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更新日:2021年2月24日
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平成13年2月
富山県男女共同参画推進条例(仮称)検討委員会
この報告書は、知事の委嘱を受けた委員で構成する「富山県男女共同参画推進条例(仮称)検討委員会」が、「男女共同参画社会の形成を促進するための条例の基本的な考え方」について取りまとめたものです。
国においては、昨年6月、男女共同参画社会基本法が公布施行され、男女共同参画社会の実現は21世紀の我が国社会を決定する最重要課題と位置づけられました。
富山県では、これまで男女共同参画社会の実現を県政の重要課題と位置付け、各種の施策を進めてこられましたが、本県の特性を踏まえた基本的な方針や施策などを明確にし、一層強力な施策を推進するため、条例を制定することは、大きな意義があるものと考えています。
検討委員会では、男女共同参画や法令など専門的観点から、富山県の現状と地域特性などに留意しながら幅広く多くの事項について大変密度の濃い議論を重ねました。また、県民が傍聴する中で会議が開催され、資料や会議の概要は県のホームページで公開されるなど、情報発信に鋭意努めてきました。
さらに、条例の制定にあたって県民の理解を深め、幅広くご議論いただくため「検討概要」を冊子にとりまとめて公表し意見募集をしましたが、県民の皆さんや各種女性団体、男女共同参画懇話会などから、多くのご意見、ご提言をいただきました。
検討委員会では、これらの貴重な意見を参考に、さらに項目ごとに議論を深めたうえで、このたび報告書として取りまとめました。
今後、「条例」が一日も早く制定され、これを契機に県、県民、事業者が一体となって男女共同参画社会の形成に向けて一層努力されることを期待いたします。
「個人の尊重」と「男女平等」は、日本国憲法に人類普遍の原理としてうたわれ、この崇高な理想と目的を達成するため、法制上の措置が順次とられてきています。
しかしながら、性別による特性を重視し、男女の役割を固定的にとらえようする人々の意識や社会慣習は依然として根強く残っています。
また、現在の社会・経済情勢は、少子化の進行、高齢化の進展、経済活動の成熟化・国際化、情報通信の高度化、家族形態の多様化など急速に変化してきており、従来の社会システムでは十分に対応できない状況を招いています。
このような中で21世紀の社会が発展する道を確保するためには、すべての人々が、その個性と能力を十分に発揮し、共に責任を担う男女共同参画社会を実現することが最重要課題とされ、平成11年6月に男女共同参画社会基本法が制定されました。
富山県では、三世代同居率が高く、出産・育児期に家族支援が得られやすい環境などから、女性就業率や女性の平均勤続年数も全国トップクラスであり、いわゆるM字カーブのM字度(女性の年齢別労働力率が25~39歳の年齢層で結婚・出産による離職のため低下する度合い)が比較的低くなっていますが、一方で女性管理職比率は極めて低いという実態があります。また、自治会、PTA、ボランティア活動などの地域活動は、女性が積極的に担っていますが、リーダーが少ない状況にあります。
県が実施した平成11年度「富山県男女協同社会に関する意識調査」では、「夫は外で働き、妻は家庭を守るべきである」という考え方について、男性では5割以上、女性では4割以上の人が賛成と答えており、依然として固定的な性別役割分担意識が根強く残っている結果となっています。また、「家庭」「職場」「地域社会」のいずれにおいても男女の地位が不平等であると感じる女性の率が男性を上回っています。
また、本県は全国を上回るペースで少子化高齢化が進展しており、平成12年度をピークに県の人口が減少に向かうとの予測が出されています。
県では、昭和56年に「婦人の明日を拓く富山県行動計画」、昭和62年に「21世紀をめざすとやま女性プラン」、平成4年には「新とやま女性プラン」を策定し、女性の地位向上に取り組まれてきました。さらに平成9年には「とやま男女共同参画プラン」を策定し、活動の拠点施設として富山県女性総合センター「サンフォルテ」を設置されるなど、みのりある男女協同社会の実現を目指した各種施策を総合的・計画的に推進されています。また、平成11年度には「人権教育のための国連10年」に関する富山県行動計画を策定し、人権教育・啓発を総合的、かつ、効果的に推進されています。
しかし、こうした取組みのもとで、今なお、人権の確立をめぐるさまざまな課題が残されています。夫やパートナーからの暴力やセクシュアル・ハラスメントなど新たな課題にも対応していく必要があります。また、少子化の進行、高齢化の進展に対応するため、男女の生涯にわたる健康の促進や女性の就業率の高まりへの環境整備、高齢社会を支えるための男女共同参画意識の浸透など、一層の施策の推進が重要となってきます。
このため、男女共同参画社会基本法を踏まえながら、県として男女共同参画社会の実現を目指すという強い意思を表明し、本県の地域特性を勘案した男女共同参画を推進するための法的基盤を整備することが必要です。そして、一層強力な、より実効性ある施策を総合的・計画的に推進し、男女共同参画社会の形成を促進していく必要があります。
こうしたことにより、勤勉で粘り強い県民性と積極進取の精神を発揮して県民一人ひとりが努力を続けることと相俟って、21世紀の富山県においては、男女の別なく、家庭や地域,学校、職場などで誰もがいきいきと輝いている男女共同参画社会を創造することができるものと考えます。
条例を制定することにより、次のような意義及び効果が期待できます。
「富山県男女共同参画推進条例」とすることが適当である。
「男女共同参画」は、真の男女平等の実現をめざすものであり、そのために男女が各人の個性に基づいて能力を十分に発揮できる機会を保障し、社会のあらゆる分野における意思決定過程へ参画することが重要であるものである。
また、この条例は、県民、事業者及び県の総称としての「富山県」が、理念や基本方針にとどまらず、男女共同参画を強力に「推進」するための条例であることから「富山県男女共同参画推進条例」とすることが適当であるとしたものである。
条例の趣旨、目的等を誰が読んでもわかるように工夫すべきである。
