更新日:2024年9月6日
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本日の定例県議会に提出しました案件の説明に先立ちまして、当面の諸問題等について申しあげます。
令和2年11月に知事に就任して以来、早くも3年10か月が過ぎようとしています。この間、「県民目線」、「スピード重視」、「現場主義」を徹底した県政運営に努め、「若者からお年寄りまで希望に満ちた笑顔があふれる富山県」、「ワクワクすることがたくさんある富山県」、「チャンスがあり夢を叶えることができる富山県」の実現に向け、八つの重点政策・八十八の具体策に誠心誠意取り組んでまいりました。また、未来に向けた新しい富山県の創造を目指し策定した成長戦略では、ビジョンとして「幸せ人口1000万 ウェルビーイング先進地域、富山」を掲げ、関係人口の拡大やウェルビーイングの向上につながる6つの柱の取組みを進めてきたところです。一方、新型コロナウイルス感染症や記録的な大雪、鳥インフルエンザ、物価高騰、豪雨災害、そして元日に発生した能登半島地震など県民の命や暮らしに関わる重大な事案に見舞われましたが、市町村等と連携し、適時適切に対応してまいりました。ご指導いただきました議員各位、ご理解をいただいた県民の皆様に心からお礼を申しあげます。
今定例県議会は、私の任期が満了する直前の県議会ですが、現下の重要課題である震災対応をはじめ、今後の富山県の発展や県民生活の向上のために必要な施策を盛り込んだ補正予算案を提出していますので、議員各位には、ご理解とご協力、ご指導をお願い申しあげます。
つぎに、当面の諸問題について申しあげます。
まず、令和6年能登半島地震からの復旧・復興につきましては、県内において広範囲にわたる被害が発生し、今もなお、県民生活や事業活動に大きな影響が生じています。今般の震災からの復旧・復興の対応にあたられている関係の皆様に、あらためて深く感謝申しあげます。
県ではこれまで、復旧・復興ロードマップに基づき、住宅の復旧や被災者の生活支援、中小企業等の生業支援、公共土木施設や農林水産業施設等の速やかな復旧、石川県を含めた北陸全体の復興などに、数次にわたる補正予算を編成するなどスピード感を持って対応してきました。特に被害の大きい液状化対策については、住宅や地盤の復旧など被災市と連携しながら進めてきており、被災された方々の生活再建を後押ししています。また、なりわい再建支援補助金の募集を随時実施するとともに、県の制度融資について、震災対策特別融資等の取扱期間を延長し、中小企業の資金繰りを支援するなど、地域産業の再生に努めているところです。さらに、公共インフラについては、県内各地に地震の爪痕が未だ大きく残っていますが、大きく崩壊した道路の通行が再開するなど、着実に復旧の取組みが進んでいます。引き続き、早期の復旧・復興に向け、県議会をはじめ、市町村等とも連携し、全力で取り組んでまいります。
つぎに、本県の経済・雇用情勢等について申しあげます。
本県経済につきましては、生産は持ち直しの動きがみられ、個人消費は一部に弱い動きがみられるものの、底堅い動きとなっています。また、雇用情勢は、有効求人倍率が前月から上昇し、7月は1.38倍となるなど、景気は底堅い動きとなっています。一方で、物価上昇や金融資本市場の変動等による下振れリスクに注意する必要があるほか、地震の県内経済に与える影響に留意する必要があります。
こうしたなか、国においては、6月に閣議決定された「骨太の方針」において、賃上げの促進や価格転嫁対策、スタートアップの支援、人手不足への対応、DXの推進などが盛り込まれました。県としては、これまで、企業における賃上げや処遇改善の取組みを支援するとともに、価格転嫁に向けた取組みを後押しし、8月末でパートナーシップ構築宣言の登録企業数が千件を超えたところです。また、DXや従業員のリスキリングなど企業の生産性向上に資する取組みを支援しており、引き続き、現場のニーズをふまえながら、必要な対策に取り組んでまいります。
人口減少やそこから生じる課題への対応につきましては、富山県人口未来構想本部において、子育て支援・少子化対策や移住促進、産業振興、外国人材の活躍や多文化共生の推進などをテーマに、幅広い観点から議論を重ねています。また、成長戦略会議では、関係人口・交流人口の拡大を重点に据えて議論を進めており、今月末には提言がとりまとめられる予定です。県としては、こうした議論をふまえ、人口減少の抑制とともに人口減少社会への適応に向けた対策について、部局横断で検討を進めてまいります。
こども・子育て施策の推進につきましては、新たな「子育て支援・少子化対策に関する基本計画」について、先月、中間報告がとりまとめられました。また、こどもたちの意見を施策に反映するため、小中学生の皆さんから直接、富山県の未来についての率直な意見を聴く機会を設けたところです。今後とも、広く県民の皆様のご意見をお聴きしながら、本年度中の計画策定に向けて取り組んでまいります。
