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更新日:2025年2月26日

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令和7年2月定例会 知事の提案理由説明

はじめに

 本日、令和7年2月定例県議会が開催されるにあたり、提出しました令和7年度予算案その他の議案につきまして、その概要を申しあげ、あわせて、県政運営について所信の一端を申しあげます。

 

 はじめに、令和6年能登半島地震の発生から1年と2か月が経過しようとしています。県ではこれまで、復旧・復興ロードマップに基づき、住宅の復旧や被災者の生活支援、中小企業等の生業支援、公共土木施設や農林水産業施設等の速やかな復旧、北陸全体の復興などに、スピード感を持って対応してきました。一方で、今もなお、県民生活や事業活動に影響が生じているなど、復旧・復興は道半ばであり、ロードマップの点検・見直しを図りつつ、引き続き、市町村等とも連携し、被災者に寄り添った支援に努めてまいります。また、発災時の避難所の体制や住民の避難行動など、様々な課題が明らかになったことをふまえ、今回の教訓を活かすため災害対応の検証を進め、昨年12月に、ワンチーム、人づくり、DX、高品質、官民連携の5つを改善の柱とする報告書をとりまとめたところです。今後、地域防災力の強化に取り組むとともに、この検証結果を来月改訂する地域防災計画に反映することとしており、次の災害に備え、安全・安心な県づくりに万全を期してまいります。

 また、今月4日からの大雪につきましては、2月としては平年を大幅に上回る積雪となり、人的被害のほか、農業施設や学校施設等への被害が発生するなど、県民生活に大きな影響を及ぼしました。亡くなられた方々とそのご遺族に対し、深く哀悼の意を表しますとともに、被害を受けられた多くの方々に心からお見舞いを申しあげます。また、昼夜を問わず除雪作業に従事いただいた建設企業の皆様など、県民の生活を守っていただいている関係の方々に、心からお礼を申しあげます。県としては、大雪におけるタイムラインに基づき、今月3日に危機管理連絡会議を開催し、関係機関と情報共有を図るとともに、県民の皆様への除雪作業時の安全対策や車での不要不急の外出自粛をお願いするなど、情報発信に努めたところです。引き続き、国や市町村など関係機関と連携し、雪に強い県づくりを推進してまいります。

 

 私は、知事に就任して以来、「県民目線」、「スピード重視」、「現場主義」を徹底した県政運営に努めてまいりました。この間、未来に向けた新しい富山県の創造をめざして、成長戦略に基づく施策の推進に取り組むとともに、こどもまんなか社会の実現、市町村や近隣県などとの連携強化、アメリカ・オレゴン州やインド等との経済・人材交流の促進、行政・産業・地域社会のDXの推進などの基盤づくりを積極的に進めてきました。

 本日、2期目最初の新年度予算案等をご審議いただく2月定例会を迎え、あらためて県民の皆様の負託と期待に応えるべく、全力で県政に取り組んでいく決意を新たにしている次第です。

 国においては、一極集中を是正し、多極分散型の多様な経済社会の構築に向け、地方創生2.0を強力に推進するため、若者や女性にも選ばれる地方づくりを進めるとともに、防災庁などの政府関係機関や企業の本社機能の地方移転、地方における新たな産業の創造を促進することとされています。また、防災・減災、国土強靱化を着実に進めるほか、引き続き、物価上昇に負けない賃上げの促進に取り組むことが示されています。

 県としても、これまで成長戦略に基づき、「新しい価値」や「新しい産業」を生み出す人材が育ち、集積する環境づくりを推進するとともに、「幸せ人口1000万~ウェルビーイング先進地域、富山~」の実現に向けた取組みを進めてきました。また、政府関係機関の地方移転については、先月28日に、伊東良孝地方創生担当大臣に対して、防災庁など4つの政府機関の本県への設置・移転を要望するとともに、庁内に部局横断のタスクフォースを設置し、戦略的に誘致活動を展開することとしています。