その方法としては、i.前文を置く方法と、ii.目的規定や基本理念の規定を平易でわかりやすい表現とする方法があるが、富山県の基本的条例である環境基本条例、県民福祉条例又は文化条例においては、後者の方法を選択されていることに鑑み、この条例においても「男女平等」等の文言を本則に規定すること等により所期の目的が達成されるのであれば、必ずしも前文を置く必要はないと考える。
男女共同参画社会の形成を促進するため、男女共同参画の推進に関し、基本理念を定め、県、県民、事業者の責務を明らかにするとともに、男女共同参画の推進に関する施策の基本となる事項を定め、男女共同参画を総合的・計画的に推進することにより、男女の人権が尊重され、豊かで活力ある社会の実現に寄与することを条例の目的とすること。
県は、男女共同参画推進施策を実施するため必要な財政上の措置その他の措置を講ずるものとすること。
何人も、職場、学校、地域、家庭その他社会のあらゆる場において、次に掲げる行為その他の行為により男女の人権を損なうことのないようにしなければならないこと。
知事は、毎年、男女共同参画の推進の状況及び男女共同参画推進施策の実施の状況についての報告書を作成し、公表するものとすること。
県は、広報活動等を通じて、男女共同参画に関する県民及び事業者の理解を深めるとともに、学校教育、社会教育その他の教育及び県民の学習活動において男女共同参画に関する教育及び学習の促進のための適切な措置を講じなければならないこと。
県は、男女共同参画推進施策の策定に必要な調査研究を行うものとすること。
県は、県民の協力を得て男女共同参画の啓発及び普及その他の活動を行う男女共同参画推進員の制度を設けるものとすること。
(設置及び所掌事務)
(組織等)
県は、男女共同参画を推進するための拠点となる施設を設置するものとすること。
男女共同参画社会は、県民一人ひとりが男女共同参画の意義を理解し、男性も女性も家庭、地域、学校、職域その他の社会のあらゆる分野において実践することによって実現されるものです。
検討の過程で、多くの県民の皆さんから貴重な意見をいただき、また県民フォーラムでは、直接に意見を聴く機会もあり大変に参考になりました。条例という性格上、この報告書に盛り込めなかった具体的な提言も多数ありました。
県におかれては、これから策定されます「男女共同参画計画」や事業の実施等に際し、これらの意見を十分に参考にされ、具体化に向けて十分検討されるなど、県民の意見の反映に意を尽くしていただきたいと考えています。
また、条例や計画については、その内容を平易な表現、文言にするなどわかりやすくして県民に周知徹底することにより、県民の理解と協力が得られるように配慮していただくことをお願いいたします。
新しい世紀を迎え、出来るだけ早い時期にこの条例が制定されることを期待しています。
そして新しい時代の幕を開けた富山県では、男女があらゆる分野に対等に参画し、ともに責任を担い、喜びも分かち合う、いきいきと輝いている男女共同参画社会が創造されるものと確信しています。
富山県男女共同参画推進条例(仮称)検討委員会委員・顧問名簿
※◎…委員長、○…職務代行
※敬称略・50音順
氏名 | 現職 |
---|---|
◎天野正子 | お茶の水女子大学大学院教授 |
上村千賀子 | 群馬大学教授 |
浦崎威 | 弁護士 |
金岡トモコ | 富山短期大学教授 |
○炭谷秀樹 | (財)富山県中小企業振興財団副理事長 |
萩野聡 | 富山大学教授 |
本田百合子 | 公認会計士 |
氏名 | 現職 |
---|---|
有馬真喜子 | (財)横浜市女性協会理事長 |
岩男壽美子 | 武蔵工業大学教授 |
富山県男女共同参画推進条例(仮称)検討委員会等開催状況
開催日 | 会議の種類及び内容等 |
---|---|
平成12年 9月22日 |
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10月2日 |
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10月10日 |
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10月16日 |
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10月20日 |
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10月30日 |
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11月3日 |
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11月5日 |
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11月28日 |
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平成13年 1月12日 |
|
「検討概要」に対する県民の意見の状況
会議名 | 日時 | 人数 | 件数 | 備考 |
---|---|---|---|---|
女性団体連絡協議会総会 | 10月12日 | 10 | 15 | |
サンフォルテ登録グループ・団体 エンパワーメント学習会 |
10月21日 | 4グループ、2人 | 37 | 約80名参加 グループ発表形式 |
市町村女性行政担当課長・推進員代表者会議 | 10月24日 | 5 | 6 | |
県民フォーラム(富山) | 11月3日 | 17 | 47 | 約100名参加 |
県民フォーラム(高岡) | 11月5日 | 22 | 33 | 約130名参加 |
計 | 4グループ、56人 | 138件 |
区分 | 集計日 | 個人・団体数 | 件数 | 備考 |
---|---|---|---|---|
個人 | 11月15日 | 72人 | 269件 | |
団体 | 11月15日 | 6団体 | 104件 | |
計 | 72人、6団体 | 373件 |
総計 128人(+6団体、4グループ) 511件
(参考:有識者会議における意見)
会議名 | 日時 | 人数 | 件数 | 備考 |
---|---|---|---|---|
男女共同参画懇話会 | 10月20日 | 14 | 37 | |
とやま男女共同参画 ネットワーク会議 |
10月30日 | 17 | 24 | |
計 | 31人 | 61件 |
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