更新日:2023年11月28日
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本日の定例県議会に提出しました案件の説明に先立ちまして、ひとこと申しあげます。
令和2年11月に知事に就任してから、3年余りが経過しました。この間、新型コロナの感染拡大をはじめ、記録的な大雪や豪雨などの自然災害、高病原性鳥インフルエンザの発生、ツキノワグマによる人身被害の発生など、県民の命や暮らしに関わる重大な事案に見舞われました。また、長引くエネルギー価格や物価の高騰により、現在も県民生活や事業活動に大きな影響が生じています。とりわけ、新型コロナについては、就任当初から感染症法上の位置づけが5類に変更された今年の5月までの間は、感染拡大の防止と社会経済活動の両立という困難な課題に直面しましたが、必要な対策を盛り込んだ予算を適時、適切に編成し、スピード感を持って対応してまいりました。
一方、未来に向けて、よりよい富山県をつくるため、成長戦略を策定し、関係人口の拡大やスタートアップ支援など、「幸せ人口1000万 ウェルビーイング先進地域、富山」の実現に向けた取組みを着実に進めてきました。また、今年5月に開催されたG7教育大臣会合では、宣言にウェルビーイングの向上策が盛り込まれ、本県の教育力の高さや多彩な魅力を国内外にアピールすることができたほか、多くのこどもたちが関連事業に参画し、貴重な経験や学びの機会となるなど、大きな成果がありました。
さらに、「ワンチームとやま」連携推進本部会議により、市町村との緊密な連携を図るとともに、北陸三県知事懇談会や三霊山サミットなど、つながりの深い県との連携強化、アメリカ・オレゴン州など海外との経済・人材交流の促進にも積極的に取り組んできました。
今後とも、知事に就任した際の初心を忘れず、若者からお年寄りまで希望に満ちた笑顔があふれる富山県、ワクワクすることがたくさんある富山県、チャンスがあり、夢を叶えることができる富山県の実現に向けて全力で取り組んでまいります。
これまでの議員各位のご指導とご協力、ならびに県民の皆様のご理解とご支援に深く感謝を申しあげますとともに、なお一層のご指導、ご支援をお願い申しあげます。
つぎに、当面の諸問題について申しあげます。
まず、本県経済につきましては、個人消費は緩やかに回復しつつあり、雇用情勢は改善の動きにやや弱さがみられるものの、有効求人倍率が1.43倍と引き続き高い水準にあるなど、景気は持ち直しています。一方で、物価上昇や金融資本市場の変動のほか、世界的な金融引締めに伴う影響など、海外景気の下振れが景気を下押しするリスクに十分注意する必要があります。
こうしたなか、国においては、今月2日に「デフレ完全脱却のための総合経済対策」を閣議決定し、その内容を盛り込んだ補正予算案が国会で審議されているところです。県としては、県内にも早期に効果を波及させるため、積極的な活用を図ってまいります。
本県の成長戦略につきましては、先月、県内外から各分野の先駆的な事業者や専門家などを招き、成長戦略カンファレンス「しあわせる。富山」を開催し、「地方から新しいモデルをつくる。」をテーマに議論を深めていただきました。本県のウェルビーイング指標策定などの取組みが全国的にも高く評価されているところであり、引き続き、県民一人ひとりの幸せの実感に寄り添う県政を推進してまいります。
こども・子育て施策の推進につきましては、第3子以降の令和6年度からの保育料完全無償化に向け、市町村と緊密に連携を図りつつ準備を進めているほか、妊娠・出産に影響する疾患の早期発見・治療を目的とした「プレ妊活健診」を先月から実施しています。また、「富山県ヤングケアラー支援ネットワーク会議」を設置し、ヤングケアラーに対する支援のあり方や方向性の検討を進めているところであり、引き続き、県、市町村で連携して、「こどもまんなか共生社会」の実現に向けて取り組んでまいります。
スタートアップ支援につきましては、大きな成長が期待される県内企業6社を選定し、専門家による集中的な支援を開始したところであり、引き続き、新たなビジネスの創出や、起業のさらなる促進に取り組んでまいります。