 さらに、本県の目指すべき将来像と今後の県政運営の基本方針を示す、新たな総合計画については、先月31日に開催した総合計画審議会において策定を諮問しました。引き続き、県議会はもとより、市町村長や関係団体等のご意見のほか、県民のご意見を幅広くお聴きし、県民の皆さんと共に考え、共に実現する、県民が主役の計画づくりを進め、令和7年内を目途に、実効性のある計画としてとりまとめてまいります。

 今後とも、「若者からお年寄りまで希望に満ちた笑顔があふれる富山県」、「ワクワクすることがたくさんある富山県」、「チャンスがあり夢を叶えることができる富山県」の実現に向けて全力で取り組んでまいります。

 なにとぞ、議員各位のご指導、ご協力と県民の皆様のご支援を心からお願い申しあげます。

1.予算編成の基本方針

 つぎに、令和7年度予算編成の基本方針について申しあげます。

 

 令和7年度予算編成にあたっては、能登半島地震からの早期の復旧・復興に引き続き最優先で取り組みます。また、喫緊の課題である人口減少への対策と適応策、関係人口の創出・拡大に向けた事業に加え、未来に向けた人づくりと新しい社会経済システムの構築に向けた、斬新で効果的な事業に対し、優先的に予算を配分することとしました。

 一方で、本県財政については、少子高齢化に伴う社会保障関係経費の増加や高い水準で推移する公債費に加え、エネルギー価格・物価高騰の影響のほか、震災からの復旧・復興への対応など、引き続き厳しい財政状況が見込まれます。このため、地方の安定的な財政運営に必要な一般財源総額の確保・充実を全国知事会とも連携し国に強く求めるとともに、限られた人的・財政的資源を効果的に活用していく必要があることから、一層の選択と集中、改革と創造を念頭に、既存事業の抜本的見直し・再構築の徹底、優先度を意識した重点分野へのメリハリある配分を進めてきました。

 この結果、令和7年度一般会計予算案は、6,006億円余となり、国の総合経済対策に呼応した11月補正予算および今回提出した2月補正予算案をあわせた16か月予算では、6,411億円余となりました。財政の健全性に十分留意しつつ、新しい富山の未来を創るために果敢に取り組む予算としています。

2.歳出予算の概要

 つぎに、歳出予算の概要について申しあげます。

 令和7年度予算案は、一般会計6,006億6,399万円、特別会計3,112億1,691万円となっており、令和6年度補正予算案は、一般会計95億4,402万円となっています。

 以下、これらの予算案の要点について、能登半島地震に係る復旧・復興ロードマップへの対応、人口未来構想と人口未来戦略提言の推進および未来に向けた人づくりと新しい社会経済システムの構築に係る重点政策に沿って申しあげます。

(1) 能登半島地震に係る復旧・復興ロードマップへの対応

 まず、能登半島地震に係る復旧・復興ロードマップへの対応について申しあげます。

 

 災害対応の検証をふまえた地域防災力の向上に向けては、災害時における行政や民間団体との連携体制を強化するとともに、市町村へ派遣する職員の迅速な活動のため、必要となる資機材を整備します。また、市町村や北陸三県での合同研修を実施するほか、防災士の養成研修を拡充するなど、防災力向上に向けた人づくりに取り組んでまいります。さらに、次世代衛星通信サービスの導入や国の総合防災情報システムとの連携など、デジタル技術を活用した情報収集・共有体制の強化を図るとともに、避難所の生活環境を改善するため、トイレ、キッチン、ベッド、シャワーの整備や、県立学校体育館等への空調設備の導入を進めます。加えて、地域住民の方々と主体的な防災活動を実践するための意見交換を行うほか、災害救援ボランティアセンターへの運営支援アプリの導入等により、官民連携での災害対応を促進します。このほか、現在、基本設計を進めている四季防災館について、令和8年春のリニューアルに向け整備を進めてまいります。

