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SUSHI collection TOYAMA/ツアー2日目
2024年7月23日
▼目次
ツアー1日目終了後、ゲストは、「氷見温泉郷 くつろぎの宿 うみあかり」に滞在。目の前には富山湾が広がり、開放感溢れる温泉は、心身を癒してくれたでしょう。
2日目は、希望者のみ参加の白えび漁の見学から始まりました。乗船できる人数の関係から参加者を限定したところ、応募が殺到。その関心の高さが伺えました。早朝、宿からは、1日目に学んだ定置網漁の光景も望め、昇る朝日とともに「新湊(しんみなと)漁港」に向かいます。
漁が行われるポイントは、港を出航して約15分。沖合3kmも出れば、水深は約300mもあります。季節や時間の違いで群になる水深は刻一刻と変わりますが、そこはプロの眼が光ります。この日は、ここ数ヶ月の中でも特に大漁の日。漁師さんたちの計らいにより、水揚げしたばかりの透き通る白えびをゲストは船上でパクリ。白えびは鮮度(=透明)を保てる時間が極めて短いため、この状態で食す体験ができるのは、船上のみ。下船後、せり見学。今回、乗船させていただいた「正喜丸」船主であり、白えび倶楽部の野口和宏さんより、漁の特徴や新湊の漁業について学びます。その特徴は、育てる漁業。漁業資源保護を目的に全漁獲をプールし、均等に分配することなどにありました。
次に向かう先は、射水市。「café uchikawa 六角堂」にて朝食をいただきます。料理は、先ほど体験した白えびを主役にした、白えびの寿司クレープです。富山の伝統食である黒づくりから着想を得て、イカスミのクレープ生地の中に、たまねぎ、かぶ、シャリはすし酢と八朔でさわやかな酸味を演出。さらに富⼭のブランド米「富富富(ふふふ)」のおこげを砕いてアクセントに。主役の白えびは殻ごと揚げ、色々な食感が楽しめる一品に仕上げました。ドリンクは、通常カフェメニューの「六角堂ブレンドティー」をご用意。それらをおもてなししてくれるのは、店主の明石あおいさんです。ゲストは、白えびの寿司クレープとドリンクを持って、目の前に流れる新湊内川の水辺でいただき、情緒ある風景とともに、胃も心も満たしました。
そして、一同は、そのまま内川沿いを歩き、「内川の家 奈呉」へ。富山伝統のます寿しワークショップを体験します。「丸龍庵」の木村 圭さんと「射水市産業経済部農林水産課」課長補佐の山本和永さんより、その歴史を学びながら、ごはんを捏ね、鱒を乗せ、笹を巻き、ます寿しを作ります。伝統の食文化を持続可能なものとするサクラマス養殖の取組みについても学び、ここで2日目の前半は終了です。
2日目、「SUSHI collection TOYAMA」最後の体験は、「富山県美術館」にて行われた「富山の食の未来を表現するランチ会」です。ここには、富山県知事の新田八朗氏や昨年11月23日に開催した「寿司といえば、富山」のトークセッションに登壇された富山県鮨商生活衛生同業組合理事長の山下信夫氏も参加。料理を手がけるのは、大阪は中国料理の名店「AUBE」の東 浩司氏と魚介を活かしたフレンチの名店、東京で活躍する「abysse」の目黒 浩太郎氏のふたりのシェフ。東氏においては、前述、朝食に提供した白えびの寿司クレープのレシピ開発も担いました。
東氏は、富山の伝統食の「かぶら寿し」を自身の解釈で中華の技法を用いて調理した、鯖の干物とえごまの実で作ったXO醬等を蕪で巻き込むAUBE風かぶら寿し、フクラギ(小さい鰤)の湯葉巻き、放牧牛とホタルイカの熟鮓、岩牡蠣の蒸し寿司などを。目黒氏は、バイ貝のフィンガーフード、白えびの殻から取ったスープ、サクラマスと新川だいこんを使ったabysse風かぶら寿しなどを。それぞれが富山湾の魚・環境に配慮したブランド米の富富富・とやまテロワールベジ等の県産野菜を富山ならではの寿司文化をふまえ、独自にアレンジ&クリエーションします。味も見た目も寿司とは見まごう品を多彩に創作するも、その解釈は従来の握りだけではないオリジナリティに飛んだものであり、新たな寿司の拡がりを期待させる内容でした。
また、料理に合わせたドリンクは、富山市のバー「INABAR」の稲垣隆志氏が担当。氷見稲積梅のアロマジンソーダや氷見「小境荘」のどぶろくを活かしたカクテルから氷見のワイン「セイズファーム」、白岩の日本酒「IWA」、滑川の「千代鶴」などを巧みに合わせ、見事なペアリングを構成しました。そして、器も富山ガラス工房や能作等の工芸品の器で提供することで、富山の総合力をアピールします。
また、1日目の夕食含め、サービスには地元で料理人を目指す雄峰高等学校専攻科の学生にもご参加いただき、「寿司といえば、富山」が掲げる戦略実現のために取り組むひとつ、人材育成という視点においても注力しました。
東氏と目黒氏の料理は、1日目の「成希」滝本成希氏と「Japanese Restaurant GEJO」下條貴大氏の「寿司といえば、富山」とは対極ですが、寿司の概念を解放したふたりのシェフの料理もまた、「寿司といえば、富山」。
こうして「SUSHI collection TOYAMA」は、無事終了。多角的に「寿司といえば、富山」を捉えた内容の濃い1泊2日となりました。ゲストには、富山はどのように映ったのでしょうか。そして、「寿司といえば、富山」をどう感じたのでしょうか。
まだ始まったばかりのプロジェクトに、これからも期待していただければと思います。
【SUSHI collection TOYAMAで訪問、ご出演、協力いただいた方々のご紹介(2日目)】
◆氷見温泉郷 くつろぎの宿 うみあかり
◆富山湾しろえび倶楽部
※観光船の運行は現在休止中です。再開状況は下記HPよりご覧いただけます。
◆café uchikawa 六角堂
◆内川の家 奈呉
https://uchikawanoie-nago.com/
◆丸龍庵
◆富山県美術館レストラン BiBiBi & JURULi
https://tad-toyama.jp/facility/restaurant-cafe
◆AUBE
◆abysse
◆INABAR
◆能作
◆富山ガラス工房
◆高岡市デザイン・工芸センター
https://suncenter.co.jp/takaoka/
◆富山県総合デザインセンター
◆農事組合法人 前山
https://www.facebook.com/noujikumiaihoujinmaeyama/posts/792743002959774/
Photographs:JIRO OHTANI
Text:ONESTORY