ブランディングの推進につきましては、「寿司と言えば、富山」のブランドの確立に向け、来年1月に、観光列車「一万三千尺物語」や富山県美術館において、寿司に加え、自然や文化など本県の多彩な魅力を五感で体験できるイベントを実施し、認知度の向上を図ることとしています。
観光の振興につきましては、今月開催された全国宣伝販売促進会議において、黒部宇奈月キャニオンルートをはじめ本県の魅力ある観光資源を全国の旅行会社にアピールしました。また、先月末から今月初めにかけて、英国ロンドンとアイルランド・ダブリンにおいて、観光PRや現地の商社等への商品提案を実施し、本県の自然や文化、伝統工芸、食などについて高い評価を得たところです。この成果を欧米等からの誘客に活かすとともに、県産品の輸出拡大につなげてまいります。
富山マラソンにつきましては、国内外から過去最多となる1万4600人余の参加をいただき、ランナー、ボランティア、協力企業等の方々が一体となり、美しい海・山・まちを楽しめる魅力ある大会となりました。
国際交流の推進につきましては、本県と韓国江原特別自治道の交流30周年を記念し、今月3日、金鎭台知事をはじめとする訪問団が来県され、友好交流と協力に関する協定書を締結したところであり、今後、さらなる交流の促進を図ってまいります。
北陸新幹線につきましては、先月、北陸新幹線建設促進同盟会、沿線府県議会協議会、北陸経済連合会、関西経済連合会および関西広域連合の5団体合同で、来年度の政府予算案に関する要請を行いました。来年3月には金沢・敦賀間が開業しますが、大阪までの全線開業についても、一日も早く実現されるよう、政府等に対し強力に働きかけてまいります。
城端線・氷見線につきましては、先月開催した再構築検討会において、将来の事業主体をあいの風とやま鉄道とすることについて合意しました。引き続き、再構築実施計画の年内の策定に向け、利便性・快適性の向上の取組みなどについて沿線4市や鉄道事業者とともに検討を進めてまいります。
中山間地域の活性化につきましては、先月、「全国過疎問題シンポジウム2023 in とやま」を開催し、過疎地域における様々な課題を共有するとともに、本県の優れた取組みや魅力を全国に発信したところであり、今後とも、中山間地域の活性化に向けた取組みの充実を図ってまいります。
中小企業等の振興につきましては、先月、「富山県ものづくり総合見本市」を開催し、過去最多となる延べ3万1000人余の方々に来場いただきました。国内外の企業等による活発な商談が行われたところであり、今後とも、本県の優れたものづくりの技術や製品を国内外に発信してまいります。
農業の振興につきましては、8月の平均気温が観測史上最高を記録するなど大変厳しい気象条件の中、生産農家や関係機関の皆様には品質確保対策に連携して取り組まれました。県としても、猛暑に対応したきめ細かな管理を指導してきましたが、本年産コシヒカリの9月末の一等米比率は、過去最低の43.6パーセントとなりました。令和6年産米の生産に向けては、品質向上対策をさらに進めるとともに、高温に強い富富富のさらなる生産拡大にも取り組んでまいります。
ツキノワグマ対策につきましては、本年は9月下旬から出没件数が大幅に増加し、10月の出没件数が昨年の10倍以上の257件となったほか、死亡事故など深刻な人身被害も発生したことから、「ツキノワグマ出没警報」の発令など県民への注意喚起を図ってきました。また、市町村が行う捕獲、警戒パトロール等への補助上限額を緊急的に撤廃し、警戒態勢を強化したほか、今月9日、県議会とともに、伊藤環境大臣に対してクマ被害防止対策支援に関する緊急要望を行ったところです。引き続き、関係機関と連携して被害防止対策を進め、県民の安全・安心の確保に努めてまいります。
教育の振興につきましては、今月6日に第3回県立高校教育振興検討会議を開催し、再編基準や学科・コースの見直しについてご意見をいただいたところであり、年度内の基本方針のとりまとめに向け、引き続き検討を進めてまいります。また、不登校の児童生徒数が増加傾向にあることから、スクールカウンセラー等による早期の支援など教育相談体制の一層の充実を図るとともに、教育支援センターやフリースクール等の多様な学びの場との連携強化や、さらなる支援策の検討を進めてまいります。