 被災された方々の生活再建に向けては、引き続き、液状化被害を受けた宅地の地盤改良等の復旧への支援や住宅の再建にかかる融資借入額の利子分に対する助成を行います。また、木造住宅の耐震改修等への支援を拡充し、住宅の耐震化を後押ししてまいります。

 地域産業の再生に向けては、引き続き、なりわい再建支援補助金により、被災した中小企業等の施設・設備の復旧等を支援することに加え、新たに災害発生時に迅速に対応するための制度融資を常設し、中小企業の資金繰りを支援します。また、黒部宇奈月キャニオンルートの一般開放・旅行商品化に向けた機運の醸成を図るとともに、旅行商品や観光コンテンツの造成等に対し支援するなど、観光関連産業の復興に向けて幅広く支援してまいります。さらに、HOKURIKU+での魅力の発信など、北陸三県が連携して、北陸全体の復興に向け取り組んでまいります。

 このほか、県総合福祉会館の復旧工事や国指定文化財の復旧支援、海洋環境や水産資源の状況調査を実施します。

(2) 人口未来構想と人口未来戦略提言の推進

 つぎに、人口未来構想と人口未来戦略提言の推進について申しあげます。

 

 人口減少やそこから生じる課題への対応につきましては、庁内に設置した人口未来構想本部会議での議論をふまえ、今月、人口未来構想をとりまとめました。県としては、この構想に基づき、直ちに取り組むべき人口減少対策と適応策を推進するとともに、成長戦略会議で取りまとめられた人口未来戦略提言をふまえ、関係人口の拡大・深化を図ってまいります。

 自分の生き方を主体的に選択できるとやまの実現に向けては、若い世代のライフデザインの形成を支援するセミナーを開催するほか、出会いや結婚を希望する若者に対し、広く出会いの機会を提供する大規模なイベントを開催するとともに、県内企業等が活用できるマッチングアプリを構築します。また、男性の長期の育児休業取得を促進するため、中小企業に対し取得期間に応じた助成を行うなど、来月策定する子育て支援・少子化対策に関する基本計画等に基づき積極的に取組みを進め、自然減の抑制につなげてまいります。

 県民が誇りと愛着をもち、県外の人から選ばれるとやまの実現に向けては、中山間地域での起業や移住に対する支援の充実を図るとともに、東京圏や関西圏において北陸三県で連携した移住フェアを開催します。また、首都圏で働く若者に対して県内企業での就職を促すキャンペーンを行うほか、市町村や民間事業者等と連携した会議を設置し企業誘致を戦略的に推進します。さらに、県としては初めて地域おこし協力隊を活用し、移住者目線での本県の魅力を発信するなど、社会増への転換を推進してまいります。

 人手不足が深刻化しているなか、多様な人材の活躍に向けては、県外学生のUIJターン就職を促進するため、県内での就職活動に要する交通費への助成を拡充します。また、外国人材活躍・多文化共生推進プランの改訂や条例の制定に向けた検討を進めるとともに、とやま外国人材活用・定着支援デスクとして県内企業への支援機能を強化するほか、日本語の習得や職場の受入環境の整備等に取り組む企業を支援するなど、外国人材の活用と県内定着を促進します。さらに、農業の担い手確保を図るため、セカンドキャリアとして経営を継承する50代の新規就農者を支援対象に追加するほか、バス運転手専門の就職イベントの参加や採用力アップに向けた支援を行うなど、公共交通の人材確保に取り組んでまいります。

 地域の総合力向上に向けては、警察署と交番をつなぐネットワークカメラの整備等により、県民の安全・安心の確保を図るほか、中山間地域での地域課題解決に向けた取組みを支援します。また、県民一人ひとりのウェルビーイング向上のため、自分事として意識し、行動を促す取組みを進めるほか、指標のデータを一般公開し、民間活用等を促進してまいります。

