安全・安心情報
更新日:2021年6月16日
ここから本文です。
富山県は、水田率が96.0%と全国一高く(*1)、稲作が盛んな県です。富山県でコメ作りが農業の中心となった背景として、河川が多く豊富な水と肥沃な扇状地に恵まれていること、全国屈指の水準(*2)でほ場整備が進められてきたこと、水害と闘い農業用水利施設の整備に積極的に取り組んできたことなどがあげられます。
このような富山の農業を支える農業用水は、富山平野を囲むように位置する立山連峰などを源とする、黒部川、神通川、庄川など大小様々な河川から、頭首工(堰)により取水されて、網の目のように張り巡らされた農業用水路を流れて田畑を潤します。
また、農業用水利施設は、水害の防止や地域の自然環境の維持などの多面的機能を有しており、私たちの安全で安心な日々の暮らしを支えています。
先人達が築いてきた富山県内の農業用水利施設を動画でご紹介させていただきますので、ごゆっくりとご覧ください。
1:「作物統計調査」(平成20年農林水産省)による。
*2:ほ場整備率82.1%、全国第3位(平成18年農林水産省調べ)
施設名 | 所在地 | 受益面積 | 事業名 地区名 |
造成年 | 管理者 | |||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
田 (ha) |
畑 (ha) |
計 (ha) |
||||||||
(1) |
小矢部川のダム |
刀利ダム |
南砺市 刀利 |
3346.3 | 434.0 | 3,780.3 |
農業水利 |
昭和 42年 |
富山県 | (外部サイトへリンク) |
臼中ダム |
南砺市 臼中 |
4,089.0 | 265.0 | 4,354.0 |
かんがい排水 |
平成 3年 |
富山県 | |||
【解説】 刀利ダムは、小矢部川上流の富山県南砺市刀利地内(旧福光町)にあります。農林省(現:農林水産省)が、当時の農業土木技術の粋を結集し、昭和42年に完成させた複合ダムです。刀利ダムを補完するために平成5年に建設された臼中ダムとともに、南砺市と小矢部市の農地約4,100haのかんがい用水の確保や発電、洪水調節など多くの役割を果たしています。 |
||||||||||
(2) | 五位ダム |
五位ダム |
高岡市 福岡町 五位 |
3,011.6 | 26.9 | 3,038.5 |
総合かんがい排水 |
平成 3年 |
富山県 | (外部サイトへリンク) |
【解説】 五位ダムは、小矢部川支流の子撫川の高岡市五位地内にあります。氷見市と高岡市の農業用水不足解消のため、農地約3,000haのかんがい用水源として建設されました。五位ダムの建設とともに、氷見市内では耕地周辺の用水施設が整備され、経営規模の拡大と農業生産性の向上、地域産業の発展に役立っています。 |
||||||||||
(3) | 横江頭首工 |
横江頭首工 |
立山町 横江 |
7,797.3 | 107.4 | 7,904.7 |
農業水利 |
昭和 28年 |
常願寺川沿岸用水 土地改良区連合 |
(外部サイトへリンク) |
【解説】 横江頭首工は、常願寺川中流の中新川郡立山町横江地内にあります。富山市、立山町及び舟橋村の水田及び畑約7,900haへ農業用水を供給する、地域の主要な水利施設です。老朽化が激しかったため、平成13年度より改修工事が行われ平成20年度に完成しました。新しい横江頭首工の完成によって、農作物、農地等の災害が未然に防止され、農業経営の安定による、より豊かな農業が営まれています。 |
||||||||||
(4) | 愛本堰堤 |
愛本堰堤 | 黒部市宇奈月町愛本 | 7,523.1 | 0.0 | 7,523.1 |
災害復旧 |
昭和 48年 |
北陸電力株式会社 | (外部サイトへリンク) |
【解説】 愛本堰堤は、黒部川中流部の黒部市宇奈月町愛本にあります。暴れ川として知られる黒部川により幾度となく被害を受けた旧堰堤(昭和7年築造)が、昭和44年にも甚大な被害を受けたため、昭和48年に130m上流の現在地に多大な労力と費用をかけて築造されました。愛本堰堤に達した黒部川の水は、黒東用水、黒西用水に取水され、黒部川扇状地のかんがい用水として、また、発電にも利用されています。 |
||||||||||
(5) |
庄川流域の利水施設 |
庄川合口ダム |
砺波市 庄川町 金谷 |
11,313.9 | 0.0 | 11,313.9 | かんがい排水 庄川 |
昭和 16年 |
関西電力株式会社 | (外部サイトへリンク) |
十一ヶ堰 |
射水市 大門町 布目沢 |
