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インタビュー/IWA代表取締役社長 シャルル アントワン・ピカール

2024年7月9日

自分にも芽生えた富山プライド 富山のパッションは、きっと世界にも響く

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自分にも芽生えた富山プライド 富山のパッションは、きっと世界にも響く

シャンパーニュの最高峰にして最高級「ドン ペリニヨン」を28年間造り上げたレジェンド、リシャール・ジョフロワ氏。醸造家として慣れ親しんだワインの世界から日本酒の世界に転身し、2019年に株式会社白岩を設立。アッサンブラージュという革新的な造りを採用し、「IWA」を誕生させました。シャルル アントワン・ピカール氏は、同社の代表取締役社長を務めます。彼らが新たな挑戦に選んだ地は、海、山、田んぼを見渡せる富山県立山町。しかし、なぜ富山だったのか。世界を知るピカール氏に、富山の魅力をはじめ、外国人の視点から「寿司といえば、富山」について、どう感じたのかなどを伺います。

IWA(ボトル)

 

Q1 なぜ、富山を拠点に酒造りを始めたのですか?

きっかけはご縁でした。10年以上前から日本で酒造りをできる場所を探していたのですが、なかなか理想的な土地が見つからず、そんなことをリシャールとも親交が深い建築家・隈研吾さんに話したところ、富山の岩瀬町で酒造りをする「桝田酒造店」の蔵元、桝田隆一郎さんをご紹介いただきました。そこから富山を色々巡り、富山が持つ自然の豊かさに惹かれていきました。立山連峰、日本海、田園風景を一堂に望むことができるここは、私たちが求めていた理想的な地。地下から汲み上げている上質な水もまた、ここを選んだ理由のひとつです。

 

Q2 世界と比べ、富山が長けている点は何ですか?

標高3,000mの立山連峰と水深1,000mの富山湾。富山の長けている点で欠かせないのは自然の豊かさだと思います。類まれなこの地形は、日本全国、いや、世界の中でも稀有な環境だと思います。しかし、さらに驚いたのは、富山の酒蔵の方々の寛大さ。日本酒は伝統的な業界に加え、新規参入も難しい。閉鎖的な印象がありましたが、彼らは私たちを歓迎してくれました。そして、皆、富山プライドを持っている。このパッションは、個人的に思う、特に富山の長けているところだと思います。「IWA」においても、良いものづくりにパッションは欠かせない。富山に来て約5年が経ちますが、年々富山が好きになっていますし、本当に富山で良かったと思います。

 

Q3 「寿司といえば、富山」の印象はいかがですか?

とても気に入っています! 実は富山に住む前は東京に10年住んでいました。東京でも色々な寿司を食べましたが、今は富山で食べる寿司が一番美味しいと思います。富山でなければ食べられない新鮮なネタをはじめ、約20種の白身魚がネタケースに並ぶ異常な光景など、とにかくびっくりすることが多く、最初は理解が追いつきませんでした(笑)。また、富山の人は魚に詳しい人も多く、本当に魚が好き。つまり、富山の寿司は語れるストーリーがたくさんあるのです。これは酒造りにおいても同じです。良質なものの定義は、語れるものであること。「寿司といえば、富山」は語れるプロジェクトだと思います。昨今、レストランを予約してからエアーのチケットを取るという訪日外国人が多いです。実際、富山の某レストランに予約を取った流れで「IWA」にいらっしゃる外国人もいます。日本だけでなく、海外に向けたプロジェクトとしても高い可能性を感じます。

 

Q4 「寿司といえば、富山」と協業してみたいことはありますか?

「IWA」では、富山のシェフや料理人を呼んで食事会や勉強会、イベントを行っています。ぜひ、「寿司といえば、富山」ともコラボレーションしたいです。「IWA」が掲げる、日本酒を世界に広めたいという目的と合わせ、富山の寿司も世界に広めたいです。

IWA(ロゴ)

 

Q5 今後、富山はどのようになれば、より魅力的な地域になると思いますか?

まず、富山の地形がいかに稀有で恵まれているのかを、もっと発信して伝えるべきだと思います。また、外国人観光客はレンタカーを使用しない人がほとんどのため、インフラの整備も重要。寿司店をはじめ、優良な飲食店はありますが、そこにだけ訪れ、近県に足を運ばれてしまうケースも多くあるため、飲食以外に体験したいと思う場所や泊まりたいと思うホテル、宿などがあると、県や市としての経済効果も上がるのではないでしょうか。日本は、クリエイティブな人は多くいますが、クリエイティブな企業は少ないと感じています。これはフランスとの違いだと思っています。飲食店は前者。大きな力が働く後者も大事。「IWA」は、その両輪を目指しています。世界的に見ても、ものより体験が重要視されている時代。例えば、「IWA」においても、他所で飲む「IWA」よりも、蔵で飲む「IWA」の方が感慨深いはずです。さらには、酒造りをしている時期と、していない時期では、蔵のエネルギーも全く違います。味の印象も大事ですが、誰と会い、どんな空間で、どんな風景を見ながら時間を過ごしたのかという体験によって、記憶の濃度が変わります。全て一筋縄にはいきませんが、やり続けることによって、富山はより魅力的な地域になるのではないでしょうか。

 

Profile

シャルル アントワン・ピカール

フランス・パリ出身。18年間モエ・エ・シャンドンやドン ペリニヨンのブランドマネジャーやディレクターを歴任した後、2019年にリシャール・ジョフロワ氏や桝田酒造5代目当主の桝田隆一郎氏とともに株式会社白岩を設立し、代表取締役社長を務める。

Text:ONESTORY