 関係人口の拡大・深化に向けては、6月に大阪・関西万博に出展し、寿司を入口に本県の豊かな自然・食・文化・伝統工芸等の多彩な魅力を広く発信してまいります。また、「寿司といえば、富山」のブランディングの推進に向け、民間事業者が行う寿司職人養成学校の設立や県内寿司店と若手職人のマッチングを支援するとともに、国内外への魅力発信の強化に取り組みます。さらに、官民が一体となった県版スポーツコミッションの設立や、県総合運動公園の観客席等の更新を行うなど、スポーツを通じた関係人口の創出や地域活性化を推進します。加えて、県内の農村地域での田舎暮らし体験講座等を開催し、都市農村交流を推進するほか、国内外の本県ゆかりの皆さんが集う「富山県人会世界大会」を開催し、相互の交流を深め、ネットワークの強化を図るなど、関係人口の拡大につなげてまいります。

(3) 未来に向けた人づくり

 つぎに、未来に向けた人づくりに係る重点政策について申しあげます。

 

 1つ目の柱は、「こどもまんなか社会の実現」です。

こどもまんなか社会の実現

 こどもまんなか社会の実現につきましては、こどもの権利に関する条例(仮称)の制定に向け、引き続きこどもや若者をはじめ幅広く意見をお聴きし、条例案の検討を進めるとともに、国や民間企業等と連携しシンポジウムを開催するなど、気運醸成を図ってまいります。また、遠方の分娩施設での出産に対し交通費等を支援するとともに、こども医療費助成制度の対象を小学生まで拡充するほか、引き続き1歳半時に3万円分の電子ポイントを交付するなど、妊娠時から出産・子育て期までの切れ目のない支援を行います。

 困難を抱えるこどもへの支援については、本年4月にこども総合サポートプラザを開設し、いじめや不登校など様々な相談に幅広く対応するほか、富山児童相談所等を集約した「こども安心センター(仮称)」の令和8年度中の完成を目指し、着実に整備を進めます。また、6月から開始される一時保護時の司法審査に係る相談体制を構築するほか、こどもの居場所づくりに取り組む民間団体を支援するとともに、フリースクール等の運営実態調査を行います。さらに、低所得のひとり親世帯に対し1万円分の電子ポイントを交付するほか、困難な問題を抱える女性とこどもの実態調査を進めてまいります。

 私立高校の授業料への支援については、県独自に年収910万円未満の世帯を対象に、令和8年度入学生から段階的に実質無償化することとしており、今後の国の動向も注視しつつ、自由な進路選択の機会の確保に努めてまいります。

 

 2つ目の柱は、「学校教育の充実と教育改革の推進」です。

学校教育の充実と教育改革の推進

 学校教育の充実と教育改革の推進につきましては、本年4月からの県立高校1人1台端末の保護者負担への移行に伴い、経済的事情により負担が困難な家庭等に対し、端末の貸与や購入費への支援を行うとともに、校内の学習用ネットワークを再構築し学習環境の向上を図ります。また、増加傾向にあるいじめや不登校等の諸課題に対応するため、小中学校におけるスクールソーシャルワーカーの配置を拡充するほか、不登校の未然防止等のため市町村の校内教育支援センターの整備を後押しします。さらに、小学校の新規採用教員の負担軽減を図るため、専門性の高い教科指導を行う教員を新たに配置するとともに、将来を担う職業人材の育成のため、県立高校の職業科に民間企業等の外部人材を試行的に配置します。

 将来の県立高校の方向性を示す基本方針については、総合教育会議で議論するとともに、先月から今月にかけて、4学区ごとに意見交換会等を開催したところです。いただいた様々なご意見をふまえ、来月には基本方針を取りまとめたいと考えており、引き続き、魅力と活力ある県立高校の整備に向け、丁寧な議論を行ってまいります。

 

