トップページ > 県政の情報 > 広報・情報公開 > 報道発表 > 2024年 > 10月 > 研究成果が国際学術雑誌「Scientific Reports」に公表されました

更新日:2024年10月9日

ここから本文です。

富山県 News Release

研究成果が国際学術雑誌「Scientific Reports」に公表されました

発表日 2024年10月9日(水曜日)

研究成果が国際学術雑誌「Scientific Reports」に公表されました

富山県衛生研究所(射水市)の大石和徳所長、およびウイルス部の谷英樹部長、板持雅恵主任研究員らの研究チームは、高齢者施設における新型コロナウイルスmRNAワクチン追加接種後の副反応の発生頻度と抗体価の推移を解析しました。

本研究により、高齢者施設の入居者は職員と比較してmRNAワクチン接種後の副反応の発生頻度が顕著に低いこと、職員・入居者ともに、副反応の有無に関係なく、ウイルスに対する高い中和抗体価が得られることが明らかになりました。

この研究成果は10月7日に国際学術雑誌「Scientific Reports」に公表されました。

1.概要

  • 富山県内の6高齢者施設において、新型コロナウイルス mRNAワクチンの5回目(二価武漢株/オミクロン株BA.4/BA.5対応ワクチン)までの追加接種の副反応と抗体応答を評価しました。
  • 新型コロナウイルス未感染の職員26名(年齢中央値、51歳)と入居者69名(年齢中央値、88歳)の計95名について、1回目から5回目ワクチン接種後に、心筋炎等の生命を脅かす副反応は一例も認められませんでした。
  • 生命予後に影響しない局所および全身の副反応(局所の副反応:注射部位の痛み、発赤、腫脹. 全身の副反応:発熱、易疲労感、頭痛、悪寒、嘔吐、下痢、筋肉痛、関節痛)の発生頻度を評価したところ、重度の副反応は職員のみに認められました。入居者では、職員と比較して副反応の発生頻度は顕著に低いことが示されました。
  • 職員、入居者ともに、副反応の有無に関係なく、ウイルスに対する中和抗体価が十分に上昇しました。

2.発表雑誌

国際学術雑誌「Scientific Reports」

https://www.nature.com/articles/s41598-024-73004-8(外部サイトへリンク)(別ウィンドウで開きます)

3.論文タイトル

COVID-19 mRNA Booster Vaccination Induces Robust Antibody Responses but Few Adverse Events among SARS-CoV-2 Naive Nursing Home Residents

「高齢者施設入居者における新型コロナウイルスmRNAワクチンの追加接種は、強い抗体反応を誘導するが、副反応は少ない」

4.著者

Masae Itamochi, Shunsuke Yazawa, Yumiko Saga, Takahisa Shimada, Kosuke Tamura, Emi Maenishi, Junko Isobe, Hitoshi Sasajima, Chikako Kawashiri, Hideki Tani, Kazunori Oishi

板持雅恵、矢澤俊輔、佐賀由美子、嶌田嵩久、田村恒介、前西絵美、磯部順子、笹島仁、川尻千賀子、谷英樹、大石和徳

5.本論文を通してお伝えしたいメッセージ

今年の10月から開始された新型コロナウイルスワクチンの定期接種の対象は、65歳以上の方、60〜64歳で心臓、腎臓または呼吸器の機能に障害があり、身の回りの生活が極度に制限される方、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)による免疫の機能に障害があり、日常生活がほとんど不可能な方になります。

本論文では新型コロナウイルスmRNAワクチンの追加接種が高齢者施設入居者に対して中和抗体を十分に誘導し、副反応が少ないことから、有用性が高いと結論しました。

従って、今年度の新型コロナウイルスワクチンの定期接種においても、使用可能なmRNAワクチンの65歳以上の高齢者に対する有用性は高いと考えられます。

お問い合わせ先

部局・担当名

電話番号

担当者

厚生部 衛生研究所

0766-56-5506(代)

所長 大石和徳