さらに、先週開催された「ワンチームとやま」連携推進本部会議では、こども医療費助成に係る対象年齢等の拡充とあわせて、市町村が独自に取り組む施策の充実について議論したところであり、令和7年度の実施に向け、協議を進めていきます。加えて、10月から、子育て支援アプリを活用し、1歳半時に3万円分を配付する「とみいくデジタルポイント」の運用を開始します。引き続き、県、市町村で連携して、こどもまんなか社会の実現に向けて取り組んでまいります。
高校教育につきましては、魅力と活力ある県立高校の実現に向け、学区ごとにワークショップや意見交換会を開催したところです。地域の様々なご意見をふまえ、引き続き、総合教育会議において、丁寧に議論を進めてまいります。
女性活躍の推進につきましては、去る7月、北陸三県で連携したイベントを福井県で開催し、官民の取組み強化に向けた宣言を発信したほか、先月には、中高生に対し、ライフプランやキャリア形成について考える機会を提供するため、県内で活躍する女性との座談会を開催したところであり、引き続き、女性が活躍できる環境づくりに取り組んでまいります。
北陸新幹線につきましては、去る7月、北陸新幹線建設促進同盟会、沿線府県議会協議会、北陸経済連合会、関西経済連合会および関西広域連合の5団体合同で、政府・与党に対して、一日も早い大阪までの全線開業を強く要請し、先月開催された与党の北陸新幹線敦賀・新大阪間整備委員会において、国から敦賀・新大阪間の駅の位置やルート案が示されたところです。今後とも、沿線自治体や経済界などと連携し、国会議員や県議会議員の皆様のお力添えもいただきながら、政府等に対し強力に働きかけてまいります。
関西圏での情報発信につきましては、7月31日に、「HOKURIKU+」がオープンし、1か月で23万8千人を超える来店があるなど、多くの方々に富山県の魅力を体感いただいたところです。今後とも、物販、観光、軽飲食、イベントなどの多彩な機能を総合的に生かし、市町村等とも連携しながら、北陸三県で効果的な魅力発信に取り組んでまいります。また、7月には富山と関西圏の若者が繋がるコミュニティを立ち上げたところであり、北陸新幹線の敦賀延伸効果を追い風に、関西圏からの誘客や移住の促進、関係人口の創出を図ってまいります。
スタートアップ支援につきましては、先月、大きな成長が期待される県内企業6社を選定し、専門家による集中的な支援を開始しました。また、今週2日には、県内企業や金融機関、教育・研究機関の参加による交流会などを開催したところであり、引き続き、新たなビジネスの創出や起業の促進に取り組んでまいります。
高岡テクノドームにつきましては、今週3日に本館・別館の一体的整備に関する調査報告書を公表しました。今後、県議会でのご議論もふまえながら、整備方針を検討してまいります。
農林水産業の振興につきましては、先月、東京で開催された農林水産品の商談会に復興支援ブースを出展し、県内事業者の販路開拓を支援しました。今後、さらなる輸出拡大を図るため、来月19日から、北陸三県連携でフランス・パリでの国際食品見本市への出展や現地事業者へのPRを実施することとしており、海外でのプロモーションを強化してまいります。
また、本年の稲の作柄については、8月15日現在で、本県は「平年並み」と見込まれています。一部では米が品薄と言われていますが、県内では既に早生のてんたかくの出荷がスタートしており、コシヒカリや富富富も間もなく本格的な収穫期を迎えるなど、安定的な供給が期待されます。引き続き、高品質で食味の良い富山米の生産と安定供給に努めてまいります。
スポーツの振興につきましては、先般開催されたパリオリンピック・パラリンピックにおいて、日本選手団がめざましい成績を収め、本県選手も、バドミントン女子シングルスの大堀彩選手とスケートボード女子ストリートの中山楓奈選手が入賞され、パラリンピックでは、ボッチャ女子の藤井友里子選手が準々決勝進出を果たされるなど、大きな感動を与えていただきました。選手の皆さんには、今後のご活躍を心からお祈り申しあげます。
ブランディングの推進につきましては、「寿司といえば、富山」のブランド確立に向け、本県の寿司の美味しさや雄大な自然、豊かな文化をPRする動画を今月から富山駅や富山空港等で放映しています。今後、さらなる認知度向上のため、ブランドロゴマークの制作を進めることとしています。
広域連携につきましては、去る7月、岐阜県知事と懇談し、大規模・広域災害時に備えた連携強化や富山空港を活用した観光誘客などで合意しました。また、石川・静岡両県と締結した三霊山連携協定に基づき、観光物産展を東京で開催したほか、立山博物館での特別企画展や3県を周遊するデジタルスタンプラリーを実施しているところです。引き続き、各県それぞれの特色を活かした連携を進めてまいります。
官民連携の推進につきましては、民間事業者のアイデアやノウハウを活用する民間提案制度を新たに導入したほか、県庁周辺エリアの有効活用について、全国から広くアイデアを募集するとともに、7月から基本構想の検討を開始したところです。引き続き、地域課題の解決に向けて、民間活力を活用する取組みを進めてまいります。
つぎに、今回提出しました案件について申しあげます。
まず、補正予算について申しあげます。
補正予算の規模は、