 3つ目の柱は、「多様な人材の育成」です。

多様な人材の育成

 多様な人材の育成につきましては、一昨年に開催された富山・金沢こどもサミットの宣言に基づく取組みを県内に発信・共有するため、「とやまこどもサミット」を開催するほか、中高生を対象に県内の理工系企業へのバスツアーや交流会を実施し、県内で働く魅力を発信します。また、高校生の海外留学を産学官連携で支援するとともに、国際バカロレア等に取り組むインターナショナルスクールが行うサマースクールの県内開催を支援するほか、県立大学におけるインド・アンドラ大学との学術交流を促進するなど、国際化を推進します。さらに、夜間中学の設置に向けた準備を進めてまいります。

 

 4つ目の柱は、「共生社会の実現」です。

共生社会の実現

 共生社会の実現につきましては、女性が働きやすい職場環境づくりを推進するため、官民連携での会議を設立し、優れた取組みの横展開を図るほか、県外に進学した本県出身の女子学生の就職やキャリア形成に関する意識調査を行います。また、職場や学校等でのアンコンシャス・バイアスへの気づきと解消を図るため、新たにアンバサダーによる普及啓発を実施するほか、日本語教育環境の充実を図り、外国人が地域社会で活躍できる環境整備を進めます。さらに、認知症施策推進計画の策定に取り組むほか、農福連携による食品の販売や障害者アートの展示イベントの開催等に取り組んでまいります。

 

 5つ目の柱は、「スタートアップへの支援等」についてです。

スタートアップへの支援等

 スタートアップへの支援等につきましては、本県が強みを持つ医薬、バイオ等のヘルスケア分野でのスタートアップの誘致や社内起業家の育成に取り組むとともに、県内金融機関と連携し、中小企業の新たな事業展開や販路開拓等を支援するファンドを造成します。また、県内でのスタートアップエコシステムの形成に向けて、大きな成長が期待される県内企業を集中的に支援するとともに、起業家をサポートする企業の取組みを促進します。さらに、県立大学に寄附講座を設置し、バイオ医薬品の製造等に関する研究・教育を充実してまいります。

 

 6つ目の柱は、「健康・福祉の充実」です。

健康・福祉の充実

 健康・福祉の充実につきましては、介護ロボットやICT等のテクノロジー機器の導入を支援し、介護現場の生産性向上に取り組むとともに、特定保健指導の実施率向上に向け、市町村と連携し、成果連動型民間委託を活用した事業を推進します。また、悩みを抱えた若者等への相談体制を充実させるほか、摂食障害支援拠点病院を新たに指定し、活動を支援してまいります。さらに、長時間労働の多い県内医療機関に対する医師の派遣を支援するとともに、社会福祉施設を含め、生産性向上や処遇改善等の取組みを支援し、人材の確保・定着を図ります。加えて、本年が戦後80年の節目の年にあたることから、展示会の規模拡大を図るとともに、映像の制作・発信を通し、若い世代への周知・啓発に取り組んでまいります。

 

 7つ目の柱は、「文化・スポーツ・伝統分野の振興」です。

文化・スポーツ・伝統分野の振興

 文化・スポーツ・伝統分野の振興につきましては、県美術館や水墨美術館、立山博物館、高志の国文学館の四館連携による企画展など、各文化施設での企画や情報発信の強化に取り組んでまいります。また、県武道館について、令和9年度中の開館に向けて着実に整備を進めるとともに、県総合運動公園のさらなる魅力向上を図るため、民間活力導入のための社会実験を実施します。さらに、スキーモーグルワールドカップの県内初開催の実現を後押しするとともに、令和8年に本県で開催されるプロ野球オールスターゲームを契機とした地域活性化の取組みを支援します。加えて、伝統産業について、とやま伝統産業プロデューサー人材育成プログラムを開催し、時代のニーズをふまえた人材の育成に取り組むほか、若手職人の技術習得への支援を行ってまいります。

 

 8つ目の柱は、「県庁改革の推進」です。

県庁改革の推進

 県庁改革の推進につきましては、県政の課題解決にあたり若年層の意見を広く取り入れるため、オンラインコミュニティを活用した広聴活動を充実するとともに、大学生と協働でPR方法を検討し発信するなど、県政の情報発信力の強化に取り組んでまいります。また、職員の挑戦意欲の向上を図るため、引き続き、事業提案を募るチャレンジコンテストを実施するほか、電話設備に録音機能等を導入し、職員に対するカスタマーハラスメント対策を進めてまいります。

