討を行うことなく、障害者に対し一律に保護者や支援者・介助者の同伴をサービスの利用条件とすること。 P11。 ・ 特に必要ではないにもかかわらず、仮利用期間を設けたり、他の者の同意を求めたりするなど、他の人とは異なる手順を求める。 <サービス等の提供や対応をするにあたって、他の者とは異なる取扱いをすること>。 ・ 本人を無視して、介助者や支援者、付添者等のみに話しかける。 ・ 障害者本人の尊厳を軽視して、見下したような言葉遣いや幼児を相手にするような言葉で接する。 ・ 障害を理由に、障害者に対して、言葉遣いや接客の態度など一律に接遇の質を下げる。 正当な理由があるため、不利益な取扱いに該当しないと考えられる例。 ・ 作業等において、遂行上具体的な危険の発生が見込まれる障害特性のある障害者に対し、別の作業を設定すること。(障害者本人の安全確保の観点)。 ・ 車いすの利用者が畳敷きの施設を利用する際に、敷物を敷く等、畳を保護するための対応を行うこと。(事業者等の損害発生の防止の観点)。 ・ 各種手続等を行うため、障害者本人に同行した者が代筆をしようとした際に、必要な範囲で、プライバシーに配慮しつつ、障害者本人に対し障害の状況や本人の手続きの意思等を確認すること。(障害者本人の財産の保全の観点)。 合理的配慮と考えられる例。 次のような配慮は「合理的配慮」であると考えられます。ここに記載する事例は、あくまでも過重な負担がないことを前提とした例示であり、一律に実施を求めるものではなく、また、これに限られるものではありません。 障害者差別解消法や県条例の趣旨を踏まえて、具体的な場面や状況に応じて柔軟に対応することが期待されます。(以下、各分野とも同じ)。 <物理的環境への配慮>。 ・ 段差がある場合に、車いすのキャスター上げ等の補助をする、携帯スロープを渡すなどする。 ・ 手前に引いて開けるドアがある場合に、車いす使用者やその介助者のためにドアを開ける。 ・ 高い所に置いてあるものを取って渡したり、置いてある位置を分かりやすく伝えたりする。 ・ 目的の場所まで案内する際に、障害者の歩行速度に合わせた速度で歩いたり、前後、左右、距離の位置取りについて、障害者の希望を聞いたりする。 ・ 不随意運動等により書類等を押さえることが難しい障害者に対し、書類を押さえたり、バインダー等の固定器具を提供したりする。 ・ エレベーターがない施設で上下階に移動する際、マンパワーで移動をサポートする。 ・ 障害の特性により、頻繁に離席の必要がある場合に、座席位置を入口付近にする。 ・ 他人との接触、多人数の中にいることによる緊張等により発作等がある場合、または、疲労を感じやすいなどの特性のある障害者から別室での休憩の申し出があった際は、障害の特性や施設の状況に応じて別室を準備する。 P12。 ・ 上記の際、別室の確保が困難である場合に、当該当事者に事情を説明し、臨時の休憩スペースを設けるなどする。 ・ 災害や事故が発生した際、館内放送で避難情報等の緊急情報を聞くことが難しい聴覚障害のある人に対し、電光掲示板、手書きのボードを用いて、分かりやすく案内し誘導を図る。 ・ 人が多く集まる場所で、障害の特性上、発声やこだわりのある行動など落ち着かない様子があり、他の人たちへの影響が懸念される場合には、個室等に誘導する。 ・ 視覚障害のある人からトイレの個室を案内するよう求めがあった場合に、求めに応じてトイレの個室を案内し、用具や機器の位置などの説明をする。その際、同性の者が対応できる場合は、障害者本人の希望に応じて同性の職員が対応する。 ・ 疲労を感じやすい障害者から別室での休憩の申出があった際、別室の確保が困難である場合に、当該障害者に事情を説明し、対応窓口の近くに長椅子を移動させて臨時の休憩スペースを設ける。 <意思疎通の配慮>。 ・ 困っていると思われるときは、まずは声をかけ、手伝いの必要性を確かめてから対応する。 ・ 書類の記入を依頼する際に、記入方法等を本人の目の前で示したり、分かりやすい記述で伝達したりする。また、本人の依頼がある場合には、代読や代筆といった配慮を行う。 ・ 手話、要約筆記、筆談、図解、ふりがな付文書や写真、イラスト、コミュニケーションボードの使用、触覚により意思伝達する(手のひらに指で文字を書く等)などによる多様なコミュニケーションなど本人が希望する方法で分かりやすい説明を行う。 ・ 拡大文字等で資料等を作成した際に、各々の媒体間でページ番号等が異なり得ることに留意して使用する。 ・ 視覚障害者及び盲ろう者に資料提供する際、読み上げソフト及び点字変換ソフト等に対応できるよう電子データ(テキスト形式)で提供する。 ・ 障害の状態に応じて、ゆっくり話す、筆談を行う、分かりやすい表現に言い換えるなど、相手に合わせた方法での会話を行う。(なじみのない外来語や漢数字を用いない。時刻は24時間表記ではなく午前・午後で表記するなど)。 ・ 比喩表現等が苦手な障害者に対し、直喩や暗喩、二重否定表現などを用いずに説明する。 ・ 一度に複数のことを説明するのではなく、障害の特性に応じて、一つずつ具体的に順を追って説明する。 ・ 電子メール、ホームページ、ファックス、電話など多様な媒体で情報提供や利用受付を行う。 ・ 説明文書の点字版、拡大文字版、テキストデータ、音声データ(コード化したものを含む)の提供や必要に応じて代読・代筆を行う。 P13。 ・ 文書を読み上げる等、口頭による丁寧な説明を行う。 ・ 館内放送を文字化したり、電光表示板で表示したりする。 ・ 口話が読めるようマスクを外して話をする。 ・ ICTを活用したコミュニケーション機器(データを点字に変換して表示する、音声を文字変換する、標示された絵などを選択することができる機器など)を設置する。 ・ 代筆を求められた場合に対応できるよう、あらかじめ適切な代筆の仕方について職員研修を行う。 ・ オンラインでの手続が必要な場合に、ウェブサイトが障害者にとって利用しづらいものとなっていることから、手続きに際しての支援を求められた場合に、電話や電子メールでの対応を行うとともに、以後、障害者がオンライン申込みの際に不便を感じることのないよう、ウェブサイトの改良を行う。 ・ 必要に応じて、手話通訳や要約筆記者を配置する。 ・ 口頭で行う案内や説明内容について、障害の状態や必要に応じてメモを渡す。文章は、分かち書き(語と語の間に空白を置く書き方)をするよう努める。 ・ 資料を見ながら説明を聞くことが困難な視覚又は聴覚障害者、知的障害者に対しては、ゆっくり、丁寧に説明する。 <ルール・慣行の柔軟な変更>。 ・ 順番を待つことが難しい障害者に対し、周囲の者の理解を得た上で、手続き順を入れ替える。 ・ 障害特性により、立って列に並んで順番を待つことが難しい場合に、周囲の者の理解を得た上で、その障害者の順番が来るまで別室や席を用意する。 ・ エレベーターを使用する際、車いす使用者を優先して乗せる。 ・ 車いす使用者等の車両乗降場所を施設出入口に近い場所へ変更する。 ・ 障害者の来場が多く見込まれる場合、通常、障害者専用とされていない区画を障害者専用の区画に変更する。 ・ 非公表や未公表情報を扱う会議等を開催するとき、情報管理に係る担保が得られることを前提に、障害のある出席者の理解を援助する者の同席を認める。 ・ 障害の状態に応じて、スクリーンや手話通訳者、板書等がよく見えるように、スクリーン等に近い席を確保する。 ・ 入場等でICカードゲートを通過することが困難な場合、別ルートからの入館を認める。 ・ 障害の特性に応じた休憩時間の調整や必要なデジタル機器の使用の許可などのルール・慣行の柔軟な変更を行う。 ・ 他人との接触、多人数の中にいることによる緊張等により、コミュニケーションに支障が出る等の場合には、当該障害者に説明のうえ、施設の状況に応じて別室を準備する。 P14。 合理的配慮の提供義務違反に該当すると考えられる例。 ・ 試験を受ける際に筆記が困難なためデジタル機器の使用を求める申出があった場合に、デジタル機器の持込みを認めた前例がないことを理由に、必要な調整を行うことなく一律に対応を断ること。 ・ イベント会場内等での移動に際して支援を求める申出があった場合に、「何かあったら困る」という抽象的な理由で具体的な支援の可能性を検討せず、支援を断ること。 ・ 電話利用が困難な障害者から電話以外の手段により各種手続が行えるよう対応を求められた場合に、自社マニュアル上、当該手続は利用者本人による電話のみで手続可能とすることとされていることを理由として、メールや電話リレーサービスを介した電話等の代替措置を検討せずに対応を断ること。 ・ 介助を必要とする障害者から、講座等の受講に当たり介助者の同席を求める申出があった場合に、本人のみの参加をルールとしていることを理由として、障害者本人の個別事情や講座等の実施状況等を確認することなく、一律に介助者の同席を断ること。 ・ 自由席での開催を予定している催しにおいて、弱視の障害者からスクリーンや板書等がよく見える席の利用を希望する申出があった場合に、事前の座席確保などの対応を検討せずに「特別扱いはできない」という理由で対応を断ること。 合理的配慮の提供義務に反しないと考えられる例。 ・ 施設利用等において、介助等を求められた場合に、当該施設が介助業務を事業の一環として行っていないことから、その提供を断ること。(必要とされる範囲で本来の業務に付随するものに限られることの観点) ・ 抽選申込みとなっている催し等への参加について、抽選申込みの手続きを行うことが困難であることを理由に、参加を事前に確保しておいてもらえるよう求められた場合に、その対応を断ること。(障害のない人との比較において同等の機会の提供を受けるためのものであることの観点) ・ オンライン講座の配信のみを行っている事業者が、オンラインでの集団受講では内容の理解が難しいことを理由に対面での個別指導を求められた場合に、当該対応はその事業の目的・内容とは異なるものであり、対面での個別指導を可能とする人的体制・設備も有していないため、当該対応を断ること。(事務・事業の目的・内容・機能の本質的な変更には及ばないことの観点) ・ イベント等の当日に、視覚障害のある人からスタッフに対し、会場内を付き添って回ってほしい旨の申出があったが、混雑時であり、対応できる人員がいないことから対応を断ること。(過重な負担(人的・体制上の制約)の観点) ・ 事業者において、事業の一環として行っていない業務の提供を求められた場合に、その提供を断ること。(必要とされる範囲で本来の業務に付随するものに限られることの観点) P15。 環境の整備として考えられる例。 ・ 障害者から書類への代筆を求められた場合に円滑に対応できるよう、あらかじめ手続における適切な代筆の仕方について社内等で研修を行う(環境の整備)とともに、障害者から代筆を求められた場合には、研修内容を踏まえ、本人の意向を確認しながら代筆する(合理的配慮の提供)。 ・ オンラインでの手続が必要な場合に、手続を行うためのウェブサイトが障害者にとって利用しづらいものとして支援を求める申出があった場合に、求めに応じて電話や電子メールでの対応を行う(合理的配慮の提供)とともに、以後、障害者がオンライン申込みの際に不便を感じることのないよう、ウェブサイトの改良を行う(環境の整備)。 ・ 施設内の段差を解消したり、スロープを設置したりする。 ・ 移動が困難な障害者の動線を確保するため、通路の拡幅やレイアウト変更をする。 ・ トイレや浴室をバリアフリー化したり、オストメイト対応にしたりする。 ・ トイレの中の「流す」、「非常呼び出し」のボタンを触って分かるようにする。 ・ 床を滑りにくくする。 ・ 階段や表示を見やすく明瞭にする。 ・ 誘導ブロックを設置する。 ・ 優先駐車場を設ける。 ・ 電光掲示板、磁気誘導ループなどの補聴装置の設置、点字サイン付き手すりの設置、音声ガイドの設置を行う。 ・ 色の組み合わせによる見にくさを解消するため、表示物や案内図等の配色を工夫する。 ・ 非接触式エレベーターなど新たな利用環境の説明に関し、障害の特性に応じた説明をわかりやすく行う(エレベーターの開閉や階数のボタンに点字を付ける等)。 P16。 【コラム】 県民挙げての取組みに。 県条例では、「“何人も”、障害を理由とする差別をしてはならず、また、過重な負担でないときは合理的な配慮をしなければならない」と規定されています。「障害の有無によって分け隔てられることのない社会づくりに県民を挙げて取り組む」という県条例の趣旨を踏まえて行動することが、県民一人ひとりに求められています。 合理的配慮の提供については、障害のある人からの意思表明が前提とされていますが、障害のある人を見かけたら困っていないか気にかけるようにしたり、点字ブロックの上に駐輪しないようにしたりするなど、障害を理解したうえで、日頃のなにげない場面でも自発的に行動することが期待されます。 また、店舗や駅構内等で障害のある人の移動や券売機操作を手伝うなど、事業者が合理的配慮を行う手助けをしたり、代わって行ったりすることで、事業者の負担を軽減し、事業者の取組みを促進することもできます。 本ガイドラインや国の対応指針等には、事業者としての取組み事例が多く掲載されていますが、個人として障害を理由とする差別についての理解を深めたり、行動したりするときの参考にもなります。 合理的配慮をしてもらった障害のある人も、お礼を伝えることが大切です。感謝の気持ちも、県民挙げての取組みを促す重要な要素のひとつです。 P17。 (2)福祉サービス。 不利益な取扱いに該当する可能性がある例。 ◆ 障害を理由として、福祉サービスの提供を拒否したり、制限したり、これに条件を付けたりするなど不利益な取扱いをすること。 ◆ 障害を理由として、障害のある人の意に反して障害者支援施設などへの入所や入居を強制すること。 <拒否する>。 ・ サービス提供の場面における障害者本人や第三者の安全性などについて具体的に考慮することなく、漠然として安全上の問題を理由として施設利用を拒否する。 ・ 人的体制、設備体制が整っており、対応可能であるにもかかわらず、医療的ケアの必要な障害者、重度の障害者、多動の障害者の福祉サービスの利用を拒否する。 <制限する(場所・時間帯などの制限)>。 ・ 対応を後回しにしたり、福祉サービスを提供する時間を変更又は限定したりする。 ・ 別室で対応するなど、福祉サービスを提供する場所を限定する。 ・ サービス事業所選択の自由を制限する。(障害者が望まないサービス事業者をすすめるなど)。 ・ 福祉サービスの利用に必要な情報提供を行わない。 <条件を付ける(障害のない人には付けない条件を付ける)>。 ・ 福祉サービスの利用にあたり、保護者や介助者、支援者等の同伴を条件とする。 ・ 福祉サービスの利用にあたり、他の利用者と異なる手続きを求める。(仮利用期間を設ける、他の利用者の同意を求めるなど)。 <他の者とは異なる取り扱いをする>。 ・ 行事、娯楽等への参加を制限する。 ・ 年齢相当のクラスに所属させない。 ・ 本人や家族等(障害のある人の意思を確認することが困難な場合に限る。)の意思に反した福祉サービス(施設への入所、通所、その他サービスなど)を行う。 正当な理由があるため、不利益な取扱いに該当しないと考えられる例。 ◆ 障害のある人の生命や身体の保護のためやむを得ないと認められる場合など。 ◆ 障害者総合支援法に規定する相談支援が行われた場合など。 ・ 「(1)各分野共通」を参照 合理的配慮と考えられる例 ・ 施設利用の場所を1階に移す、トイレに近い場所にする。 ・ パニック等を起こした際に静かに休憩できる場所を設ける。 ・ トイレ、作業室など部屋の種類や、その方向を示す絵記号や色別の表示などを設ける。 P18。 (3)医療。 不利益な取扱いに該当する可能性がある例。 ◆ 障害を理由として、医療の提供を拒否したり、制限したり、これに条件を付けたりするなど不利益な取扱いをすること。 ◆ 障害を理由として、障害のある人の意に反して長期間の入院などの医療を受 けることを強制したり、隔離したりすること。 <診療受付等>。 ・ 人的体制や設備が整っており対応可能であるにもかかわらず、障害があることを理由に診療や入院、調剤等を拒否する。 ・ 診察などを後回しにしたり、診療時間を変更又は限定したりする。 ・ 診察室や病室の制限を行う。 ・ 医療機関や薬局内に、身体障害者補助犬を同伴することを拒否する。 ・ 障害者本人や第三者の安全性などについて具体的に考慮することなく、漠然とした安全上の問題を理由に医療機関や薬局の利用を拒否する。 ・ 医療機関や薬局において、人的体制、設備体制が整っており、対応可能であるにもかかわらず、障害があることを理由に診療・入院・調剤等を拒否する。 <診療や診療情報の提供等>。 ・ 本人を無視して、保護者や介助者等にのみに病状や治療方針等を説明したり、本人の同意無しに治療方針を決定したりする。 ・ 保護者や介助者等が同伴することを診察や治療、調剤等の条件とする。 ・ 保護者や支援者、介助者の同伴を拒否する。 ・ 本人(本人の意思を確認することが困難な場合は家族等)の意思に反した医療の提供を行う又は意思に沿った医療の提供を行わない。 ・ 病院や施設が行う行事等への参加や共用設備の利用を制限する。 ・ 医療の提供に際して必要な情報提供を行わない。 ・ わずらわしそうな態度や、患者を傷つけるような言葉をかける。 ・ 診療等に当たって患者の身体への丁寧な扱いを怠る。 正当な理由があるため、不利益な取扱いに該当しないと考えられる例。 ◆ 障害のある人の生命や身体の保護のためやむを得ないと認められる場合など。 ◆ 法令に特別の定めがある場合。 ・ 「(1)各分野共通」を参照。 合理的配慮と考えられる例。 ・ 診察室等で待つ場合、障害の特性に応じて、患者が待ちやすい近くの場所で待ってもらい、順番が来たら電話で呼び込むなど柔軟に対応する。 ・ パニック等を起こした際に静かに休憩できる場所を設ける。 P19。 ・ 診療の予約時などに、患者から申出があった障害特性や配慮事項等の情報を、スタッフ間で事前に共有しておく。 ・ 障害者に配慮したナースコールの設置を行う(息でナースコールができるマルチケアコール、機能障害者用押しボタンなど)。 ・ 個人情報の保護に配慮した上で、院内放送を文字化したり、電光表示板で表示したりする。 ・ 声がよく聞こえるように、また、口の動きや表情を読めるようにマスクを外して話をする。 ・ 白衣に強く反応し、診察を拒否するという場合には、必要に応じて通常の服に着替えて対応する。 ・ 特別なコミュニケーション支援が必要な障害児者の入院に当たっては、医療機関は院内感染対策に配慮しつつ、患者本人の意思や関係者間での支援の範囲、方法等を十分確認し、可能な限り支援者が付き添えるよう配慮する。 ・ 外見上、障害者であると分かりづらい患者(聴覚障害の方など)の受付票にその旨が分かる連絡カードを添付するなど、プライバシーに配慮しつつスタッフ間の連絡体制を工夫する。 合理的配慮の提供義務に反しないと考えられる例。 ・ 事業者において、事業の一環として行っていない業務の提供を求められた場合に、その提供を断る(例えば、医療機関において、診療を終えた障害者から、自宅までの送迎を求められた場合に、当該医療機関では当該業務の一環として行っていないことから送迎はできないが、タクシー等の連絡先を伝える)。 P20。 (4)商品販売・サービス。 不利益な取扱いに該当する可能性がある例。 ◆ 障害を理由として、商品の販売やサービスの提供を拒否したり、制限したり、これに条件を付けたりするなど不利益な取扱いをすること。 <サービスの利用を拒否・制限する>。 ・ 身体障害者補助犬を連れていることや車いすを使用していることを理由として、入店やツアー等への参加を一律に拒否する。 ・ 旅行やホテルの宿泊又は、ツアー等の申込み等をするときに、障害の状況や必要な配慮等について確認等することなく、一律に申し込みを拒否する。 ・ 障害があるということだけを理由として、一律にツアー等への参加を認めず、また、ツアーやサービス等の料金を増額する。 ・ ツアー中の介助、補助その他の支援措置が必要ない、又は、支援措置が必要であるとしても、添乗員等において対応可能な医学的、専門的知識を要しない軽微な措置で足りるにもかかわらず、一律に、ツアーへの参加を拒否したり、旅程の一部に制限を加える、又は、介助者の同行をツアー参加の条件とする。 ・ 障害のある人が、身体障害者補助犬の同伴やその他サービスの利用にあたり必要となる配慮等を事前に申し出ているにもかかわらず、その対応の可否を検討することなく、一律に、サービスの利用を拒否したり、制限を加えたりする。 ・ 人的体制や設備が整っており利用可能であるにもかかわらずサービス利用について制限を加えたり、介助者の同行を求めたりする。 ・ ツアーの内容、障害の状況、介助者の同行の有無に照らし、当該障害者がツアーに参加しても、ツアーの安全かつ円滑な実施に支障が生じるおそれがないにもかかわらず、ツアーへの参加を拒否したり、旅程の一部に制限を加える。 P21。 ≪具体的な事例≫。 @ 車いすユーザーの友人とカフェに行った際、店員からは店内が狭いから、テーブルの高さが車いすに合わないから、他のお客さんがいて危ないから、等の理由で店内にすら入れてもらえなかった。 A 映画館でチケットを購入する際、本人(障害者)が話しているにもかかわらず、受付のスタッフは本人の存在を無視して、介助者とのみ会話をされた。 B 電動車いすで飲食店に入店したところ、車いすを店内に入れることを断られたので、普通の席に座り、車いすは店の外に出しておこうとしたが、「車いすを通路に置かれては迷惑」と言われ、入店を諦めた。 C 飲食店の利用において、予約は障害のない人が行い、聴覚障害のある人が店を利用しようとしたところ断られた。 正当な理由があるため、不利益な取扱いに該当しないと考えられる例。 ◆ その障害の特性により他の者に対し提供するサービスの質が著しく損なわれるおそれがあると認められる場合など正当な理由がある場合。 ・ 客から障害者である他の客に関する申出があった場合に、その障害の特性について説明し、不安を払拭するような声かけを行う。 ・ 実習を伴う講座において、実習に必要な作業の遂行上具体的な危険の発生が見込まれる障害特性のある障害者に対し、当該実習とは別の実習を設定する。(障害者本人の安全確保の観点) ・ 飲食店において、車いすの利用者が畳敷きの個室を希望した際に、敷物を敷く等、畳を保護するための対応を行う。(事業者の損害発生の防止の観点) ・ ツアー等料金の増額について、専用車の手配等の障害者への対応に必要な費用について、事前に丁寧な説明を行ったうえで、別途請求する。 ・ 障害者から、事前に申告のあった障害の状況や、必要とする条件、措置に適切に対応できる運送等サービスをやむを得ず手配できない場合に、ツアーへの参加を拒否する、又は、旅程の一部に制限を加える。(事業の目的・内容・機能の維持) ・ 障害者について、ツアー中に、添乗員等において対応可能な医学的、専門的知識を要しない軽微な措置を超える介助、補助その他の支援措置が必要となるにもかかわらず、障害者が、介助者の同伴を拒絶する場合に、ツアーへの参加を拒否する、又は、旅程の一部に制限を加える。(安全の確保) ・ 障害者から、障害の状況や必要とする条件、措置について、旅行申込み時に申告がなく、事前に、運送機関等における対応の可否、旅程への影響の有無、又は、他の参加者への影響の有無を確認することができず、当該障害への適切な対応を確保できない場合に、ツアーへの参加を拒否する、又は、旅程の一部に制限を加える。(事業の目的・内容・機能の維持) ・ 契約を行うに当たって障害者が来店した際、互いの置かれた状況を踏まえて、コミュニケーションの方法を工夫し、障害の状況等を確認しようと試みたが、それにもかかわらず、円滑なコミュニケーションが取れないため、やむを得ず契約を断る。(事業の目的・内容・機能の維持) P22。 合理的配慮と考えられる例。 <物理的環境への配慮>。 ・ 高い所に置かれた商品等を取って渡したり、商品等の位置を分かりやすく伝えたりする。 ・ 通行しやすいように、店舗内の通路や壁、手すりの近辺には障害物や危険物を置かない。 ・ 注文や問合せ等に際し、インターネット画面への入力によるものだけでなく、電話等でも対応できるようにする。 ・ 展示会場等で入退場に支障が生じるような場合には、一般入場口とは別に専用口を設ける。 ・ 資格試験を受験する際や学習塾等で、必要な座席スペースを確保する。 ・ 売り場への案内の要望があった場合は目的の場所へ案内する。また一般的な案内の際に、障害者の歩行速度に併せた速度で歩いたり、左右・前後・距離の位置取りについて、障害者の希望を聞いたりする。 ・ 小売事業者による商品宅配時において具体的要望があった際に、品物を家の中の指定されたところまで運ぶ。 ・ 障害の特性により頻回に離席の必要がある場合に、会場の座席位置を扉付近にする。 ・ 不随意運動等により書類等を押さえることが難しい障害者に対し、書類を押さえたり、バインダー等の固定器具を提供したりする。 ・ 災害や事故が発生した際、館内放送で避難情報等の緊急情報を聞くことが難しい聴覚障害のある人に対し、電光掲示板、手書きのボード等を用いて、分かりやすく案内し誘導を図る。 ・ イベント会場において、障害の特性によって発声やこだわりのある行動がみられる場合に、保護者や付添者等に特性やコミュニケーションの方法等について聞き取ったうえで、落ち着かない様子のときは個室等に誘導する。 ・ 視覚障害のある人からトイレの個室を案内するよう求めがあった場合に、求めに応じてトイレの個室を案内する。その際、同性の職員がいる場合は、視覚障害のある人本人の希望に応じて同性の職員が対応する。 ・ パニック状態になったときは、刺激しないように、また危険がないように配慮し、周りの人にも理解を求めながら、落ち着くまで見守る。また、落ち着けるような場所を提供する。 ・ ツアーについて相談を受ける際、利用する運送機関等におけるバリアフリーの状況について情報を提供する。 ・ 旅行申込み時に申告された障害の状況を踏まえ、利用しやすい運送等サービス(リフト付きバス、車いす席付きバス、特別食を提供できる飲食施設等)を提案、紹介する。 ・ 貸切バスツアー等、事業者においてバスの座席位置を決められる場合は、旅行申込み時に申告された障害の状況や希望を踏まえ、座席位置に配慮する。 P23。 ・ ツアー中、エスカレーターやスロープのあるルートが付近にある場合に、添乗員等がそのルートを紹介する。 ・ 障害者用の駐車場について、健常者が利用することのないよう大きな文字やサイン等、分かりやすい表示等で注意を促す。 <意思疎通の配慮>。 ・ 文書を読み上げるなど、口頭による丁寧な説明を行う。 ・ 電子メール、ホームページ、ファックスなど多様な媒体で情報提供、利用受付を行う。 ・ 駐車場などで通常、口頭で行う案内を、紙にメモをして渡す。 ・ 商品の色や形状、内容物等について説明の要望があった際には、具体的に分かりやすく説明を行う。 ・ 点字メニューを用意したり、メニューを分かりやすく説明したり、写真を活用したりする。 ・ 聴覚障害者に対して、パンフレット等の資料を用いて説明し、筆談を交えて要望等の聞き取りや確認を行う。 ・ 店内の単独移動や商品の場所の特定が困難な障害者に対し、店内移動と買物の支援を行う。 ・ 部屋でフロントのスタッフに緊急に連絡したいとき、メールで連絡ができるようにする。 ・ 緊急時の呼び出し方法として、振動呼び出し機を用意し、必要に応じて貸し出せるようにし、又は、テレビなどのモニターにより、緊急事態である旨を表示できるようにする。 ・ タッチパネル操作の機器以外にも代替手段を用意しておく。 ・ 事前に連絡があった場合に、店舗の出入り口近くの車いす用駐車スペースを確保する。 ・ 店舗において、障害のある人と話すときは、相手と1mくらいの距離で、相手の正面を向いて、顔(口)の動きが分かるように話す。 ・ 書類等を記入する際には、記入方法を本人の目の前で示したり、分かりやすい記述で伝える。また要望があった際には、書類の内容や状況に応じて、代筆にも対応する。 ・ お金を渡す際に、紙幣と貨幣に分け、種類ごとに直接手渡す。 ・ 精算時に金額を示す際は、金額が分かるようにレジスターや電卓の表示板を見やすいように向ける、紙等に書く、絵カードを活用するなどして示すようにする。 ・ 添乗員等が同行するツアー等で、聴覚障害者又は知的障害者のため、添乗員等が、集合・解散時刻や重要な注意事項を大きなボードや画用紙等に記載して見せたり、それらが記載されたメモを交付したりするなどして案内する。 ・ オンラインセミナーにおいて、オンライン会議システムの文字起こしや録画機能等を用いて障害者もアクセスできるようにする。 ・ 聴覚障害のある受講生に対して講義を行う際には、講師は口の動きが見えるよう工夫する。 P24。   <ルール・慣行の柔軟な変更>。 ・ 展示会等開催時の入退場に支障が生じるような場合には、一般入場口とは別に専用口を設ける。 ・ 資格試験等を受験する際や学習塾等での座席は、必要なスペースを確保する。 ・ セルフサービス(ガソリンスタンドやバイキング形式の食事等)において、要望があった場合には、安全に配慮しつつ障害の状況等に合わせ協力する。 ・ 車両乗降場所を施設出入口に近い場所へ変更する。 ・ 駐車場等において、障害者の利用が多数見込まれる場合、通常、障害者専用とされていない区画を障害者専用の区画に変更する。 ・ 入館時にICカードゲートを通過することが困難な場合、別ルートからの入館を認める。 ・ 旅行申込み時に申告された障害の状況や希望を踏まえ、利用する運送機関等に、障害者に対して合理的な配慮を提供するよう要請する。 ・ 視覚障害等の障害のある人が一人でセルフレジの操作をすることが困難な場合に、店員がサポートを行うなど柔軟な対応を行う。 合理的配慮の提供義務違反に該当すると考えられる例。 ・ 車いす利用者がツアーに参加することを認識しつつ、可能な範囲での事前調整を行わない。 ・ 試験を受ける際に筆記が困難なためデジタル機器の使用を求める申出があった場合に、デジタル機器の持込みを認めた前例がないことを理由に、必要な調整を行うことなく一律に対応を断る。 ・ イベント会場内の移動に際して支援を求める申出があった場合に、「何かあったら困る」という抽象的な理由で具体的な支援の可能性を検討せず、支援を断る。 ・ 電話利用が困難な障害者から電話以外の手段により各種手続が行えるよう対応を求められた場合に、自社マニュアル上、当該手続は利用者本人による電話のみで手続可能とすることとされていることを理由として、メール等の代替措置を検討せずに対応を断る。 ・ 聴覚障害等のある者から入電があり、電話リレーサービスを介した問合せを希望する旨の意思の表明があった場合に、本人確認ができないこと等を理由に対応を拒否する。 ・ 自由席での開催を予定しているセミナーにおいて、弱視の障害者からスクリーンや板書等がよく見える席でのセミナー受講を希望する申出があった場合に、事前の座席確保などの対応を検討せずに「特別扱いはできない」という理由で対応を断る。 ・ 抽選申込みとなっているセミナーや講座への参加で、介助者や支援者の同伴が必要な障害者が当選した場合に、障害者本人の個別事情や講座の実施状況等を確認することなく、介助者や支援者の同伴を一律に認めない。 P25。 ・ 合理的配慮の提供義務に反しないと考えられる例。 ・ 抽選販売を行っている限定商品について、抽選申込みの手続きを行うことが困難であることを理由に、当該商品をあらかじめ別途確保しておくよう求められた場合に、当該対応を断る。 ・ オンライン講座の配信のみを行っている事業者がオンラインでの集団受講では内容の理解が難しいことを理由に対面での個別指導を求められた場合に、当該対応はその事業の目的・内容とは異なるものであり、対面での個別指導を可能とする人的体制・設備も有していないため、当該対応を断る。 ・ 小売店において、混雑時に視覚障害者から店員に対し、店内を付き添って買い物の補助を求められた場合に、混雑時のため付添いはできないが、店員が買い物リストを書き留めて商品を準備することができる旨を提案する。 ・ 障害がある利用者から、ツアーに参加するに当たり、特別に、専門の介助者を無償でつけて欲しい、自分用の専用車(マイクロバス等)を手配して欲しいとの要求があったため、旅行業者として、ツアーにおいて、当該利用者のための特別の対応を旅行業者の費用負担において実施することはできない旨を丁寧に説明し、当該要求を断る。(費用・負担が過重なもの) ・ ツアー申込時点において、食事や入浴、化粧室の利用に関するツアー内での介助を求められた場合、お互いに相手の立場を尊重しながらの建設的対話を通じて互いの状況等を理解しようと努めた上で、添乗員やガイドの本来の業務から逸脱する要請について断る。(本来の業務に付随しないもの) 環境の整備として考えられる例 ・ 聴覚障害等の障害のある人が円滑に工場見学できるよう、障害者団体等にも必要に応じて相談しながらマニュアルを作成する等、案内方法の工夫や案内スキルの向上を図る。 ・ 店舗における車いす専用駐車スペースの有無の表示については、現地駐車場だけでなく、ウェブサイトにも掲載するとともに、各店舗のウェブサイトには利用時の留意点等を掲載する。 ・ 小売店において、バリアフリーに対応した店舗であることをウェブサイト上で明記する。 ・ 障害者、介助者ともに安心して行動できるよう、店舗等において、階段の手すりを設置する。 ・ 緊急時における障害者への対応方法を事前に取り決め、日頃から定期的に訓練を実施する。・ P26。 (5)労働・雇用。 不利益な取扱いに該当する可能性がある例。 ◆ 障害を理由として、応募や採用を拒否したり、これらに条件を付けたりするなど不利益な取扱いをすること。 ◆ 障害を理由として、賃金や労働時間等の労働条件、配置(業務の配分や権限の付与を含む)、昇進、教育訓練、福利厚生について不利益な取扱いをしたり、解雇したりすること。 <応募受付等>。 ・ 障害者だからという理由で、応募を拒否する。 ・ 特例子会社を設置しているため、障害者については、親会社への応募は受け付けず、特例子会社への応募のみを受け付ける。 <応募・採用条件>。 ・ 単にあったほうが望ましいからという理由で、「○○資格を有すること」等の障害者を排除する採用条件を付ける。(その採用条件を満たさなければ業務遂行上不都合が生じる場合は、差別ではない) ・ 一定の能力を有していることを採用の条件としている場合に、合理的配慮の提供を前提とした上での労働能力等を適正に評価しないで、障害者を採用対象から除外する。 ・ 障害者だけ特定の資格を有することを応募条件とする。 <賃金・雇用形態>。 ・ 障害により著しく労働能力が低いことを理由に、最低賃金よりも低い額を設定する。(最低賃金法第7条に基づき、都道府県労働局長の許可を受けている場合は、障害を理由とする差別ではない。) ・ 労働能力等の評価をすることなく、障害者だからという理由で、賞与を支給しない。 ・ 労働能力等に基づかず、障害者だからという理由で、フルタイム勤務の対象外とし、パートタイム勤務に限定する。 <配置・昇進・教育訓練等>。 ・ 労働能力等に基づかず、単に障害者だからという理由で、特定の仕事を割り当てたり、配置転換をしたり、特定の教育訓練を行ったりする。 ・ 昇進や正規職員への登用の基準を満たす労働者が障害者を含めて複数いる場合に、障害者ではない者を優先して昇進等の対象とする。 ・ 昇進等に当たって、障害者に対してのみ試験を課したり、上司の推薦を必要としたりする。 ・ 労働能力等の評価に当たって、必要な合理的配慮を提供せずに能力を評価したり、合理的配慮を提供したことをもって評価を下げたりする。 <退職勧奨・解雇等>。 ・ 障害の状態が悪化し、業務の遂行に支障が生じた場合に、配置転換等、個々の職場の状況に応じた他の合理的配慮を検討することなく、退職を勧奨したり、解雇したりする。 P27。 正当な理由があるため、不利益な取扱いに該当しないと考えられる例。 ◆ 募集や採用、又は雇用をする際に、従事させようとする業務を適切に遂行することができないと認められる場合など。 ・ 「(1)各分野共通」を参照。 合理的配慮と考えられる例。 <募集・採用時>。 ・ 採用試験について点字や拡大文字、音声等により実施したり、別室での受験を認めたり、試験時間を延長するなど、障害者の障害特性に配慮する。 ・ 採用面接の際に、就労支援機関の職員や手話通訳者、要約筆記者等の同席を認めたり、筆談で行ったり、体調に配慮した時間設定を行ったりするなど障害者の障害特性に配慮する。 ・ 障害によって危険を伴う作業等を考慮した上で、可能な業務内容を検討して採用する。 <通勤・勤務時間>。 ・ 出退勤時刻や休憩等について、通院や体調に配慮する。 <勤務中>。 ・ 本人のプライバシーや意向に配慮した上で、業務指導や相談を行う担当者を決めておく。 ・ 障害の特性に応じて、図等を活用した業務マニュアルを作成したり、業務指示にあたって内容を明確にし、一つずつ行うなど作業手順を分かりやすく示したりする。 ・ 障害の特性に応じて、音声読み上げソフトやルーペなどを導入したり、パソコンの基本機能(文字の拡大、画面の白黒反転機能等)を活用したりするなどの工夫をする。 ・ 発達障害のある人について、感覚過敏を緩和するため、サングラスの着用や耳栓の使用を認めるなどの対応を行う。 ・ 自筆での書類作成が難しい場合に、パソコン入力したものに押印することを認めるなど、障害の特性に応じて、職場のルールを変更する。 ・ 机の配置や打合せ場所を工夫するなど、職場内での移動の負担を軽減する。 ・ 本人の負担の程度に応じて業務量を調整したり、習熟度に応じて業務量を徐々に増やしたりする。 ・ 朝礼や会議等において、事前に伝達事項のメモを渡したり、手話や筆談などのコミュニケーション手段を用いたり、手話通訳者や要約筆記者を配置したりする。 P28。 <他の労働者の理解促進>。 ・ 障害者本人のプライバシーや意向に配慮した上で、他の労働者に、障害の状況や必要な配慮等について説明する。 P29。 ・ (6)教育。                                    不利益な取扱いに該当する可能性がある例。 ◆ 障害のある人の年齢や能力に応じ、その特性を踏まえた十分な教育が受けられるようにするために必要な指導や支援を講じないこと。 ◆ 本人やその保護者への意見聴取や必要な説明を行わずに、又はこれらの者の意見を十分に尊重せずに、就学すべき学校を決定すること。 ・ 学校、社会教育施設、スポーツ施設、文化施設等で、窓口対応を拒否したり、対応の順番を後回しにしたりする。 ・ 学校への入学の出願の受理、受験、入学、授業等の受講、研究指導、実習等校外教育活動、入寮、式典参加をさせないことや、これらをさせるに当たり正当な理由のない条件を付ける。 ・ 試験等で合理的配慮の提供を受けたことを理由に、その試験等の結果を学習評価の対象としなかったり、評価に差をつけたりする。 正当な理由があるため、不利益な取扱いに該当しないと考えられる例 ◆ 通級による指導、特別支援学級又は特別支援学校における特別の教育課程が、その時点で教育的ニーズに最も的確に応える指導を提供できる場合など。 ・ 「(1)各分野共通」を参照。 合理的配慮と考えられる例。 <共通>。 ・ 学校、文化施設等において、板書やスクリーン等がよく見えるように、黒板等に近い席を確保する。 ・ 学校、社会教育施設、スポーツ施設、文化施設等で、災害時に施設の職員が直接災害を知らせたり、緊急情報を視覚的に確認したりすることができるように設備等を用意する。 ・ 学校、社会教育施設、スポーツ施設、文化施設等において、障害者に対し、その障害の状況等に応じた適切な配慮を行うことによって、意思疎通を図り、コミュニケーションをとる。 <学校等>。 ・ 介助等を行う学生、保護者、支援員等の教室への入室、授業や試験でのパソコン入力支援、移動支援、待合室での待機を許可する。 ・ 理工系の実験、地質調査のフィールドワーク等でグループワークができない学生等や、実験の手順や試薬を混同するなど、作業が危険な学生等に対し、個別の実験時間や実習課題を設定したり、個別のティーチング・アシスタント等を付けたりする。 P30。 ・ 入学試験において、本人・保護者の希望、障害の状況等を踏まえ、別室での受験、試験時間の延長、点字や拡大文字、音声読み上げ機能の使用等を許可する。 ・ 点字や拡大文字、音声読み上げ機能を使用して学習する児童生徒等のために、授業で使用する教科書や資料、問題文を点訳又は拡大したものやテキストデータを事前に渡す。 ・ 知的発達の遅れにより学習内容の習得が困難な児童生徒等に対し、理解の程度に応じて、視覚的に分かりやすい教材や具体物を用意する。 ・ 移動に困難のある学生等のために、通学のための駐車場を確保したり、参加する授業で使用する教室を移動しやすい場所に変更したりする。 ・ 日常的に医療的ケアを要する児童生徒等に対し、本人が対応可能な場合もあることなどを含め、配慮を要する程度には個人差があることに留意して、医療機関や本人が日常的に支援を受けている介助者等と連携を図り、個々の状態や必要な支援を丁寧に確認し、過剰に活動の制限等をしないようにする。 ・ 慢性的な病気等のために他の児童生徒等と同じように運動ができない児童生徒等に対し、運動量を軽減したり、代替できる運動を用意したりするなど、病気等の特性を理解し、過度に予防又は排除をすることなく、参加するための工夫をする。 ・ 聴覚過敏の児童生徒等のために教室の机・椅子の脚に緩衝材を付けて雑音を軽減したり、視覚情報の処理が苦手な児童生徒等のために黒板周りの掲示物等の情報量を減らしたりするなど、個別の事案ごとに特性に応じて教室環境を変更する。 <社会教育施設、スポーツ施設、文化施設等>。 ・ 移動に困難のある障害者を早めに入場させ席に誘導したり、車いすを使用する障害者の希望に応じて、決められた車いす用以外の客席も使用できるようにしたりする。 ・ P31。 (7)建築物の利用。                                 不利益な取扱いに該当する可能性がある例 ◆ 障害を理由として、建物やその他の施設の利用を拒否したり、制限したり、これに条件を付けたりするなど不利益な取扱いをすること ・ 障害があることのみを理由に、入店時間や入店場所等に条件を付ける。 正当な理由があるため、不利益な取扱いに該当しないと考えられる例。 ◆ 建物等の構造上やむを得ない場合、障害のある人の生命や安全の保護のためやむを得ないと認められる場合など。 ・ 「(1)各分野共通」を参照。 合理的配慮と考えられる例。 ・ 建物内で白杖使用者が困っている様子である場合、声をかけたり、誘導を申し出たりする。 ・ 管理する施設・敷地内において、車いす・歩行器使用者のためにキャスター上げ等の補助をしたり、段差に携帯スロープを渡したりする。 ・ 駐車場所の案内など、通常は口頭で行う案内を、聴覚に障害のある人に対して紙にメモをして渡す。 ・ 専用駐車場を設けている場合、入口付近に障害者専用駐車場を確保する。 ・ 障害者用の駐車場について、障害のない人が利用することのないよう注意を促す。 P32。 ・ (8)交通機関の利用。 不利益な取扱いに該当する可能性がある例。 ◆ 障害を理由として、交通機関の利用を拒否したり、制限したり、これに条件を付けたりするなど不利益な取扱いをすること。 <共通>。 ・ 障害を理由に、乗車できる場所や時間帯を制限したり、障害のない人に対して付けない条件を付けたりする。 ・ 身体障害者補助犬の帯同を理由として乗車や乗船、搭乗を拒否する。 ・ 安全上の理由などがなく、座席制限が不要であるにもかかわらず、座席を制限する。 <鉄道>。 ・ 障害があることや車いすの利用等の社会的障壁を解消するための手段の利用等のみを理由として、乗車を拒否する。 ・ 段差が解消されていないなど施設がバリアフリー化されていないことのみをもって、駅の利用を一律に拒否する。 ・ 車いす利用者等であることのみをもって、鉄道駅の利用に事前の連絡を必須とする。 <バス>。 ・ 車いす使用者等に対し、混雑する時間のバス利用を避けてほしいと言う。 ・ 障害があることや車いすの利用等の社会的障壁を解消するための手段の利用等のみをもって、乗車を拒否する。 ・ 他の乗客に迷惑が掛かるという漠然とした理由で、お互いに相手の立場を尊重したうえでの相互理解を図ることなく、利用を拒否する。 ・ 運転者が、乗車スペースがあると認識していたにもかかわらず、介助者や他の乗客への協力を依頼することなく車いす使用者だけ乗車を拒否する。 ・ 車いす固定場所の座席を別の乗客が利用している状況において、固定場所の座席を利用している乗客に対し協力を求めることなく、すでに他の乗客が当該座席を利用していることのみをもって車いす利用者の利用を拒否する。 ・ 車いす利用者であることのみを理由に、その必要性についての情報提供を適切に行うことなく、路線バス利用に際して事前の連絡を条件とする。 <タクシー>。 ・ 車いすや白杖使用者など外見で障害者と認識して停車することなく乗車を拒否したり、障害者であると認識した時点で、正当な理由なく乗車を拒否したりする。 ・ 車いすの乗車設備、固定装置等がある車両であるにもかかわらず、車いす使用者の乗車を拒否する。 ・ 運転手が車いすをトランクに積むことで乗車が可能であるにもかかわらず、セダン型タクシーであることのみを理由に車いす使用者の乗車を拒否する。 P33。 ・ 障害者割引に対して、割引タクシー券の使用や領収書の発行を拒否する。 <飛行機>。 ・ 航空旅行に関して特段の支障等がないにもかかわらず、診断書の提出を求める。 ・ 同伴者がいないことを理由に、軽度な歩行困難な利用者の搭乗を拒否する。 ・ 車いすを受託手荷物として預かる際、運送中の破損等に係る会社の損害賠償責任を一切免除する条件など、正当な理由の説明がないにもかかわらず、他の受託手荷物と異なる受託条件を付す。 ・ 搭乗に係る規則等に抵触する際、当該規則等の趣旨、必要性などを説明することなく、規則等に抵触することだけを伝えて搭乗を拒否する。 ・ 有効期限の記載のある診断書を提出しており、当該有効期限内であるにもかかわらず、搭乗の都度、新たな診断書の提出を求める。 <船舶>。 ・ 船内宿泊の際、障害があることを理由に、個室の予約を断る。 正当な理由があるため、不利益な取扱いに該当しないと考えられる例。 ◆ 交通機関の施設や車両等の構造上やむを得ない場合、障害のある人の生命や安全の保護のためやむを得ないと認められる場合など。 <鉄道> ・ 車いす等を使用して列車に乗車する場合、段差が存在し、係員が補助を行っても上下移動が困難等の理由により、利用可能駅・利用可能列車・利用可能時間等の必要最小限の利用条件を示す。 ・ 車いす等を使用して列車を利用する際、無人駅等の場合などで段差にスロープ板を渡すなどの人員の手配が困難な場合や、車両の形態により車いす座席の調整が困難な場合。 ・ 希望される配慮を行うことによって大幅な運行遅延が見込まれ、他の乗客や後続の便に多大な影響を及ぼすことになる場合。 ・ 車いす等を使用して駅構内の移動や列車に乗車をする場合、段差があることなどによって、係員が補助を行っても車いす利用者、高齢者、ベビーカー利用者等の安全確保が困難等の理由により、利用できる駅や列車等を提示する。(安全の確保) ・ 車いす利用者等に対し、事前に関係個所との調整を行い、スムーズな乗降補助により待ち時間を短縮するため、列車に乗車する場合に、乗降に必要な利用者の情報の提供を求める。(権利・利益の保護) <バス> ・ 車内が混雑していて車いすスペースが確保できない場合、車いす使用者に説明した上で、次の便への乗車をお願いする。(安全の確保) P34。 ・ 低床式車両やリフト付きバスではなく、運転者一人で車いす使用者の安全な乗車を行うことが困難な場合、説明をした上で発車する。(事業の目的・内容・機能の維持) ・ 車いすの形態により、車いすがバスに設置されている固定装置に対応していないため、転倒等により車いす使用者や他の乗客が怪我をする恐れがあることから、乗車を遠慮してもらう。(安全の確保) ・ 道路や歩道が狭いことなどにより、バス停の前後においても車いすの乗降スペースを確保できない場合。 ・ 車いす使用者がバスに乗車する際、合理的配慮の提供等や、車いす使用者が安心して乗車でき、車内の利用者にも車いすスペースを空けてもらうよう協力していただきやすいように、可能な限り乗車予定の事前連絡の協力のお願いについてホームページ等で周知する。 <タクシー> ・ 車いすの乗車設備や固定装置等がないため、車いすを使用したまま乗車できない場合 ・ セダン式タクシーの場合、手動車いすや簡易電動車いす等の折りたたみ可能なものは、法令等の基準内においてトランクに(ひも等で縛り)積載が可能であるが、大型電動車いすなど折りたたみが不可能なため、車両に積載できない場合。(法令等の遵守) ・ 車いすからタクシー座席への移動等に当たって、介助人がおらずタクシードライバーだけでは対応できない場合。 ・ 駐停車禁止除外標章等の交付を受けていない車両において、駐停車禁止場所での乗降や車両を離れての介助行為等道路交通法等の法規制に抵触するサービスの提供が求められる場合。 ・ 乗務員の身体的理由から、車いす使用者の乗車の引受が困難な場合に乗車を拒否する。 <飛行機> ・ 客室乗務員等の本来の業務に付随するものでないため、食事・化粧室の利用などの介助が必要な利用者に対して、付き添いの方の同伴を求める。 ・ 使用機材、空港車両もしくは人員等の理由により、車いすのサイズと重量が搭載の規定範囲を超えていると判断される場合は、車いすの受託を断る。 ・ 定時性確保のため、通常よりも搭乗手続や保安検査に時間を要することから、十分な研修を受けたスタッフの配置や関係者間の情報共有により所要時間の短縮を図った上で必要最小限の時間を説明するとともに、搭乗に間に合う時間に空港に来てもらうよう依頼する。 ・ コミュニケーション等に係る合理的配慮の提供等を行っても、障害の種類や程度、人的体制・設備等から客観的に判断して、緊急時に職員の安全に関する指示が理解できないおそれがあり、職員が他の乗客の安全を図りつつ、可能な範囲で十分補助に努めたとしても安全に避難することが困難と考えられる場合に、当該障害者に介助者の付き添いを求める。(安全の確保) P35。 ・ 車いす使用者及び一般の利用者に円滑に搭乗・降機をしてもらうため、車いす使用者に対して、お互いに相手の立場を尊重しながら相互理解を図ったうえで、必要最小限の範囲で、最初の搭乗、最後の降機等を依頼する。(事業の目的・内容・機能の維持) ・ 身体が不自由な利用者、身体障害者補助犬を同伴される利用者等の緊急脱出時の援助者として行動することが困難と考えられる利用者に対して、非常口座席の利用を制限する。(安全の確保) ・ 保安上の理由により、障害者を含め全ての利用者を保安検査の対象とする。この場合において、補助具(義足、インプラント等)を利用しているお客様から、「金属探知機は補助具に反応しているので更なるチェックは不要である」との申し出があっても、航空保安の観点から、改めて補助具を外して金属探知機を通ってもらう、又は触手による検査を行う。(安全の確保) ・ 客室乗務員等の本来の業務に付随するものでないため、食事・化粧室の利用などの介助が必要な利用者に対して、付き添いの方の同伴を求める。(事業の目的・内容・機能の維持) ・ 本来の業務に付随するものでないため、包帯の交換や注射等医療行為は実施しない。(事業の目的・内容・機能の維持) ・ 車いすの受託に当たり取り外せる部分を取り外すなどの工夫を十分に行っても、なお使用機材、空港車両、人員等の理由により、車いすのサイズと重量が搭載の規定範囲を超えていると判断される場合は、車いすの受託を断る。(事業の目的・内容・機能の維持) ・ 受託する車いすの運搬ルート等の検討を十分に行っても、なお空港要件(エレベーターの有無や天候、車いすの重さなど)により航空機のドア付近(機側)で車いすの受託又は返却を行うことができないと判断される場合は、機側での車いすの受託又は返却を断る。(事業の目的・内容・機能の維持) ・ 短時間でのストレッチャーの着脱は不可能であるため、ストレッチャー使用者が希望される搭乗便の機材上の前後の便が満席であることを理由に、搭乗便の変更を依頼する。(安全の確保) ・ ストレッチャーの取り付け可能な空港が限られているため、搭乗便の変更を依頼する。(事業の目的・内容・機能の維持) ・ 混雑時に視覚障害のある利用者から搭乗の補助を求められた場合において、状況を丁寧に説明した上で、周囲の混雑状況が解消するまで、待合スペースでの待機を提案する。(安全の確保) ・ 車いす利用者の搭乗に際し、搭乗当日の待機時間の短縮を目的とした空港スタッフや客室乗務員の連携に必要な準備を行うために事業者が必要とする最小限の範囲で、あらかじめ書面の提出を求める。(権利・利益の保護) <船舶> ・ 障害の程度から客観的に判断して、緊急時に、乗組員が他の乗客の安全の確保を図りつつ補助を行ったとしても、安全に避難することが困難と考えられる場合において、当該障害者に介助者の付き添いを求める。(安全の確保) P36。 ・ 乗組員が乗降を補助する必要がある場合において、限られた乗組員で船舶を安全に離着岸させる都合上、乗下船の順番を前後させる。(安全の確保) ・ 障害者から誘導や介助を求められた際に、限られた乗組員により運航している関係上すぐに対応が困難である場合、丁寧に説明したうえで、待ってもらう。(事業の目的・内容・機能の維持) ・ 乗組員の不足により障害者のアテンドが困難であり、安全性等に問題がある場合、予約時点で理由を丁寧に説明するなどして、別日・時間への変更等を提案する。(事業の目的・内容・機能の維持) ・ 車いすご利用団体(一定数以上)乗船の場合において、限られた施設(エレベーターの数など)で対応するため、十分な研修を受けたスタッフの配置や関係者間の情報共有により所要時間の短縮を図った上でも、やむを得ず通常の乗船時間前に乗船手続及び乗船を行う。(事業の目的・内容・機能の維持) ・ 利用中の車いすの他に、手荷物として別途車いすを持ち込む場合(競技用車いすの持ち込みなど)には、格納場所等の確保の観点から、乗船日程や便をあらかじめ提案する。(事業の目的・内容・機能の維持) ・ 乗客タラップ損傷の一時的なハード面における課題時において、車いす利用者の乗船日程をハード面の課題解決後とする。(安全の確保) 合理的配慮と考えられる例。 <共通>。 ・ ウェブサイトで、障害のある利用者向けの情報を分かりやすく掲載する。 ・ 安全に関する案内について、視覚障害のある利用者に対して、個別に口頭で案内したり、点字のパンフレットを用意したりする。 ・ 安全や運行情報等について、聴覚に障害のある利用者が、音声情報を見て確認できるように、電光表示機器や貼紙等でも案内を行う。 ・ 電車やバスの中で、空席があるにもかかわらず、白杖使用者が立っている場合、声をかけて空席があることを知らせる。 ・ 障害者や介助者等からの意思の表明(障害特性によっては自らの意思を表現することが困難な場合があることに留意。以下同じ。)に応じて、コミュニケーションボードや筆談、IT 機器(タブレット等による図や絵)の活用等により対応を行う。 ・ 車いすの配置(環境の整備)に努めたうえで、障害者や介助者等からの意思の表明に応じて、所有台数の範囲内に限り、車いすの貸し出しを行う。 ・ 障害者割引制度などを、利用者へ積極的に周知・案内する。 ・ 利用者自身で使用する車いすを無料で預かる。 ・ 聴覚障害のある利用者に対して、利用に関する情報や緊急情報について、音声情報とともに視覚的情報手段(手話、字幕等)を提供する。 P37。 ・ 施設内にある資料、情報誌等を点字等に対応させたものを使用し、視覚障害のある利用者からの意思の表明に応じて、理解しやすいよう説明する。 ・ 利用者に対する割引制度やサービスの周知を行う。 ・ 車いす利用者との対話により、必要により最寄りの車いす利用者の目線に合わせた自動販売機やカウンター等を案内する。 <鉄道>。 ・ 障害者や介助者等からの意思の表明に応じて、関係者間の情報共有などにより待ち時間ができるだけ短くなるよう努めたうえで、障害者が列車に乗降したり、列車の乗降のために駅構内を移動したりするときに、手伝う。 ・ 券売機の利用が難しい場合、障害者や介助者等からの意思の表明に応じて、障害の特性に応じ、窓口で発売したり、券売機操作を手伝ったりする。 ・ 鉄道駅の混雑時において、障害者や介助者等からの意思の表明に応じて、通行の安全を確保するためや各障害特性に応じた案内、誘導を行う。 ・ 鉄道駅において、障害者や介助者等からの意思の表明に応じて、プラットホームと車両との段差や隙間を解消するために渡り板を提供し乗降の手助けを行う。 <バス>。 ・ 定期的にバスを利用する車いす使用者の利用時間に合わせ、路線を指定してバリアフリー対応の車両を配車する。 ・ 車いす使用者がバスに乗車する際、車いすスペースを空けてもらうよう車内案内により乗客へ協力をお願いする。 ・ スロープ板を出すことが困難なバス停では、前後の乗降可能な位置にバスを停車する。 ・ 運賃支払いの手助けを必要とする障害者について、障害の特性に応じた配慮をする。 ・ 低床式車両の位置情報サービスの提供をすでに実施している事業者については、適切に当該サービスを提供する。 ・ 運行に支障のない範囲で、バスと歩道等のすき間が広く開かないよう停車する。 ・ 視覚障害や聴覚障害のある利用者のため、音声合成装置や停留所名表示器を装備するなど、事業運営の範囲内で可能な限りハード面での充実を図るとともに、肉声による車内案内をこまめに行う。 ・ 車いす使用者の乗車ができないことがないように、スロープや車いす固定装置の整備・点検を徹底する。 ・ 運転者への教育等を行うことにより、高齢者や障害者等の特性を理解することで、本来業務に付随する範囲内において適切な接遇・介助や、必要に応じてトラブル防止のための車内案内を行う。 ・ 低床式車両やリフト付きバスでない場合、運転者ひとりで車いす使用者の安全な乗車を行うことは無理と判断し、他の利用者に車内マイクを使って協力をお願いする。 P38。 ・ 運行業務の範囲内において、やむを得ず通常の停留所から位置をずらして停車する場合には、乗客に対し、降車時の安全確保のための注意を促す。 ・ 障害者や介助者等からの意思の表明に応じて、乗降が困難な乗客に対しては、本来業務に付随する範囲内において介助等を行う。 ・ 混雑時に視覚障害のある利用者から乗降の補助を求められた場合において、状況を丁寧に説明した上で、周囲の混雑状況が解消するまで待機を提案する。利用者の了解が得られれば、混雑の解消後、乗降の補助を行う。 <タクシー>。 ・ 障害によりタクシーへの乗降が困難な乗客に対し、タクシードライバーが乗降時の介助を行う。 ・ 車いす等の大きな荷物がある乗客に対し、タクシードライバーがトランクへの収納等の手助けを行う。 ・ タクシー会社において、タクシードライバーが、ユニバーサルドライバー研修等により高齢者や障害者等の特性を理解した上で、適切な接遇・介助を行うことができるよう、運転者へ教育を行い、認識不足による無意識的な障害者の方の乗車拒否を防ぐ。 ・ 自身でシートベルトを装着することができない障害者に対して、乗車時にシートベルトの装着と装着確認をタクシードライバーが行う。 ・ 視覚障害のある利用者からあらかじめ降車地点を明確に伝えられている場合であって、交通状況等によりやむを得ず依頼のあった降車地点からずれた位置で停車せざるを得ない場合にあっては、停車する位置について停車前に旅客と相談する。 <飛行機>。 ・ 飛行機で、杖・松葉杖(先の尖ったものを除く)の機内持ち込みを許可する。 ・ 膝を曲げることが困難な利用者に、可能な限り利用者の要望に沿った座席を用意する。 ・ 車いす利用者の搭乗に際し、人的対応が可能な場合で、利用者の希望があれば、車いすのサイズと重量が対応可能な範囲内で、利用者自身の車いすを航空機のドア付近にて預かる。また、車いすの返却に当たっては、機内用車いすに座っている時間の長さなども考慮し、対応可能な範囲で、当該利用者と返却場所等を調整する。 ・ 車いす使用者に対して、一般の利用者に優先して搭乗を開始する。 ・ 視覚障害のある利用者や握力の弱い利用者、介助者等からの意思の表明に応じて、機内食の包装の開封を手伝う。 ・ 障害者や介助者等からの意思の表明に応じて、化粧室に行く際に移動を手伝う。 ・ 航空機に搭載可能な電動車いすのサイズの情報等を提供するとともに、航空機の予約や搭乗に係る障害のある利用者専用の窓口を設置する。 P39。 ・ 調整可能な範囲で、車いすを使用され、かつ階段の昇降ができない利用者の予約がある場合は、ボーディングブリッジのあるスポット又はリフトカー等を準備する。 ・ 乗り継ぎを行う際にお客様から希望があった場合において、遅延などの不可抗力を除いて、乗り継ぎ時間に間に合うよう、事業範囲内で移動のサポートや案内を行う。 ・ 障害者や介助者等からの意思の表明に応じて乗用カート及び車いすの貸し出しを行うとともに、ウェブサイトにて貸し出しの情報を掲載する。 ・ ロビー等に設置している椅子に優先席を設ける。 ・ 利用者の希望があれば、出発時は航空旅客ターミナル施設内からチェックインカウンターまで、到着時は到着ロビーから航空旅客ターミナル施設内の希望する場所まで、職員が同行する。また、その際には、利用者の移動及び手続きが円滑に進むよう、他の空港関係者と連携を行う。 ・ ピクトグラム等案内表示の解説を記載した航空旅客ターミナル施設内のパンフレットを準備(環境の整備)し、障害者や介助者等からの意思の表明に応じて、分かりやすく各種施設への案内を行う。 <船舶>。 ・ 車いす使用者からの申し出を受けて、旅客船の乗降時等に障壁がある場所において、職員による補助を行う。 ・ 電話や窓口において、障害者が事前に申告または相談したことについて、連携を図ることが可能な場合においては、関係部署への引継ぎや情報共有を行う。 ・ 車のまま乗船したい旨事前に申込みがあった場合には、可能な限り、客室に近い駐車スペースを確保する。 ・ 研修等により、車いす固定具やスロープなどの船舶設備の扱い方を乗組員が習熟することで、車いす使用者が必要とする際に、適切に対応を行う。 ・ 災害発生時を考慮し、迅速かつ円滑な補助を行うため、障害者や介助者等からの意思の表明に応じて、障害者の座席などを出入口付近やバリアフリートイレ付近を提案する。 ・ 車いす利用者や介助者等からの意思の表明に応じて、乗下船する際に段差があった場合にスロープを渡す等の対応を行う。 合理的配慮の提供義務違反に該当すると考えられる例。 <共通>。 ・ 電話利用が困難な障害者から直接電話する以外の手段(メールや電話リレーサービス等の手話を介した電話等)により各種手続が行えるよう対応を求められた場合に、具体的に対応方法を検討せずに対応を断る。 ・ 施設等の利用や移動に際して、事業範囲内で特別な支援を求める申出があった場合において、お互いに相手の立場を尊重した建設的対話を行うことなく、 「何かあったら困る」という抽象的な理由や「特別扱いはできない」という理由で、当該申出を断る。 P40。 <鉄道>。 ・ 車いす利用における乗降介助や駅構内の移動介助、券売機における購入補助、時刻や行先等の案内、その他特性に応じた社会的障壁の除去に関する申出に対して、「何かあったら困る」という抽象的な理由や「特別扱いはできない」という一方的な理由で、当該申出を断る。  合理的配慮の提供義務違反に該当しないと考えられる例。 <共通>。 ・ 管理外施設や車両外(公道等)における移動介助の依頼に対して、当該業務を事業の一環として行っていないことから、お互いに相手の立場を尊重しながら、建設的対話を行ったうえで、依頼を断る。(本来の業務に付随しないもの) ・ 排泄介助や飲食物の購入、荷物持ちなど、事業の一環として行っていない依頼を断る。(本来の業務に付随しないもの) ・ 障害内容や必要な配慮に関する情報の提供が行われない(配慮を提供する側がどのような対応をとることが適切であるか判断できない)状況において、建設的な対話なく配慮の提供を求める障害者の対応を断る。(障害者側が建設的対話に応じないもの) ・ 座席指定制を導入する乗合バスや鉄道・飛行機等において、車内・機内持ち込み医療器具等のために複数の座席を必要とする旅客について、1席を超える座席の旅客運賃を徴収する。