一般会計 108億6,165万円
特別会計 1億9,233万円
企業会計 4億717万円
となっています。
以下、補正予算の概要について、4つの施策の柱に沿って申しあげます。
1つ目の柱は、「能登半島地震に係る復旧・復興ロードマップへの対応」です。
公共インフラ等の復旧につきましては、新たに必要額が判明した、港湾施設、林道や漁港などの農林水産業施設、県総合福祉会館などの県有施設等の迅速な復旧に取り組んでまいります。また、被災した民間施設等の復旧に向け、農業施設や水産業施設、文化財の復旧等に対して市町村と連携し支援してまいります。
2つ目の柱は、「防災・減災など安全・安心の推進」です。
防災対策につきましては、先月開催した県防災会議地震対策部会での議論をふまえ、県内及び隣県の主要活断層・海域活断層のほか、南海トラフ地震を対象とし、二次的被害を含めた「地震被害想定・津波シミュレーション調査」に着手します。また、県民の防災意識の高まりをふまえ、防災士を養成する研修を拡充し、地域防災力の向上につなげてまいります。
ツキノワグマ対策につきましては、6月の出没件数が過去最多となったことをふまえ、市町村が行うクマ対策への支援を増額するほか、クマが指定管理鳥獣に追加されたことを受け、国の交付金を活用し、専門チームによる見回りや捕獲、市町村への技術的な指導・助言を行うなど、秋の活動期に向けた対策を強化してまいります。
社会資本の整備につきましては、道路や河川、海岸などの公共事業を増額するとともに、通学路の交通安全対策など安全・安心な県土づくり、地域の生活基盤の整備等を推進します。
3つ目の柱は、「こども・子育て、教育・スポーツの振興」です。
こども・子育て施策の推進につきましては、全てのこどもが権利を保障され、幸せに暮らし、健やかに成長できる社会の実現に向けて、有識者等のご意見をお聴きしながら、こどもの権利に関する条例の制定に向けて検討を進めてまいります。また、児童相談所等の職員の専門性向上を図るため、こども家庭ソーシャルワーカーの資格取得を促進し、困難を抱えるこどもに対する相談支援体制を強化します。加えて、新生児マススクリーニング検査のうち、モデル的に2疾患を対象に検査費用を支援する国の実証事業に参画し、子育て世帯の負担軽減に取り組みます。
教育・スポーツの振興につきましては、全国募集を行う南砺平高校の生徒寮の空調整備を進めます。また、県武道館については、現在、基本設計に取り組んでいるところであり、今後は実施設計等に着手し、令和9年度中の開館を目指して整備を進めてまいります。
4つ目の柱は、「観光振興、公共交通・物流の維持など地域経済の活性化」です。
観光の振興につきましては、10月にフランス・パリにおいて、北陸三県連携で観光プロモーションを実施するとともに、12月のインド経済訪問団の活動の一環として、現地での観光説明会を開催するなど、海外からのさらなる誘客促進に取り組んでまいります。
空港の活性化につきましては、台北便の定期便再開に向け、臨時便を活用した旅行商品の造成に対する支援を充実するとともに、大連便については、北陸新幹線の車内広告を実施し、沿線からの利用を促進してまいります。
公共交通・物流の維持につきましては、バス運転手専門の就職イベントの参加やセミナーの開催等により、バス運転手の確保対策の強化に事業者と連携して取り組みます。また、物流の2024年問題に対応するため、引き続き、運送事業者等が実施する物流効率化の取組みを支援するとともに、優良事例の横展開を図ってまいります。
農福連携につきましては、国の農福連携等推進ビジョンの改訂をふまえ、地域での推進体制づくりを進めるため、本県の推進方策の見直しに向けた調査・検討を行います。
外国人材の活躍や多文化共生の推進につきましては、県内外国人住民の増加などの社会情勢の変化をふまえ、外国人材活躍・多文化共生推進プランの改訂に取り組んでまいります。
以上が補正予算の概要となります。
つぎに、予算以外の議案について申しあげます。
条例としましては、改正するものとして、「富山県農政審議会条例の一部を改正する条例」など5件を提案しています。
条例以外の議案としましては、工事請負契約の締結に関するもの2件を提案するとともに、令和5年度歳入歳出決算および令和5年度企業会計決算6件につきまして、監査委員の意見を付して提出しています。
報告案件につきましては、地方自治法第179条および同法第180条の規定による専決処分ならびに令和5年度継続費精算報告書などについて報告しています。また、令和5年度決算に基づく健全化判断比率、内部統制評価報告書等について監査委員の意見を付して報告するとともに、県の出資等に係る法人の経営状況に関する説明書などを提出しています。内部統制評価報告書においては、運用上の重大な不備を2件報告しており、再発防止に引き続き努めてまいります。
以上をもちまして、今回提出しました諸案件の説明といたします。
なにとぞ、慎重ご審議のうえ、適正な議決をいただきますようお願い申しあげます。
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