(4) 新しい社会経済システムの構築

 つぎに、新しい社会経済システムの構築に係る重点政策について申しあげます。

 

 1つ目の柱は、「インフラ・県土強靱化の推進」です。

インフラ・県土強靱化の推進

 インフラ・県土強靱化の推進につきましては、国の補正予算を最大限に活用し11月補正予算と今回提出した2月補正予算案、令和7年度予算案をあわせ、橋梁やトンネル、ダム、港湾施設などの老朽化対策や、河川の改修・浚渫、海岸保全施設の整備など治水・海岸・土砂災害対策、農業用水路の整備などを前倒しで実施します。また、幹線道路や通学路、消雪施設の整備、港湾・漁港の機能強化など、物流と生活を支える持続可能な社会資本の整備を推進し、県土の強靱化を着実に進めます。さらに、県立高校の特別教室の空調整備、交通安全施設の改良、各種施設の維持修繕に計画的に取り組んでまいります。

 なお、先月発生した埼玉県八潮市の道路陥没事故を受け、県が管理する下水道の緊急点検を進めるとともに、市町村に対し注意喚起を行ったところです。引き続き、県民生活に支障が生じないよう点検を進め、県民の安全・安心の確保に取り組んでまいります。

 

 2つ目の柱は、「安心で持続可能なまちづくりと公共交通」です。

安心で持続可能なまちづくりと公共交通

 安心で持続可能なまちづくりにつきましては、県庁周辺エリアの基本構想の策定等を進めるほか、砺波地域における新警察署の整備に向け実施設計等に着手するとともに、県東部地域の警察署再編について、県議会でのご議論もふまえながら取り組んでまいります。また、性暴力被害ワンストップ支援センターの相談体制を強化し、相談件数の増加に対応するほか、ツキノワグマやニホンザルの捕獲体制の強化を図るなど、人身被害の防止に向け取り組んでまいります。

 公共交通につきましては、城端線・氷見線再構築実施計画に基づき、JR西日本が行う城端線・氷見線の整備を支援するとともに、富山地方鉄道が実施する鉄道の安全性や快適性の向上を図る取組みや高騰する燃料費等に対し、沿線市町村と連携して支援します。また、富山空港におけるコンセッションの導入に向けて必要な手続きを進めるなど、空港の活性化をめざし取り組んでまいります。

 

 3つ目の柱は、「新産業戦略の推進」です。

 本県経済につきましては、生産は持ち直しの動きが一服し、個人消費は一部に弱い動きがみられ、横ばいとなっています。また、雇用情勢は、有効求人倍率が1.38倍ですが、産業別に見ると、いわゆるエッセンシャルワークとされる業種を中心に、依然として深刻な人手不足の状況が継続しています。先行きについては、物価上昇や金融資本市場の変動等による下振れリスクに注意する必要があるほか、引き続き地震の県内経済に与える影響に留意する必要があります。

新産業戦略の推進

 新産業戦略の推進につきましては、ものづくり産業未来戦略に基づく成長産業分野やサーキュラーエコノミーに関する新製品・新技術の研究開発を支援し、成長産業の創出を図ります。また、国内外との経済交流を促進するため、ものづくり総合見本市を開催するとともに、インドとの経済交流の促進に向け、在日インド大使館での交流イベントやビジネス展開に向けたセミナーの開催、経済デスクの設置に取り組みます。さらに、中小企業トランスフォーメーション補助金により、中小企業のDXやGXによる生産性向上を引き続き支援するとともに、県内企業の人材確保に向け、新たに企業情報サイト「就活ラインとやま」活用促進セミナーを開催するほか、企業のインターンシップ実施を支援します。加えて、適切な価格転嫁を推進するため、金融機関と連携した支援体制の構築や専門家の派遣による伴走支援を実施してまいります。このほか、高岡テクノドームの別館整備に係る基本設計に着手します。