近隣県との広域連携につきましては、先月、岐阜県知事と懇談し、農林水産物等の輸出促進に向けた連携等の取組みを進めることで合意しました。また、今月14日の北陸三県知事懇談会では、本県が提案した「就職期の女性に選ばれる北陸」の実現に向けた連携強化などについて合意したところであり、引き続き、具体的な連携策を進め、「北陸の十字路」構想の実現につなげてまいります。
つぎに、令和6年度予算編成方針について申しあげます。
本県財政につきましては、高齢化の進展等により社会保障関係経費が年々増加しており、地方債の償還による公債費が高い水準で推移するなど、引き続き厳しい状況にあります。このため、来年度予算編成においては、「県民目線」、「スピード重視」、「現場主義」をこれまで以上に徹底し、既存事業の抜本的見直しや再構築を進めます。
そのうえで、未来に向けた「人づくり」と「新しい社会経済システム」の構築を目指し、成長戦略の6つの柱に基づく施策や、八つの重点政策・八十八の具体策の総仕上げに向けた取組みをはじめ、子育て環境日本一の実現、G7教育大臣会合の成果の継承・深化、DXやカーボンニュートラル、官民連携の推進、関係人口の創出・拡大などによる斬新で効果的な事業に予算を優先的に配分します。また、すべての部門においてウェルビーイング向上効果等を勘案して施策を検討するとともに、新たに、ウェルビーイング指標を活用して企画・立案する施策パッケージに予算を重点配分することとしています。
つぎに、今回提出しました案件について申しあげます。
まず、補正予算について申しあげます。
補正予算の規模は、
一般会計 25億8,300万円
企業会計 7億9,192万円
となっています。
以下、補正予算の概要について申しあげます。
人事委員会の勧告に基づき、職員の給料および期末手当等の支給割合の引上げを行うこととし、所要の給与費を増額します。
未来への投資・子育て支援につきましては、県内企業における男性の育児休業取得をさらに促進するほか、地域周産期母子医療センターの充実のために分娩室等の改修整備を行う医療機関を支援します。
また、県立大学情報工学部の開設に向け、新棟の整備を進めるほか、障害者のスポーツ環境の充実を図るため、高志支援学校の体育館の改修整備を進めてまいります。
観光の振興、国際交流の推進につきましては、県内観光地の魅力を高めるため、地域の観光まちづくりの取組みと連携した廃屋等の撤去を支援するほか、上海便を利用する旅行者の交通アクセスや満足度の向上を図るため、富山空港から富山駅への直行バスを運行します。また、来年度、中国遼寧省との友好県省締結40周年を迎えることから、友好訪問団の派遣に向けた準備を進めてまいります。
農業者支援につきましては、令和5年産米の等級低下により収入減少が懸念される農業者の資金繰りを支援するため、低利融資制度を創設するほか、この夏の猛暑の影響をふまえ、来年の水稲、大豆の品質・収量向上に向けた取組みを支援します。また、とやま農業未来カレッジの定員拡充に伴う研修体制の整備を進め、本県の農業を担う人材の育成につなげてまいります。
高岡テクノドームの機能拡充につきましては、産業展示のニーズや建設資材費の高騰などの社会経済情勢をふまえ、別館整備基本計画に示す機能を実現するため、本館・別館にどのような機能を持たせるか専門的・技術的調査を実施します。
このほか、冬期に損傷した道路の補修や農業農村整備等の工事に早期に着手するため、県単独建設事業等に関する債務負担行為を設定し、年度間の切れ間のない発注と計画的な執行に努めてまいります。
以上が補正予算の概要となります。
つぎに、予算以外の議案について申しあげます。
条例としましては、改正するものとして、「富山県一般職の職員等の給与に関する条例等の一部を改正する条例」など4件を提案しています。
条例以外の議案としましては、工事請負契約の変更に関するものなど13件を提案しています。
報告案件につきましては、地方自治法第179条および同法第180条の規定による専決処分について報告しています。
以上をもちまして、今回提出しました諸案件の説明といたします。
なにとぞ、慎重ご審議のうえ、適正な議決をいただきますようお願い申しあげます。
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