(この場合においては、当該旅客に過度な負担が生じないよう、可能な限り配慮する。)(費用・負担が過重なもの) ・ 先着で販売している割引乗車券等について、障害のため当該販売開始日に購入手続を行うことが困難であることを理由に、当該割引乗車券等をあらかじめ別途確保しておくよう求められた場合において、当該対応を断る。(障害者以外と比べて同等以上の機会提供)。 ・ 障害を理由として、グリーン車や上等級への繰上要求が行われた場合に、理由を丁寧に説明した上で断る。(障害者以外と比べて同等以上の機会提供) ・ 客観的に見ても通常の範囲を超えた過剰な量の手荷物等を、職員や乗組員等に運搬させる要求に対し、理由を丁寧に説明したうえで断る。(本来の業務に付随しないもの)。 ・ サポートできる範囲などについて乗車、乗船及び搭乗前にお互いに相手の立場を尊重しながら、建設的対話を行わずに、介助者無しで単独利用された場合において、当初確認できていたサポート範囲以外のサービス(入浴、トイレ、食事、車いすから客席・ベッド等への移動やデッキ等での散策への同行のサポートなどに係る介助)を求められた際、その提供を断る。(本来の業務に付随しないもの) ・ 降車、下船、降機後に別の交通機関を利用する際、当該交通機関の駅等までの移動に同行を求められた際、その提供を断る。(本来の業務に付随しないもの)。・ P41。 (9)不動産取引。 不利益な取扱いに該当する可能性がある例。 ◆ 障害を理由として、不動産の売却、賃貸、転貸、賃借権の譲渡を拒否したり、制限したり、これに条件を付けたりするなど不利益な取扱いを行うこと。 ・ 物件一覧表に「障害者不可」と記載する。 ・ 障害者に対して、「当社は障害者向け物件は取り扱っていない」として話も聞かずに門前払いする。 ・ 車いすで物件の内覧を希望する障害者に対して、車いすでの入室が可能かどうかなど、賃貸人との調整を行わずに内覧を断る。 ・ 賃貸物件への入居を希望する障害者に対して、障害があることを理由に、又は先に契約が決まった事実がないにもかかわらず、「先に契約が決まったため案内できない」等、虚偽の理由にすり替えて説明を行い、賃貸人や家賃債務保証会社への交渉など、必要な調整を行うことなく仲介を断る。 ・ 障害者に対して、「火災を起こす恐れがある」等の懸念を理由に、必要な調整をすることなく仲介を断る。 ・ 一人暮らしを希望する障害者に対して、一方的に一人暮らしは無理であると判断して、仲介を断る。 ・ 車いすで物件の内覧を希望する障害者に対して、車いすでの入室が可能かどうか等、賃貸人との調整を行わずに内覧を断る。 ・ 障害者に対し、障害を理由とした誓約書の提出を求める。 ・ 賃貸物件への入居を希望する障害者に対し、障害があることを理由として、言葉遣いや接客の態度など一律に接遇の質を下げる。 ・ 障害があることやその特性による事由を理由として、契約の締結等の際に、必要以上の立会者の同席を求める。 ・ 契約の相手方に障害者が含まれることを理由に、賃貸借契約の締結を拒否する。 ・ 障害があることや車いすの利用等の社会的障壁を解消するための手段の利用等のみを理由として、客観的に見て正当な理由が無いにもかかわらず、賃貸物件への入居を希望する障害者に対して敷金や保証金等を通常より多く求める。 ・ 入居者募集を行う場合、緊急時に電話による連絡ができないという理由のみをもって入居を断る。 正当な理由があるため、不利益な取扱いに該当しないと考えられる例。 ◆ 建物の構造上やむを得ないと認められる場合など。 ・ 障害の状況等を考慮した適切な物件紹介や適切な案内方法等を検討するため、必要な範囲で、プライバシーに配慮しつつ、障害者に障害の状況等を確認する。(権利・利益の保護) P42。 合理的配慮と考えられる例。 <物件の紹介>。 ・ 障害者が物件を探す際に、障害者や介助者等からの意思の表明(障害特性によっては自らの意思を表現することが困難な場合があることに留意。以下同じ。)に応じて、最寄り駅から物件までの道のりを一緒に歩いて確認したり、1軒ずつ中の様子を手を添えて丁寧に案内する。 ・ 車いすを使用する障害者が住宅を購入する際に、住宅購入者の費用負担で間取りや引き戸の工夫、手すりの設置、バス・トイレの間口や広さ変更、車いす用洗面台への交換等を行うこと等を希望する場合において、宅建業者が住宅のリフォーム等に関わるときは、売主等に顧客の希望を適切に伝える等必要な調整を行う。 ・ 物件案内時に、障害者や介助者等からの意思の表明に応じて、段差移動のための携帯スロープを用意する。 ・ 障害者や介助者等からの意思の表明に応じて、バリアフリー物件等、障害者が不便と感じている部分に対応している物件があるかどうかを確認する。 ・ 物件案内時に、障害者や介助者等からの意思の表明に応じて、車いすを押して案内をする。 ・ 物件案内の際、障害者や介助者等からの意思の表明に応じて、肢体不自由で移動が困難な障害者に対し、事務所と物件の間を車で送迎する。 ・ 障害者や介助者等からの意思の表明に応じて、物件のバリアフリー対応状況が分かるよう、写真を提供する。 ・ 障害者の居住ニーズを踏まえ、バリアフリー化された物件等への入居が円滑になされるよう、住宅確保要配慮者居住支援協議会の活動等に協力し、国の助成制度等を活用して適切に改修された住戸等の紹介を行う。 <契約・入居> ・ 車いす使用者のために、専用駐車場を確保する。 ・ 車いすを使用する障害者が住宅を購入する際、住宅購入者の費用負担で間取りや引き戸の工夫、手すりの設置、バス・トイレの間口や広さ変更、車いす用洗面台への交換等を行う場合、必要な調整を行う。 ・ 種々の手続きにおいて、障害者や介助者等からの意思の表明に応じて、文章を読み上げたり、書類の作成時に書きやすいように手を添える。 ・ 障害者や介助者等からの意思の表明に応じて、契約内容等に係る簡易な要約メモを作成したり、家賃以外の費用が存在することを分かりやすく提示したりする等、契約書等に加えて、相手に合わせた書面等を用いて説明する。 ・ 書類の内容や取引の性質等に照らして特段の問題が無いと認められる場合に、自筆が困難な障害者からの要望を受けて、本人の意思確認を適切に実施した上で、代筆対応する。 P43。 ・ 障害者や介助者等からの意思の表明に応じて、物件の案内や契約条件等の各種書類をテキストデータで提供する、ルビ振りを行う、書類の作成時に大きな文字を書きやすいように記入欄を広く設ける等、必要な調整を行う。 合理的配慮の提供義務違反に該当すると考えられる例。 ・ 内見等に際して、移動の支援として、車いすを押して案内を行う、事務所と物件の間を車で送迎する等の対応を求める申出があった場合に、「何かあったら困る」という抽象的な理由で具体的な支援の可能性を検討せず、支援を断る。 ・ 重要事項の説明等を行うにあたって、知的障害を有する者やその家族等から分かりづらい言葉に対して補足を求める旨の意思の表明があったにもかかわらず、補足をすることなく説明を行う。 ・ 建物内の掲示又は各戸に配布されるお知らせ等について、障害者やその家族・介助者等から文章の読み上げやテキストデータによる提供を求める旨の意思の表明があったにもかかわらず、具体的に対応方法を検討せずに対応を断る。 合理的配慮の提供義務違反に該当しないと考えられる例 ・ 宅建業者が、歩行障害を有する者やその家族等に、個別訪問により重要事項説明等を行うことを求められた場合に、個別訪問を可能とする人的体制を有していないため対応が難しい等の理由を説明した上で、当該対応を断ること。(なお、個別訪問の代わりに、相手方等の承諾を得て、WEB 会議システム等を活用した説明を行うこと等により歩行障害を有する者が不動産取引の機会を得られるよう配慮することが望ましい。) P44。 (10)情報の提供・コミュニケーション。 不利益な取扱いに該当する可能性がある例。 ◆ 障害を理由として、情報の提供を拒否したり、制限したり、これに条件を付けたりするなど不利益な取扱いをすること。 ◆ 障害を理由として、意思の表示を受けることを拒否したり、制限したり、これに条件を付けたりするなど不利益な取扱いをすること。 ・ 障害を理由に説明会やシンポジウム等への出席を拒む。 ・ 障害を理由に、窓口対応を拒否する。 ・ 本人又はその家族等の意思(障害のある人の意思を確認することが困難な場合に限る)に反したサービス等を行う。 正当な理由があるため、不利益な取扱いに該当しないと考えられる例。 ◆ その情報を提供することにより他者の権利利益を侵害するおそれがあると認められる場合など。 ◆ 障害のある人が選択した意思表示の方法では障害のある人の表示しようとする意思を確認することに著しい支障がある場合など。 ・ 「(1)各分野共通」を参照。 合理的配慮と考えられる例。 ・ 障害の特性に応じ、筆談、要約筆記、読み上げ、手話、点字、コミュニケーションボードなど多様なコミュニケーション手段や、分かりやすい表現を使って説明をするなど、相手に合わせた意思疎通の配慮を行う。 ・ 視覚障害者及び盲ろう者に資料提供する際、読み上げソフト及び点字変換ソフトに対応できるよう電子データ(テキスト形式)で提供する。 ・ 視覚障害者に対し、会合や研修会で点字資料を提供したり、あらかじめデータ資料を提供したりする。 ・ 拡大文字等で資料等を作成した際に、各々の媒体間でページ番号等が異なり得ることに留意して使用する。 ・ 聴覚障害のある人に対し、必要に応じて、手話通訳や要約筆記者を配置したり、必要な情報や連絡事項等をメモに書いて渡したりする。 ・ 比喩表現等が苦手な障害者に対し、直喩や暗喩、二重否定表現などを用いずに説明する。 ・ 知的障害者から申出があった際に、ゆっくり、丁寧に、繰り返し説明し、内容が理解されたことを確認しながら対応する。また、なじみのない外来語は避ける、漢数字は用いない、時刻は24時間表記ではなく午前・午後で表記するなどの配慮を念頭に置いたメモを、必要に応じて適時に渡す。 ・ 言葉だけを聞いて理解することや意思疎通が不得意な障害者に対し、絵カードやタブレット端末等のICT機器を活用して意思を確認する。 P45。 ・ 書類記入の依頼時に、記入方法等を本人の目の前で示したり、分かりやすい記述で伝達したりする。 ・ 書類の内容や性質に照らして特段の問題がないと認められる場合に、自筆が困難な障害のある人からの要望を受けて、本人の意思確認を適切に実施した上で、代読や代筆を行う。 ・ 災害や事故が発生した際、放送等で避難情報等の緊急情報を聞くことが難しい聴覚障害者に対し、電光掲示板や手書きのボード等を用いて分かりやすく伝えたり、誘導したりする。 ・ 災害や事故が発生した際、掲示された避難情報等の緊急情報を知ることが難しい視覚障害者に対し、直接口頭で伝えたり、手を引いて誘導したりする。 ・ 災害や事故の発生に伴い避難所に避難した場合、視覚障害者は体育館など広い空間の真ん中で移動することは難しいため、壁に触れられる出入口に近い場所等に誘導する。 【コラム】。 ■合理的配慮等具体例データ集「合理的配慮サーチ」。 どのような場合が「障害を理由とする不利益な取扱い」に当たるか、「合理的配慮」として何をすればよいかは、障害の特性や具体的場面・状況に応じて異なります。 このため、国では、全国の具体例を収集・整理し、合理的配慮等具体例データ集「合理的サーチ」を内閣府のホームページに設置しています。 障害の種別や生活の場面から探すこともできますので、本ガイドラインと併せてご活用ください。 【障害の種別】 視覚障害、聴覚障害、盲ろう、肢体不自由、知的障害、精神障害、発達障害、難病等。 【生活の場面】 行政機関、教育、雇用・就業、公共交通、医療・福祉、サービス(買い物・飲食店など)、災害時。 注釈、 本データ集に事例として掲載されていることをもって、当該事例を合理的配慮として提供しないことがただちに法や県条例に違反するもの(提供を義務付けるもの)ではない点にご留意ください。 P46。 2 障害別。 (1)肢体不自由。 【車いすを使用されている場合】。 ○ 脊髄損傷(対麻痺又は四肢麻痺、排泄障害、知覚障害、体温調節障害など)。 ○ 脳性麻痺(不随意運動、手足の緊張、言語障害、知的障害重複の場合もある)。 ○ 脳血管障害(片麻痺、運動失調)、など。 〔主な特性〕。 ・ 病気等による筋力低下や関節損傷などで歩行が困難な場合もある。 ・ ベッドへの移乗、着替え、洗面、トイレ、入浴など、日常の様々な場面で援助が必要な人の割合が高い。 ・ 手動車いすの使用が困難な場合は、電動車いすを使用する場合もある。 ・ 障害が重複する場合には、呼吸器を使用する場合もある。 ・ 階段や少しの段差が通行の妨げになる。 ・ 手指や手、腕に障害がある人は、文字を書いたり、お金の扱いなど、細かな手先の動作に大変苦労する。 〔障害特性を踏まえた対応〕。 ・ 段差をなくす、車いす移動時の幅・走行面の斜度、車いす用トイレ・施設のドアを引き戸や自動ドアにするなどの配慮を行う。 ・ 車いすが入れる高さや手の届く範囲を考慮する。 ・ ドアやエレベーターのボタンなど、機器操作の配慮を行う。 ・ 目線をあわせて会話する。 ・ エレベーターを設置する。 ・ 杖等を使用している場合は、滑りやすい床は転倒しやすいため、雨天時等は配慮する。 ・ トイレに杖置きを設置したり、靴の履き替えが必要な場合に椅子を用意したりする。 ・ 上肢の障害があれば、片手や筋力低下した状態で作業ができるように配慮する。 ・ 机アプローチ時に車いすが入れる高さや作業を容易にする手の届く範囲を考慮する。 ・ 脊髄損傷者は体温調整障害を伴うことがあるため、部屋の温度管理に配慮する。 【杖などを使用されている場合】。 ○ 脳血管障害(歩行可能な片麻痺、運動失調) など。 〔主な特性〕。 ・ 階段や少しの段差が通行の妨げになる。 ・ 長距離の歩行や、階段、段差、エスカレーター、人込みでの移動が困難な場合もある。 P47。 ・ 麻痺の程度が軽いため、杖や装具歩行が可能な場合や、切断者などで義足を使用して歩行可能な場合は、日常生活動作は自立している人が多い。 ・ 失語症や高次脳機能障害がある場合もある。 〔障害特性を踏まえた対応〕。 ・ エレベーターや手すりを設置する。 ・ 滑りやすい床などは転びやすいので、雨天時などの対応をする。 ・ トイレでの杖置きの設置や、靴の履き替えが必要な場合に椅子を用意するなどする。 ・ 上肢の障害がある場合、片手や筋力低下した状態で作業ができるよう配慮する。 【上肢(肩から関節を含む手指)に障害がある場合】。 ○ 欠損。 ○ 変形障害:可動域に制限が生じる。 ○ 運動機能障害:動作に制限が生じる、など。 〔主な特性〕。  ・ 身体のバランスを上手くとることが難しいため、歩行が困難になる人もいる。 ・ 両上肢に障害がある場合は、配慮すべき場面が多くなり、支援が必要となることがある。 ・ 物を掴んだり持ち上げたりといった行為が難しい場合もある。 〔障害特性を踏まえた対応〕。 ・ 片手に荷物を持ったときのドアや鍵の開閉の補助や、買物等で会計をする際に荷物を置くスペースや置台を設置する。 ・ 機器操作や瓶、ペットボトル等の蓋開けの配慮をする。 ・ 食事面では、ナイフ・フォークの使用が難しいときは、一口サイズにカットする等の配慮や、バイキング形式の食事では、トレーで食べ物を運ぶのが難しいため、配膳の補助やワゴンを用意する等の配慮をする。 (2)内部障害。  ○ 心臓機能、じん臓機能、呼吸器機能、ぼうこう・直腸機能、小腸機能、肝臓機能、ヒト免疫不全ウィルス(HIV)による免疫機能等の障害、など。 〔主な特性〕。 ・ 疲れやすく、長時間の立位や作業が困難な場合がある。 ・ 外見からは分かりにくいため、周りの人に理解されにくい。 ・ 進行性の疾患を患っている人もおり、症状の変化で不安を抱えたり、継続的な医療や介護が必要だったりする人もいる。 ・ 定期的な通院、本人による自己管理、周囲の理解ある配慮などにより生活のリズムを守り、体調を維持することが大切である。 P48。 〔障害特性を踏まえた対応〕。 ・ 常に医療的対応を必要とすることが多いことを理解して、配慮する。 ・ 内部障害のある人が仕事をするときは、体調に配慮した出退勤時刻や休暇・休憩、通院等とともに、障害のある人の負担の程度に応じて、業務量や配置する職場等に配慮する。 ・ ペースメーカーは電気や磁力の影響を受けることがあるので、注意すべき機器等に配慮する。 ・ 人工肛門の場合、排泄においてパウチ洗浄等特殊な設備が必要となるので、配慮する。 ・ 呼吸器機能障害のある人は、慢性的な呼吸困難、息切れ、咳等の症状があることを理解し、息苦しくならないよう、楽な姿勢でゆっくり話をしてもらう。 ・ 常時酸素吸入が必要な人は、携帯用酸素ボンベが必要な場合があるので、配慮する。 ・ 人工透析が必要な人については、通院の配慮をする。 【コラム】。 ■内部障害の種類。 心臓機能障害。 不整脈、狭心症、心筋症等のために心臓機能が低下してしまう障害で、ペースメーカー(胸部に埋め込み、心臓に刺激を与えて脈拍を正常に調整する医療器具)等を使用している人もいる。 じん臓機能障害。 じん臓の機能が低下した障害で、定期的な人工透析(じん臓の機能を人工的に代替する医療行為)に通院している人もいる。 呼吸器機能障害。 呼吸器系の病気により呼吸機能が低下した障害で、酸素ボンベを携帯したり、人工呼吸器(ベンチレーター)をしたりしている人もいる。 ぼうこう・直腸機能障害。 ぼうこう疾患や腸管の通過障害で、排泄物を体外に排泄するための人工肛門・人工膀胱を付けている人(オストメイト)もいる。 小腸機能障害。 小腸の機能が損なわれた障害で、食事を通じた栄養維持が困難なため、定期的に静脈から輸液の補給を受けている人もいる。 ヒト免疫不全ウィルス(HIV)による免疫機能障害。 HIVによって免疫機能が低下した障害で、非常に重い日和見感染症やがんの発生が特徴であるが、発症前でも体重減少、疲労感、発熱や下痢の繰り返し、貧血などの漠然とした症状が出る人もいる。 肝臓機能障害。 いろいろな原因によって肝臓の機能が低下している障害で、脂肪肝、肝炎、肝硬変、肝がんなどがあり、初期症状はほとんどないが、悪化してくると、倦怠感、黄疸、腹水などの症状が現れる。 P49。 (3)視覚障害(視力障害・視野障害)。 〔主な特性〕。 ・ 全く見えない、文字がぼやけて読めない、物が半分しか見えない、望遠鏡を通しているように一部分しか見えないなど、様々な見え方がある。 ・ 文字を読むことができても、歩いているときに障害物にぶつかったり、つまずいてしまったりする人、障害物を避けてぶつからずに歩くことはできるが、文字は読めない人など、個人差がある。 ・ 先天性で受障する人のほか、最近は糖尿病性網膜症などで受障する人も多く、高齢者では、緑内障や黄斑部変性症が多い。 ・ 視力障害、視野障害の状況によって、明るさの変化への対応が困難なため、移動などに困難さを生じる場合も多い。 〔障害特性を踏まえた対応〕。 ・ 音声や点字表示など、視覚情報を代替する配慮を行う。 ・ 中途受障の人は、白杖を用いた歩行や点字の触読が困難な人も多いため留意する。 ・ 声をかける時には前から近づき「○○さん、こんにちは。△△です。」など自ら名乗る。 ・ 説明する時には「それ」「あれ」「こっち」「このくらいの」などと指差し表現や指示代名詞で表現せず、「あなたの正面」「2時の方向※」「○○くらいの大きさ」などと具体的に説明する。※時計の文字盤に例えて位置を知らせること。(クロックポジション) ・ 普段から通路(点字ブロックの上等)に通行の妨げになるものを置かない。 ・ 日頃、視覚障害がある人が使用している物の位置を変えない。 ・ 視覚障害のある人が戸惑っているのを見かけたときは、声をかけて、何らかの配慮等が必要かどうか確認する。 ・ 主に弱視の場合、室内における照明の状況に応じて、窓を背にして座ってもらうなどの配慮が必要となる。 ≪視力障害≫。 □ 全盲は、視覚的な情報を全く得られない又はほとんど得られない人。 □ 弱視は、文字の拡大や視覚補助具等を使用し保有する視力を活用できる人。 ・ 視力をほとんど活用できない人の場合、音声、触覚、嗅覚など、視覚以外の情報を手がかりに周囲の状況を把握している。 ・ 文字の読みとりは、点字に加えて最近では画面上の文字情報を読み上げるソフトを用いてパソコンで行うこともある(点字の読み書きができる人ばかりではない)。 ・ 視力をある程度活用できる人の場合は、補助具を使用したり、文字を拡大したり、近づいて見るなどの様々な工夫をして情報を得ている。 ≪視野障害≫、(目を動かさないで見ることのできる範囲が狭くなる)。 □ 求心性視野狭窄は、見える部分が中心だけになって、段々と周囲が見えなくなる。遠くは見えるが足元が見えず、つまづきやすくなる。 □ 中心暗転は、周囲はぼんやり見えるが、真ん中は見えない。文字等、見ようとする部分が見えなくなる。 P50。 (4)聴覚障害。                            〔主な特性〕。 ・ 補聴器がなくてもなんとか会話が聞き取れる人、補聴器をつけても会話が聞き取りにくい人、両耳とも音が聞き取れない人、片耳はよく聞こるが片耳は音が聞き取れない人など、様々な聞こえ方がある。 ・ 聴覚障害のある人には、言語障害を伴う人とほとんど伴わない人がいる。 ・ 聴覚障害のある人は、聞こえ方やこれまでの生活によって、それぞれコミュニケーションの方法を身につけている。 ・ 補聴器や人工内耳を装用するほか、コミュニケーション方法には、音声での会話、手話、筆談、読話(相手の口の形や動きで話を読み取る)など、様々な方法があり、多くの人は、どれか一つの方法だけを使うのではなく、いくつかの方法を相手や場面に応じて組み合わせて使っている。 ・ 補聴器や人工内耳を装用している場合、スピーカーを通じる等、残響や反響のある音は、聞き取りの効果が得られにくい。 ・ 聴覚の活用による言葉の習得に課題があることにより、聴覚障害者の国語力は様々であるため、筆談の場合は相手の状況に合わせる。 〔障害特性を踏まえた対応〕。 ・ 手話や文字表示など、目で見てわかるように情報を提示する。 ・ 聴覚障害のある人と出会ったら、まず、どのような方法(音声、手話、筆談など)でコミュニケーションをとればよいか本人に確認する。 ・ 補聴器や人工内耳を装用し、残響や反響のある音を聞き取ることが困難な場合には、磁気誘導ループなど代替する対応に配慮する。 ・ 音声だけで話すことは極力避け、視覚的なより具体的な情報も併用する。 ・ スマートフォンなどの音声を文字に変換できるアプリを使用して筆談を補う。 (5)盲ろう(視覚と聴覚の重複障害)。 〔主な特性〕。 ・ 視覚と聴覚の重複障害の人を「盲ろう」と呼んでいるが、障害の状態や程度によって様々なタイプに分けられる。(「(3)視覚障害」や「(4)聴覚障害」を参照)。 <見え方と聞こえ方の組み合わせによるもの>。 ・ 全く見えず聴こえない状態の「全盲ろう」。 ・ 見えにくく聴こえない状態の「弱視ろう」。 ・ 全く見えず聴こえにくい状態の「盲難聴」。 ・ 見えにくく聴こえにくい状態の「弱視難聴」。 <各障害の発症経緯によるもの> ・ 盲(視覚障害)から聴覚障害を伴った「盲ベース盲ろう」。 ・ ろう(聴覚障害)から視覚障害を伴った「ろうベース盲ろう」。 ・ 先天的、あるいは乳幼児期に視覚と聴覚の障害を発症する「先天性盲ろう」。 P51。 ・ 成人期以後に視覚と聴覚の障害が発症する「成人期盲ろう」。 ・ 盲ろう者がそれぞれ使用するコミュニケーション手段は、障害の状態や程度、盲ろうになるまでの経緯、あるいは成育歴、他の障害との重複の仕方によって異なり、介助方法も異なる。 ・ テレビやラジオを楽しむことや、本や雑誌を読むことなどもできず、家族といてもほとんど会話がないため、孤独な生活を強いられることが多い。 〔障害特性を踏まえた対応〕。 ・ 盲ろう者関係機関に相談し、対応に関する助言を受ける。 ・ 障害の状態や程度に応じ視覚障害や聴覚障害の人と同じ対応が可能な場合もあるが、同様な対応が困難な場合が多く、手書き文字や触手話、指点字などの代替する対応に配慮する。 ・ 移動の際には、誘導等の配慮をする。 ・ 言葉の通訳に加えて、視覚的・聴覚的情報についても意識的に伝える。(状況説明として、人に関する情報(人数、性別等)や環境に関する情報(部屋の大きさや机の配置、その場の雰囲気等)など) (6)構音障害。 ○ 話す運動機能の障害。 ○ 聴覚障害。 ○ 咽頭摘出、など。 〔主な特性〕。 ・ 話す言葉自体を、聞く側が聞き取ることが困難な状態。 〔障害特性を踏まえた対応〕。 ・ しっかりと話を聞く。 ・ 会話補助装置などを使ってコミュニケーションをとることも考慮する。 (7)失語症。 〔主な特性〕。 ・ 聞くことの障害。 ・   音は聞こえるが、「ことば」の理解に障害があり「話」の内容がわからない。 ・   単語や簡単な文なら分かる人でも、早口や長い話になると分からなくなる。 ・ 話すことの障害。 ・   伝えたいことをうまく言葉や文章にできない。 ・   発話がぎこちない、言いよどみが多くなったり、誤った言葉で話したりする。 ・ 読むことの障害。 ・   文字を読んでも理解が難しい。 ・ 書くことの障害。 ・   書き間違いが多い、また「てにをは」などをうまく使えない、文を書くことが難しい。 P52。 〔障害特性を踏まえた対応〕。 ・ 表情が分かるよう、顔を見ながら、ゆっくりと短いことばや文章で、分かりやすく話しかける。 ・ 一度でうまく伝わらないときは、繰り返して言ったり、別のことばに言い換えたり、文字(場合によっては意味がわかるよう漢字を使用することも有効)や絵で書いたり、写真・実物・ジェスチャーで示したりすると理解しやすい。 ・ 「はい」「いいえ」で答えられるように問いかけると理解しやすい。 ・ 話し言葉以外の手段(カレンダー、地図、時計など身近にあるもの)を用いると、コミュニケーションの助けとなる。 (8)重症心身障害・その他医療的ケアが必要な者。 〔主な特性〕。 ・ 自分で体を動かすことが困難な重度の肢体不自由と、年齢に相応した知的発達がみられない重度の知的障害が重複している場合がある。 ・ ほとんど寝たままで自力では起き上がれない状態が多く、特殊型車いすを使用。 ・ 移動、食事、着替え、洗面、トイレ、入浴などが自力ではできないため、日常の様々な場面で介助者による援助が必要(紙おむつを使用していることが多い)。 ・ 常に医学的管理下でなければ、呼吸することも栄養を摂ることも困難な人もいる。 ・ 鼻に留置した管や胃ろう等から医療用ミルクやミキサー食を注入する人がいる。 ・ 重度の肢体不自由や重度の知的障害はないが、人工呼吸器を装着するなど医療的ケアが必要な人もいる。 ・ 言葉でのコミュニケーションが困難な人が多い。 〔障害特性を踏まえた対応〕。 ・ 人工呼吸器などを装着して大型の車いすで移動する人もいるため、電車やバス、エレベーターの乗降時等において、周囲の人が手伝って車いすを持ち上げたり、本人又は介助者と対話し、対応可能な配慮を行うなどの配慮が必要。 ・ 体温調整がうまくできないことも多いため、急な温度変化を避け、本人又は介助者と対話し、対応可能な配慮を行う。 ・ 医療機器や器具の衛生面での配慮が必要。 (9)知的障害。 〔主な特性〕。 ・ 概ね18歳頃までの心身の発達期に現れた知的機能の障害により、生活上の適応に困難が生じる。 ・ 「考えたり、理解したり、読んだり、書いたり、計算したり、話したり」する等の知的な機能に発達の遅れが生じる。 ・ 金銭管理、会話、買い物、家事などの社会生活への適応に、状態に応じた援助が必要。 ・ 主な原因として、ダウン症候群などの染色体異常、または先天性代謝異常によるものや、脳症や外傷性脳損傷などの脳の疾患があるが、原因が特定できない場合もある。 P53。 ・ てんかんを合併する場合もある。 ・ ダウン症候群の場合の特性として、筋肉の低緊張、多くの場合、知的な発達の遅れがみられること、また心臓に疾患を伴う場合がある。 ・ 知的な能力の障害のために、生活をする上で様々な支障が生じるため、それぞれの障害の状態に応じた様々な支援を必要とする。 ・ 就職し自活している人など一人で行動できる人もたくさんいるが、苦手な分野や障害の状態は人によって違い、理解や判断を助ける支援者や介助者等と行動を共にしている人もいる。 ・ 障害の状態によって、複雑な事柄の理解や判断、込み入った文章や会話の理解が不得手だったり、おつりのやりとりのような日常生活の中での計算も苦手だったりする。 ・ 一見しただけでは障害が分かりにくく、少し話しただけでは障害があることを感じさせない人もいるが、自分の置かれている状況や抽象的な表現を理解することが苦手だったり、未経験の出来事や状況の急な変化への対応が困難だったりする人が多い。 ・ 障害の程度には個人差が大きく、支援の仕方は一人ひとり異なる。 〔障害特性を踏まえた対応〕。 ・ 言葉による説明などを理解しにくいため、ゆっくり、丁寧に、わかりやすく話す。 ・ 文書は、漢字を少なくしてルビを振る、文書をわかりやすい表現に直すなどの配慮で理解しやすくなる場合があるが、一人ひとりの障害の特性により異なる。 ・ 写真、絵、ピクトグラムなど分かりやすい情報提供を工夫する。 ・ 説明が分からないときに提示するカードを用意したり、本人をよく知る支援者が同席したりするなど、理解しやすくなる環境を工夫する。 P54。 (10)精神障害。 ○ 精神障害の原因となる精神疾患は様々であり、原因となる精神疾患によって、その障害特性や制限の度合いは異なる。 ○ 精神疾患の中には、長期にわたり、日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態が続くものがある。 ○ 代表的な精神疾患として、統合失調症や気分障害等がある。 ○ 障害の特性も様々であるため、積極的に医療機関と連携を図る、専門家の意見を聴くなど、関係機関と協力しながら対応する。  【統合失調症】。 〔主な特性〕。 ・ 発症の原因はよく分かっていないが、100人に一人弱かかる、比較的一般的な病気である。 ・ 「幻覚」や「妄想」が特徴的な症状だが、その他にも様々な生活のしづらさが障害として表れることが知られている。 ・ 苦手な分野、障害の状態は人によって違うが、適切な治療・服薬と周囲の配慮を得ることなどにより、就職し、地域で安定した生活を送っている人もたくさんいる。 ・ 精神障害のある人は、ストレスに弱く疲れやすい、対人関係やコミュニケーションが苦手、緊張が強く周囲の環境になじみにくいなどの状態にあることが比較的多い。 ・ 一見しただけでは障害がわかりにくく、少し話しただけでは障害があることを感じさせない人もいるが、自分の気持ちをうまく伝えることや長い時間集中することが苦手であったり、状況変化への対応が苦手で、臨機応変に対応しづらかったりする人も多くいる。  《陽性症状》。    幻覚は、実態がなく他人には認識できないが、本人には感じとれる感覚のこと。       中でも、自分の悪口やうわさ、指図する声等が聞こえる幻聴が多い。    妄想は、明らかに誤った内容を信じてしまい、周りが訂正しようとしても受け入れ られない考えのこと。誰かにいやがらせをされているという被害妄想、周囲のことが何でも自分に関係しているように思える関係妄想などがある。  《陰性症状》。    意欲が低下し、以前からの趣味や楽しみにしていたことに興味を示さなくなる。    疲れやすく集中力が保てず、人付き合いを避け引きこもりがちになる。    入浴や着替えなど清潔を保つことが苦手となる。など。  《認知や行動の障害》。    考えがまとまりにくく何が言いたいのか分からなくなる。    相手の話の内容がつかめず、周囲にうまく合わせることができない。など。 P55。 〔障害特性を踏まえた対応〕。 ・ 統合失調症は脳の病気であることを理解し、病気について正しい知識を学ぶ必要がある。 ・ 薬物療法が主な治療となるため、服薬を続けられるよう配慮する。 ・ 対人関係に敏感であることを理解し、陰口や批判的な言い方は避ける。 ・ 社会との接点を保つことも治療となるため、本人が病気と付き合いながら、他人と交流したり、仕事に就いたりすることを見守る。 ・ ストレスや環境の変化に弱いことを理解し、配慮した対応を心掛ける。 ・ 一度に多くの情報が入ると混乱するので、伝える情報は紙に書くなどして整理してゆっくり具体的に伝えることを心掛ける。 ・ 症状が強い時には無理をさせず、しっかりと休養をとったり、速やかに主治医を受診したりすることなどを促す。 【気分障害】。 気分の波が主な症状としてあらわれる病気。 ○ うつ病:うつ状態のみを認める場合。 ○ 双極性障害(躁うつ病):うつ状態と躁状態を繰り返す場合。 <うつ病の主な特性>。 ・ 気持ちが強く落ち込み、何事にもやる気が出ない、疲れやすい、考えが働かない、自分が価値のない人間のように思える、死ぬことばかり考えてしまい実行に移そうとするなどの症状が出る。 <双極性障害(躁うつ病)の主な特性> ・ 気持ちが過剰に高揚し、普段ならあり得ないような浪費をしたり、ほとんど眠らずに働き続けたりする。その一方で、ちょっとしたことにも敏感に反応し、他人に対して怒りっぽくなったり、自分ではなんでもできると思い込んで人の話を聞かなくなったりする。 〔障害特性を踏まえた対応〕。 ・ 専門家の診察のうえで、家族や本人、周囲の人が病気について理解する。 ・ 薬物療法が主な治療となるため、服薬を続けられるよう配慮する。 ・ うつ状態の時は無理をさせず、しっかりと休養をとれるよう配慮する。 ・ 躁状態の時は、金銭の管理、安全の管理などに気を付け、対応が難しいときには専門家に相談する。 ・ 自分を傷つけてしまうことや、自殺に至ることもあるため、自殺などを疑わせるような言動があった場合には、本人の安全に配慮したうえで、速やかに専門家に相談するよう本人や家族等に促す。 【てんかん】。 〔主な特性〕。 ・ 何らかの原因で、一時的に脳の一部が過剰に興奮することにより、発作が起きる。 P56。 ・ 発作には、けいれんを伴うもの、突然意識を失うもの、意識はあるが認知の変化を伴うものなど、様々なタイプのものがある。 〔障害特性を踏まえた対応〕。 ・ 誰もがかかる可能性がある病気であり、専門家の指導の下に内服治療を行うことで、多くの者が一般的な生活が送れることを理解する。 ・ 発作が起こっていないほとんどの時間は普通の生活が可能なので、発作がコントロールされている場合は、過剰に活動を制限しない。 ・ 内服を適切に続けることが重要であるため、内服を続けられるよう配慮する。 ・ 発作が起こった場合には、本人の安全を確保したうえで専門機関に相談する。 【高次脳機能障害】。 〔主な特性〕。 ・ 脳卒中等の病気や交通事故などで脳の一部が損傷を受けたことによって起こる障害である。 ・ 忘れっぽく何度も同じことを聞いたりする「記憶障害」、集中力がなくミスが多くなる「注意障害」、計画を立てることが苦手で要領が悪い「遂行機能障害」、感情のコントロールが苦手、無気力・無関心といった特徴のある「社会的行動障害」等がある。 〔障害特性を踏まえた対応〕。 ・ 一つの行動ごとに声をかけたり、急な予定変更を避けたりするなどの工夫をする。 ・ 記憶障害の場合は、手がかりがあると思い出せるので、手帳やメモ、アラームを利用したり、ルートマップを持ち歩いたりする。 【依存症(アルコール)】。 〔主な特性〕。 ・ 飲むことが良くない状況やタイミング等をわかっているにもかかわらず、飲酒したいという強い欲求がコントロールできず、過剰に飲酒したり、昼夜問わず飲酒したりすることで、身体的、社会生活上の様々な問題が生じる。 ・ 体がアルコールに慣れることで、アルコールが体から抜けると、発汗、頻脈、手の震え、不安、イライラなどの離脱症状が出る。 ・ 一念発起して断酒しようとしても、離脱症状の不快感や、日常生活での不安感から逃げるために、また飲んでしまう。 〔障害特性を踏まえた対応〕。 ・ 本人に病識がなく(場合によっては家族も)、アルコール依存症は治療を必要とする病気であるということを本人・家族・周囲が理解する。 ・ 周囲の対応が結果的に本人の飲酒につながってしまう可能性があるため、家族も同伴のうえで、専門家に相談する。 ・ 一度断酒しても、再度飲酒してしまうことが多いため、根気強く本人を見守る。 P57。 【認知症】。 ○ アルツハイマー型認知症。 ○ 血管性認知症。 ○ レビー小体型認知症。 ○ 前頭側頭型認知症、など。 〔主な特性〕。 ・ 認知症とは、単一の病名ではなく、種々の原因となる疾患により記憶障害など認知機能が低下し、生活に支障が出ている状態である。 ・ 認知症に伴う行動・心理症状(BPSD)と呼ばれる症状(歩き周り、不穏、興奮、幻覚、妄想など)がある。 〔障害特性を踏まえた対応〕。 ・ 認知症は誰もがなりうるものであり、家族や身近な人が認知症になることなどを含め、多くの人にとって身近なものであることを理解する。 ・ 認知症の人を個性、想い、人生の歴史等を持つ主体として尊重し、各々の意思や価値観に共感し、できないことではなく、できることやできる可能性のあることに目を向けて、本人が有する力を最大限に活かしながら、地域社会の中で本人のなじみの暮らし方やなじみの関係が継続できるよう、伴走者として支援していく。 ・ 早期に気付いて適切に対応していくことができるよう、小さな異常を感じたときに速やかに適切な機関に相談できるようにする。 ・ 認知症に伴う行動・心理症状(BPSD)には、何らかの意味があり、その人からのメッセージとして聴くことが重要であり、BPSDの要因として、さまざまな身体症状、孤立・不安、不適切な環境・ケア、睡眠や生活リズムの乱れなどにも目を向ける。 ・ 症状が変化した等の場合には、速やかに主治医を受診し、必要に応じて専門機関に相談することなどを促す。 (11)発達障害。 ○ 発達のアンバランスによって生活に支障が出る状態である。 ○ 対人関係が苦手、パターン化した行動やこだわりなどの特徴がある「自閉症スペクトラム症(ASD)」、集中力が続かない、じっとしていられないなどの特徴がある「注意欠如・多動症(ADHD)」、読む書く計算するなど特定の作業が極端に苦手な「限局性学習症(SLD)」などがある。 ○ 周囲の人が、特性であることを理解して、自尊心を傷つけないことが、仕事や社会生活への意欲を高めることにつながる。 ○ 本人をよく知る専門家や家族にサポートのコツを聞く。   【自閉スペクトラム症(ASD)】。 〔主な特性〕。 ・ コミュニケーションの場面で、言葉や視線、表情、身振りなどを用いて相互的にやり取りをしたり、自分の気持ちを伝えたり、相手の気持ちを読み取ったりすることが苦手な部分もある。 P58。 ・ 相手の表情や態度などよりも、文字や図形、物の方が理解しやすいことが多い。 ・ 見通しの立たない状況では不安が強いが、見通しが立つときちんと対応できる。 ・ 特定のことに強い関心を持っていたり、こだわりが強かったりする。 ・ 感覚の過敏さを持ち合わせている場合もあり、例えば、特定の音や光が苦手だったり、触られることが苦手だったりする。 ・ 特定の分野の知識や記憶力、芸術面等で高い能力を発揮することもある。 〔障害特性を踏まえた対応〕。 ・ 肯定的、具体的、視覚的に伝えるよう工夫する。(何かを伝えたり依頼したりする場合には、必ずその意図や目的を伝えたり、図やイラストなどを使って説明したりする、「○○をしましょう」といったシンプルな伝え方、その人の興味関心に沿った内容や図・イラストなどを使って説明するなど) ・ 新しく挑戦する部分は少しずつにするなど、スモールステップによる支援(手順を示す、モデルを見せる、体験練習をするなど)に心がける。 ・ 見通しがもてるようにするために、予定は前もって具体的に伝えておく。 ・ 感覚過敏がある場合は、音や肌触り、室温など感覚面の調整を行う。(イヤーマフを活用する、大声で説明せずホワイトボードで内容を伝える、人とぶつからないように居場所を衝立などで区切る、クーラー等の設備のある部屋を利用できるように配慮するなど) 【注意欠如・多動症(ADHD)】。 〔主な特性〕。 ・ 年齢に比べて、落ち着きがない、待てない(多動性・衝動性)、注意が持続しにくい、作業にミスが多い(不注意)といった特性がある。 ・ 多動性・衝動性と不注意の両方が認められる場合も、いずれか一方が認められる場合もある。 ・ 気が散りやすく言動に落ち着きがない。一方、エネルギッシュに様々なことに取り組み成果を上げることもある。 〔障害特性を踏まえた対応〕。 ・ 気が散りにくいよう座席の位置を工夫したり掲示物を整理したりする。 ・ 指示やルールは分かりやすく(短く、はっきりとした言い方で)提示する。 ・ 傷つき体験への寄り添い、適応行動ができたことに対するこまめな評価など、自尊感情を損なわないようストレスケアを行う。 【限局性学習症(SLD)】。 〔主な特性〕。 ・ 知的発達に遅れはないが、「読む」「書く」「計算する」等の特定の学習が極端に苦手である。 P59。 〔障害特性を踏まえた対応〕。 ・ 得意な部分を伸ばすようにする。 ・ ICT機器などを活用し、苦手な部分を補うようにする。 ・ ICTを活用する際は、文字を大きくしたり行間を空けたりするなど、読みやすくなるように工夫する。 ・ 苦手な部分について、課題の量・質を適切に加減したり、柔軟な評価をしたりする。 【その他の発達障害】。 〔主な特性〕。 ・ 体の動かし方の不器用さ、我慢していても声が出たり体が動いてしまったりするチック、一般的に吃音と言われるような話し方なども、発達障害に含まれる。 〔障害特性を踏まえた対応〕 ・ 叱ったり拒否的な態度を取ったりするのではなく、日常的な行動の一つとして受け止めるなど、楽に過ごせる方法を一緒に考える。 (12)難病。 〔主な特性〕。 ・ 「難病」は、原因や治療法が解明されていない疾病と言われており、国の「難病対策要綱」では、次のように定義されている。 ・ 原因不明、治療方針未確定であり、かつ、後遺症を残す恐れが少なくない疾病 ・ 経過が慢性にわたり、単に経済的な問題のみならず介護等に著しく人手を要するために家族の負担が重く、また精神的にも負担の大きい疾病 ・ 難病のある人は、長期間の療養を必要とし、病名や病態が知られていないために周囲の人に理解されにくく、就業など、社会生活への参加が進みにくいと言われている。 ・ 神経筋疾病、骨関節疾病、感覚器疾病など様々な疾病により多彩な障害を生じる。 ・ 常に医療的対応を必要とすることが多い。 ・ 病態や障害が進行する場合が多い。 〔障害特性を踏まえた対応〕。 ・ それぞれの難病の特性が異なるため、その特性に合わせて対応する。 ・ 進行する場合、病態・障害の変化に配慮して対応する。 ・ 排泄の問題、疲れやすさ、状態の変動などに留意する。 ・ 専門の医師に相談する。 ・ 薬の効き具合による日内変動などに留意が必要。 ・ 体調がすぐれないときに休憩できる場所を確保する。・ P60。 【コラム】。 ■障害者差別解消法に基づく「事業者向け対応指針」。 障害者差別解消法では、事業者に対して「障害を理由とする差別的取扱いの禁止」と「合理的配慮の提供」が法的義務として課されていますが、その具体的な対応として、主務大臣は事業者向け対応指針を定めることとされています。 これに基づき、国の関係府省庁は、所管事業分野において事業者が適切に対応するための指針を策定・公表しています。 <関係府省庁所管事業分野における障害を理由とする差別の解消の推進に関する対応指針、掲載URL>。 https://www8.cao.go.jp/shougai/suishin/sabekai/taioshishin.html。 ・ 内閣府。 ・ 国家公安委員会。 ・ 金融庁。 ・ 消費者庁。 ・ 復興庁。 ・ こども家庭庁。 ・ 総務省。 ・ 法務省は、債権管理回収業・認証紛争解決事業分野、更正保護事業分野、公証人・司法書士・土地家屋調査士分野。 ・ 外務省。 ・ 財務省。 ・ 文部科学省は、学校教育分野、スポーツ・文化芸術分野。 ・ 厚生労働省は、福祉事業者向け、医療従事者向け、衛生事業者向け、社会保険労務士の業務を行う事業者向け。 ・ 農林水産省。 ・ 経済産業省。 ・ 国土交通省:は、不動産業関係、設計等業関係、鉄道事業関係、一般乗合旅客自動車運送業(バス)関係、一般乗用旅客自動車運送業(タクシー)関係、対外旅客定期航路事業関係、国内旅客船業関係、航空運送業関係、旅行業関係。 ・ 環境省。 ■改正障害者雇用促進法に基づく「障害者差別禁止指針」「合理的配慮指針」。 雇用の分野における障害を理由とする差別の解消については、障害者差別解消法ではなく、改正障害者雇用促進法で定められています。 厚生労働省では、法の規定に基づき、雇用の分野において事業主が適切に対処するための指針として、「障害者差別禁止指針」「合理的配慮指針」を策定・公表しています。 <障害者差別禁止指針 掲載URL>。 https://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-11704000-Shokugyouanteikyokukoureishougaikoyoutaisakubu-shougaishakoyoutaisakuka/0000078975.pdf。 <合理的配慮指針 掲載URL> https://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-11704000-Shokugyouanteikyokukoureishougaikoyoutaisakubu-shougaishakoyoutaisakuka/0000078976.pdf。 P61。 W 相談体制と紛争解決(相談体制、紛争解決のしくみ)。 1 地域相談員や広域専門相談員による相談対応。 障害を理由とする差別に関する相談窓口として、地域相談員と広域専門相談員を設置しています。 地域相談員は、住民の身近な相談窓口として、主に必要な助言や情報提供を行うこととしており、民生委員・児童委員、身体障害者相談員や知的障害者相談員、そのほかに精神障害者の相談対応をしている方などに委託しています。 広域専門相談員は、地域相談員と同様に必要な助言や情報提供を行うほか、より専門的な相談対応や関係者間の調整も行うこととしており、県に設置しています。 2「富山県障害のある人の相談に関する調整委員会」での紛争解決。 相談対応では解決できなかった場合は、障害のある人等は県に対して助言・あっせんの申立てができます。県は「富山県障害のある人の相談に関する調整委員会」に対し、助言・あっせん手続きの開始要請を行い、解決を図ります。 P62。 参考資料。 「障害のある人の人権を尊重し県民皆が共にいきいきと輝く富山県づくり条例」。 第1章、総則。  (目的)。 第1条、この条例は、障害を理由とする差別の解消について、基本理念を定め、並びに県及び県民の責務を明らかにするとともに、障害を理由とする差別の解消に関する施策の基本となる事項を定めることにより、障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(平成25年法律第65号)と相まって、全ての障害のある人が安心して暮らすことのできる社会の実現に寄与することを目的とする。  (定義)。 第2条、この条例において「障害のある人」とは、身体障害、知的障害、精神障害(発達障害を含む。)その他の心身の機能の障害(以下「障害」と総称する。)がある者であって、障害及び社会的障壁により継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態にあるものをいう。 2、この条例において「社会的障壁」とは、障害のある人にとって日常生活又は社会生活を営む上で障壁となるような社会における事物、制度、慣行、観念その他一切のものをいう。 3、この条例において「障害を理由とする差別」とは、障害のある人に対し、正当な理由なく障害を理由とする不利益な取扱いをすること又は社会的障壁の除去の実施について必要かつ合理的な配慮をしないことをいう。  (基本理念)。 第3条、第1条に規定する社会の実現は、次に掲げる事項を旨として図られなければならない。  (1)、すべての県民は、障害の有無にかかわらず、等しく基本的人権を享有する個人としての尊厳が重んぜられ、その尊厳にふさわしい生活を保障される権利を有すること。  (2)、すべての障害のある人は、社会を構成する一員として社会、経済、文化その他あらゆる分野の活動に参加する機会が確保されること  (3)、すべての障害のある人は、可能な限り、どこで誰と生活するかについての選択の機会が確保され、地域社会において他の人々と共生することを妨げられないこと。  (4)、すべての障害のある人は、可能な限り、言語(手話を含む。)その他の意思疎通のための手段についての選択の機会が確保されるとともに、情報の取得または利用のための手段についての選択の機会の拡大が図られること。  (5)、障害を理由とする差別の多くが障害のある人に対する誤解、偏見その他の理解の不足から生じていること及び誰もが障害を有することとなる可能性があることを踏まえ、障害のある人だけでなくすべての県民が、障害についての知識及び理解を深める必要があること。  (県の責務)。 第4条、県は、前条に掲げる基本理念にのっとり、障害及び障害のある人に対する理解を深め、障害を理由とする差別を解消するために必要な施策を策定し、及び実施する責務を有する。  (市町村との連携)。 第5条 、県は、市町村と連携し、かつ、協力して、障害及び障害のある人に対する理解を深め、障害を理由とする差別を解消するための施策を策定し、及び実施するよう努めるものとする。 2、県は、市町村が障害及び障害のある人に対する理解を深め、障害を理由とする差別を解消するための施策を策定し、又は実施しようとするときは、市町村に対して情報の提供、技術的な助言その他の必要な支援を行うものとする。  (県民の責務)。 第6条、県民は、第3条に掲げる基本理念にのっとり、障害及び障害のある人に対する理解を深めるとともに、県又は市町村が実施する障害及び障害のある人に対する理解を深め、障害を理由とする差別を解消するための施策に協力するよう努めるものとする。  (財政上の措置)。 第7条、県は、障害及び障害のある人に対する理解を深め、障害を理由とする差別を解消するための施策を推進するため、必要な財政上の措置を講ずるものとする。 P63。    第2章、障害を理由とする差別の禁止。 第8条、何人も、障害のある人に対して、障害を理由とする差別をしてはならない。 2、何人も、障害のある人から現に社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明(障害のある人の保護者、後見人その他の関係者が当該障害のある人の代理として行ったもの及びこれらの者が当該障害のある人の補佐人として行った補佐に係るものを含む。)があった場合において、その実施に伴う負担が過重でないときは、障害のある人の権利利益を侵害することとならないよう、当該障害のある人の性別、年齢及び障害の状態に応じて、社会的障壁の除去の実施について必要かつ合理的な配慮をしなければならない。 3、知事は、前2項の規定の徹底を図るため、福祉サービス、医療、商品販売及びサービス、労働及び雇用、教育、建築物の利用、交通機関の利用、不動産取引、情報の提供、意思表示の受領その他の障害のある人の日常生活又は社会生活に関する分野において特に配慮すべき事項を定めるものとする。    第3章、障害を理由とする差別を解消するための施策。     第1節、相談体制。  (特定相談)。 第9条、何人も、県に対し、障害を理由とする差別に関する相談(以下「特定相談」という。)をすることができる。 2、県は、特定相談があったときは、次に掲げる業務を行うものとする。  (1)、特定相談に応じ、必要な助言及び情報提供を行うこと。  (2)、特定相談に係る関係者間の調整を行うこと。  (3)、関係行政機関への通告、通報その他の通知を行うこと。  (地域相談員)。 第10条、知事は、次に掲げる者に、前条第2項各号に掲げる業務の全部または一部を委託することができる。   (1)、民生委員法(昭和23年法律第198号)による民生委員及び児童福祉法(昭和22年法律第164号)第16条第2項の規定により充てられたものとされた児童委員。 (2)、身体障害者福祉法(昭和24年法律第283号)第12条の3第3項に規定する身体障害者相談員。 (3)、知的障害者福祉法(昭和35年法律第37号)第15条の2第3項に規定する知的障害者相談員。 (4)、前3号に掲げる者のほか、障害のある人の福祉の増進に関し熱意と識見を持っている者であって知事が適当と認めるもの。 2、知事は、前項第3号に掲げる者に委託をしようとするときは、あらかじめ、富山県障害のある人の相談に関する調整委員会(第14条に規定する富山県障害のある人の相談に関する調整委員会をいう。次条第2項において同じ。)の意見を聴かなければならない。 3、第1項の規定により委託を受けた者(以下「地域相談員」という。)は、中立かつ公正な立場で、誠実にその業務を行わなければならない。 4、地域相談員は、この条例に基づき業務上知り得た秘密を漏らしてはならない。その業務に従事する者でなくなった後においても、同様とする。  (広域専門相談員)。 第11条、知事は、次に掲げる業務を適正かつ確実に行うことができる者を、広域専門相談員として委嘱することができる。  (1)、地域相談員に対する指導及び助言。  (2)、特定相談のあった事例の調査研究。  (3)、第9条第2項各号に掲げる業務。  (4)、第16条第3項の規定による調査。 2、知事は、前項の規定による委嘱をしようとするときは、あらかじめ、富山県障害のある人の相談に関する調整委員会の意見を聴かなければならない。 3、広域専門相談員は、中立かつ公正な立場で、誠実にその業務を行わなければならない。 4、広域専門相談員は、この条例に基づき業務上知り得た秘密を漏らしてはならない。その業務に従事する者でなくなった後においても、同様とする。  (指導及び助言)。 P64。 第12条、地域相談員は、特定相談について、必要に応じ、広域専門相談員に対し、指導及び助言を求めることができる。 2、広域専門相談員は、前項の規定による求めがあったときは、適切な指導及び助言を行うものとする。  (連携及び協力)。 第13条、専門的知識をもって障害のある人に関する相談を受け、又は人権擁護を行うもの及び機関は、知事、地域相談員及び広域専門相談員と連携し、この条例による施策の実施に協力するよう努めるものとする。     第2節、富山県障害のある人の相談に関する調整委員会。 第14条、障害を理由とする差別を解消するための施策に関する重要事項について調整審議するため、富山県障害のある人の相談に関する調整委員会(以下「調整委員会」という。)を置く。 2、調整委員会は、この条例の規定によりその権限に属させられた事項を処理する。 3、調整委員会は、委員20人以内をもって組織する。 4、委員は、障害のある人及び福祉、医療、雇用、教育その他の障害のある人の権利の擁護について優れた識見を有する者のうちから、知事が任命する。 5、委員は、この条例に基づき職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も同様とする。 6、この条例に規定するもののほか、調整委員会の組織及び運営に関し必要な事項は、規則で定める。     第3節、対象事案の解決のための手続。  (助言又はあっせんの申立て)。 第15条、障害のある人は、自己に対する障害を理由とする差別に該当する事案(以下「対象事案」という。)の解決を図るため、知事に対し、助言又はあっせんの申立てをすることができる。 2、対象事案に係る障害のある人の家族その他の関係者は、前項の申し立てをすることができる。ただし、当該申し立てをすることが障害のある人の意に反することが明らかであると認められるときは、この限りでない。 3、前2項の申立ては、第9条第2項に規定する特定相談への対応を経た後でなければ、することができない。 4、第1項及び第2項の申立ては、行政不服審査法(平成26年法律第68号)その他の法令に基づく審査請求又は苦情申立てをすることができる行政庁の処分又は職務執行については、することができない。  (事実の調査)。 第16条、知事は、前条第1項又は第2項の申立てがあったときは、当該申立てに係る事実の調査を行うものとする。 2、地域相談員及び広域専門相談員は、知事からの要請があったときは、前項の規定による調査に協力しなければならない。 3、知事は、必要があると認めるときは、広域専門相談員に、第1項の規定による調査の全部または一部を行わせることができる。 4、地域相談員は、前項の規定による調査に関し、広域専門相談員からの要請があったときは、当該調査に協力しなければならない。 5、前条第1項又は第2項の申立てがなされた対象事案に関係する者(当該申立てを行ったものを含む。以下「対象事案関係者」という。)は、正当な理由がある場合を除き、第1項又は第3項の規定による調査に協力しなければならない。 6、第1項の規定による調査を担当する県職員又は第3項の規定による調査を担当する広域専門相談員は、当該調査をする場合には、その身分を示す証明書を携帯し、関係人の請求があったときは、これを提示しなければならない。 7、第1項又は第3項の規定による調査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。  (助言又はあっせん)。 第17条、知事は、第15条第1項又は第2項の申立てがあったときは、調整委員会に対して、当該申立てに係る事実の調査の結果を通知するとともに、助言又はあっせんの手続を開始するよう求めるものとする。 2、調整委員会は、前項の求めがあったときは、次に掲げる場合を除き、助言又はあっせんを行うものとする。  (1)、助言又はあっせんの必要がないと認めるとき。 P65。  (2)、対象事案がその性質上助言又はあっせんをするのに適当でないと認めるとき。 3、調整委員会は、前項の規定による助言又はあっせんを行わないときは、知事に対して、その旨を報告するものとする。 4、調整委員会は、助言又はあっせんのために必要があると認めるときは、対象事案関係者に対して、その出席を求めて説明若しくは意見を聴き、又は資料の提出を求めることができる。  (勧告)。 第18条 調整委員会は、知事に対し、次の各号のいずれかに該当する者に対して、必要な措置を講ずべきことを勧告するよう求めることができる。 (1)、正当な理由なく、第16条第1項又は第3項の規定による調査を拒み、妨げ、又は忌避した対象事案関係者 (2)、第16条第1項又は第3項の規定による調査に対して虚偽の資料提出又は説明を行った対象事案関係者その他の関係者 (3)、障害を理由とする差別をしたと認められる対象事案関係者が、正当な理由なく、当該あっせん案を受諾しないときにおける当該対象事案関係者 2、知事は、前項の求めがあった場合において、必要があると認めるときは、勧告を行うものとする。  (公表)。 第19条、知事は、前条の勧告を受けた者が、正当な理由がなく、当該勧告に従わないときは、その旨を公表することができる。  (意見の聴取)。 第20条、知事は、第18条の勧告または前条の公表をしようとする場合には、あらかじめ、期日、場所及び対象事案の内容を示して、対象事案関係者またはその代理人の出席を求めて、意見の聴取を行わなければならない。ただし、当該対象事案関係者またはその代理人が正当な理由なく意見の聴取に応じないときは、意見の聴取を行わないで勧告または公表することができる。  (助言又はあっせんの手続の終了)。 第21条、助言又はあっせんの手続は、次に掲げる事由のいずれかが生じたときに、終了する。  (1)、すべての対象事案関係者が助言又はあっせん案を受諾したとき。  (2)、その他助言又はあっせんを行う必要がなくなったとき。 2、調整委員会は、助言又はあっせんの手続きが終了したときは、知事に対して、その結果を報告するものとする。     第4節、普及啓発等。  (普及啓発)。 第22条、県は、障害及び障害のある人に対する理解を深め、障害を理由とする差別を解消することの重要性に関する県民の理解と関心の増進が図られるよう、障害及び障害のある人に関する知識の普及啓発のための広報活動、障害のある人と障害のない人との交流の機会の提供その他必要な施策を講ずるものとする。  (障害及び障害のある人に関する教育の推進)。 第23条、県は、学校において、児童及び生徒が障害及び障害のある人に関する正しい知識を持つための教育が行われるよう努めるものとする。     第5節、協議会の設置。 第24条、県は、障害を理由とする差別を解消するための取組を効果的かつ円滑に行うため、県、県民、事業者、市町村、学識経験を有する者等で構成される協議会を組織し、当該協議会が円滑に運営されるよう必要な措置を講ずるものとする。    第4章、雑則。  (規則への委任)。 第25条、この条例に定めるもののほか、この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。    附則。  (施行期日)。 1、この条例は、平成28年4月1日から施行する。ただし、第14条、第24条及び事項の規定は、公布の日から施行する。 P66。 2、第10条第1項の規定による地域相談員への業務の委託の手続その他の行為及び第11条第1項の規定による広域専門相談員の委嘱の手続その他の行為は、この条例の施行の日前においても行うことができる。  (検討)。 3、知事は、この条例の施行後3年を目途として、この条例の施行の状況、社会経済情勢の推移等を勘案し、必要があると認めるときは、この条例の規定について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。    附則(平成28年条例第2号)抄。  (施行期日)。 1、この条例は、平成28年4月1日から施行する。 附則(平成31年条例第14号)。 この条例は、平成31年4月1日から施行する。・   P67。  ■ 障害者に関するマーク。     街で見かける障害者に関するマークは、主に次のようなものがあります。     このようなマークを見かけたときは、障害者の利用等に配慮をお願いします。 障害者のための国際シンボルマーク。 障害者が利用できる建物、施設であることを明確に表すための世界共通のシンボルマーク(車いすのみを限定するものではない)。 身体障害者標識。 肢体不自由であることを理由に免許に条件を付されている人が運転する車に表示するマーク。 聴覚障害者標識。 聴覚障害であることを理由に免許に条件を付されている人が運転する車に表示するマーク。 盲人のための国際シンボルマーク。 世界盲人連合で1984年に制定された盲人のための世界共通マーク。 耳マーク。 聞こえが不自由なことを表す、国内で使用されているマーク。 ヒアリングループマーク。 補聴器や人工内耳に内蔵されているTコイルを使って利用できる施設・機器であることを表示するマーク。 オストメイトマーク。 人工肛門・人工膀胱を造設している人(オストメイト)のための設備があることを表したマーク。 ハート・プラスマーク。 身体内部(心臓、呼吸機能、じん臓、膀胱・直腸、小腸、肝臓、免疫機能)に障害がある人を表したマーク。 ほじょ犬マーク。 身体障害者補助犬(盲導犬、介助犬、聴導犬)同伴の啓発のためのマーク 注釈、7ページコラム欄参照。 「白杖SOSシグナル」普及啓発シンボルマーク。 白杖を頭上50p程度に掲げた視覚障害のある人を見かけたら、進んで声をかけて支援しようというマーク。 ヘルプマーク。 外見から分からなくても援助や配慮を必要としている方々が、周囲の方に配慮を必要としていることを知らせることができるマーク。 手話マーク、筆談マーク。 ききこえない・きこえにくい人が手話言語や筆談でのコミュニケーションの配慮を求めるときに提示したり、役所、公共及び民間施設・交通機関の窓口、店舗など、手話言語や筆談による対応ができるところが提示できるマーク。 内閣府ホームページ「障害者に関係するマークの一例」参照。   https://www8.cao.go.jp/shougai/mark/mark.html。 裏表紙。 富山県障害者差別解消ガイドライン。 令和6年9月。 富山県厚生部障害福祉課。       〒930-8501 富山市新総曲輪1-7。       電話 076-444-3211(直通)。         FAX 076-444-3494。