 なお、長引くエネルギー価格・物価高騰への対応につきましては、国の総合経済対策に呼応した11月補正予算に加えて、商工団体や商店街等によるプレミアム商品券の発行を支援するなど、県民生活の下支えや事業者への支援を行ってまいります。

 

 4つ目の柱は、「DXによる変革の推進」です。

DXによる変革の推進

 DXによる変革の推進につきましては、中小企業を対象にデジタル化の状況に応じた講座の開催や伴走支援体制を強化するとともに、キャッシュレス決済の導入など商店街のDX化を支援するほか、農業用機械の自動走行等に必要な環境整備や建設企業が取り組むDX化を後押しします。また、収入証紙の廃止に伴い多様な納付方法が可能な窓口を整備するほか、公金収納のキャッシュレス化を進めるなど、県民の利便性の確保・向上に取り組んでまいります。

 

 5つ目の柱は、「カーボンニュートラルなどGXの推進」です。

カーボンニュートラルなどGXの推進

 カーボンニュートラルなどGXの推進につきましては、県独自の基準を満たす高性能住宅の工事費に対し支援するとともに、省エネ性能の高い家電・機器への買い替えを促進するキャンペーンを実施し、エネルギー価格の高騰による負担軽減と温室効果ガスの削減を推進します。また、電気自動車の普及拡大に向けて、集合住宅等での充電設備の導入を支援するほか、太陽光発電など再生可能エネルギー設備等の導入に対し、引き続き支援します。さらに、県有施設のLED化等を計画的に進めるとともに、魚津地域におけるバイナリー方式での地熱発電の導入の検討を進めてまいります。

 

 6つ目の柱は、「観光振興による誘客促進」です。

観光振興による誘客促進

 観光振興による誘客促進につきましては、欧米豪からの誘客促進に向け、観光プロモーションを実施するとともに、メディアや旅行会社の招へい、外国人旅行者の宿泊施設等を手配する首都圏等のランドオペレーターへのPRに取り組みます。また、先般、ニューヨークタイムズの「2025年に行くべき52か所」に富山市が選定されたことから、ニューヨークでの観光プロモーションには私も参加し、本県の多彩な魅力をアピールしてまいります。さらに、高付加価値旅行者向け宿泊施設の整備への支援制度を創設し、誘致を促進するほか、外国人旅行者の富山と高山の周遊促進に向けたPRに取り組みます。加えて、北陸三県等で連携し物産展を開催するなど北陸への効果的な観光誘客に取り組むとともに、本県観光の課題やニーズ等を整理するため、人流データの分析など実態調査を実施してまいります。

 

 7つ目の柱は、「農林水産業の振興」です。

農林水産業の振興

 農林水産業の振興につきましては、先月改訂した、とやま輸出ジャンプアップ計画に基づき、北米等の新たな市場や近隣県と連携した欧州等でのプロモーションを実施するなど、県産品のさらなる輸出拡大に取り組んでまいります。また、今月6日に全国知事会の農林水産物輸出拡大プロジェクトチームのリーダーに私が就任したことから、今後、都道府県と連携した取組みも進めてまいります。さらに、農業の担い手の確保・育成に向け、集落営農組織が取り組む広域連携組織のモデルづくりに対する支援や新規就農者の受入体制の整備を行うとともに、女性が働きやすい環境の整備や女性リーダーの育成を支援するほか、とやま農業未来カレッジに園芸経営実践コースを新設し、研修体制を強化します。加えて、高温に強い富富富のさらなる生産拡大に向け、モデル産地の育成や乾燥調製施設の改修を支援するほか、持続可能な中山間地域づくりに向け、農業生産や棚田保全活動等の取組みを進めてまいります。このほか、老朽化した水産研究所の調査船立山丸の代船建造の基本設計に着手します。

 

 8つ目の柱は、「市町村とのワンチームとやまの連携促進」です。

市町村とのワンチームとやまの連携促進

 市町村とのワンチームとやまの連携促進につきましては、引き続き、ワンチームとやま連携推進本部会議において、県と市町村の連携協力体制を推進するとともに、市町村等が地域の特色を活かして取り組むまちづくりに対し支援します。また、田園地域での地域資源の磨き上げなど、持続可能な魅力ある田園地域の創出に取り組みます。さらに、県民や民間事業者に有用なデータの提供を推進するとともに、県や市町村、民間事業者が提供するアプリやサービスの連携促進を図ってまいります。

(5) 県庁の活性化

 つぎに、県庁の活性化について申しあげます。

 

 組織機構については、選択と集中の観点から、成長戦略をふまえた新たな総合計画の策定に向け企画部門の集約・強化を図るとともに、迅速・効率的な危機管理体制の強化、外国人共生社会の推進に向けた体制を整備するほか、インバウンド需要の獲得等のため、観光推進局を新設し体制の強化を図ります。

 職員数については、令和4年4月を基準に、3年間で一般行政部門の定員を32名増員する計画としていましたが、60歳退職者が想定より多く、職員数増が抑制される見込みとなっています。

 また、昨年11月に定めた令和7年度県庁活性化方針に基づき、職員の主体的なキャリア開発やチャレンジを応援する取組みを推進するとともに、カスタマーハラスメント対策に取り組むなど、職員のウェルビーイングやエンゲージメントの向上をめざしてまいります。

 事業の見直しについては、既存事業の抜本的な見直し・再構築の徹底を行った結果、対象事業の2割以上を廃止・停止とし、喫緊の課題である人口減少への対策と適応策、関係人口の創出・拡大に向けた事業に加え、未来に向けた人づくりと新しい社会経済システムの構築に向けた事業に対し、重点的に予算配分を行いました。

 このほか、急激に進行する人口減少や少子高齢化、多様化する県民ニーズ等に対応するため、持続可能な行政サービスのあり方について有識者を交えて検討を進めてまいります。

 今後とも、社会経済情勢の変化に的確に対応できる、持続可能な県政推進体制を構築するとともに、県民のウェルビーイング向上を重視し、県民の声に耳を傾け、県民が主役の富山県をめざしてまいります。

3.歳入予算の概要

 つぎに、歳入予算のうち、主なものについてご説明申しあげます。

 令和7年度予算案につきましては、一般会計において、県税は、国の経済見通しや地方財政計画、税制改正や、県内企業の収益動向等を勘案して、1,606億円を、地方交付税は、国の算定方針等をふまえて積算のうえ、1,457億円を、それぞれ計上しています。

 国庫支出金は、579億円を、県債は、461億円を、それぞれ計上しています。

 使用料および手数料については、国の法改正等に伴い、所要の改定を行うことにしています。

 また、特別会計においては、事業収入の実績等を勘案のうえ所要額を計上しています。

4.予算以外の議案

 つぎに、予算以外の議案について申しあげます。

 条例としましては、新たに制定するものとして、「富山県児童福祉法に基づく一時保護施設の設備及び運営に関する基準を定める条例」など2件を、改正するものとして、「富山県部局設置条例の一部を改正する条例」など34件を、廃止するものとして、「富山県新型コロナウイルス感染症対策応援基金条例を廃止する条例」を提案しています。

 また、条例以外の議案6件のほか、報告案件として、地方自治法第179条および同法第180条の規定による専決処分について報告しています。

 

 以上をもちまして、令和7年度における県政運営の基本方針および今回提出しました諸案件の説明といたします。

 なにとぞ慎重ご審議のうえ、適正な議決をいただきますようお願い申しあげます。

お問い合わせ

所属課室:議会事務局  

〒930-8501 富山市新総曲輪1-7 

電話番号:076-444-3405

ファックス番号:076-444-3471

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