1,301.0 | 0.0 | 1,301.0 |
農業水利 |
昭和 51年 |
射水平野 土地改良区 |
|||
庄川流域では水利用の合理化等について、関係機関や地域住民が連携し、流域が一体となって取り組んでいます。
【庄川合口ダムの解説】 【十一ヶ堰の解説】 |
||||||||||
(6) |
小矢部川流域の利水施設 |
小矢部川第一頭首工 |
南砺市 嫁兼 |
1,276.2 | 226.7 | 1,502.9 |
農業水利 |
昭和 42年 |
小矢部川上流用水 土地改良区 |
(外部サイトへリンク) |
小矢部川第二頭首工 |
南砺市 殿 |
602.5 | 106.3 | 708.8 |
農業水利 |
昭和 42年 |
小矢部川上流用水 土地改良区 |
|||
小矢部川第三頭首工 |
南砺市 岩木 |
565.7 | 100.1 | 665.8 |
かんがい排水 上流 |
昭和 41年 |
小矢部川上流用水 土地改良区 |
|||
五位庄頭首工 | 小矢部市田川 | 625.6 | 0.0 | 625.6 |
かんがい排水 |
昭和 34年 |
福岡町 土地改良区 |
|||
小矢部川は、富山県を流れ、富山湾に注ぐ一級河川の中で最も西側を流れており、その水資源は農業用水、発電用水、上下水道及び工業用水に利用されています。 小矢部川には、かつては多くの農業用取水口が点在していました。現在では、農業用水の整備が図られ、上流では小矢部川第一~第三頭首工、下流では五位庄頭首工などで取水され、富山県西部の穀倉地帯をかんがいしています。 【五位庄頭首工の解説】 |
||||||||||
(7) |
氷見の利水・治水施設 |
十二町潟排水機場 | 氷見市窪 | 770.0 | 0.0 | 770.0 | 総合かんがい排水 氷見 |
昭和 58年 |
氷見市 土地改良区 |
(外部サイトへリンク) |
寺尾ダム | 氷見市寺尾 | 270.0 | 0.0 | 270.0 | 防災ダム 余川川 |
昭和 51年 |
氷見市 | |||
高戸ダム | 氷見市高戸 | 270.0 | 0.0 | 270.0 | 防災ダム 余川川 |
昭和 48年 |
氷見市 | |||
余川川頭首工 | 氷見市間島 | 320.0 | 20.0 | 340.0 | 総合かんがい排水 氷見 |
昭和 55年 |
氷見市 土地改良区 |
|||
【解説】 氷見市には、十二町潟排水機場、寺尾ダム、高戸ダム、余川川頭首工などの利水・治水施設があります。これらの施設は、用水不足の解消と排水改良、農地の防災等を図る目的でつくられました。施設の整備により、高能率、高生産農業が可能となり、生活環境の整備にも大いに役立っています。 |
||||||||||
(8) |
射水平野の排水施設 |
射水東部排水機場 | 射水市新堀 | 1,802.0 | 28.0 | 1,830.0 | 農業水利 射水平野 |
昭和 42年 |
~H7射水平野土改区 | (外部サイトへリンク) |
H8~ 富山県 |
||||||||||
1,540.0 | 0.0 | 1,540.0 | 総合農地防災 射水郷 |
平成 8年 |
射水平野土地改良区 | |||||
H13~富山県 | ||||||||||
射水西部排水機場 | 高岡市金屋 | 1,468.0 | 22.0 | 1,490.0 | 農業水利 射水平野 |
昭和 43年 |
~H7 射水平野土地改良区 |
|||
H8~ 富山県 |
||||||||||
1,040.0 | 0.0 | 1,040.0 | 総合農地防災 射水郷 |
平成9年 (増設) |
射水平野土地改良区 | |||||
H13~ 富山県 |
||||||||||
射水中央排水機場 | 射水市片口 | 740.0 | 0.0 | 740.0 | 総合農地防災 射水郷 |
平成 10年 |
射水平野土地改良区 | |||
H13~ 富山県 |
||||||||||
【解説】 富山湾の海面との高低差が無い射水平野では、農家は泥沼のような湿田と洪水・湛水のため営農に苦労していました。東部・西部2カ所の排水機場で、農業排水や宅地からの排水を富山新港に排出することで乾田化に成功し、県内有数の穀倉地帯になりました。さらに、中央排水機場の増設によって排水能力の強化を図り、豪雨時でも安心して暮らすことのできる地域を実現し、工業地帯、住宅地としても発展しました。 |
||||||||||
(9) | 湯谷川ダム |
湯谷川ダム |
富山市 山田中村 |
175.5 | 48.9 | 224.4 | かんがい排水 湯谷川 |
平成 12年 |
富山県 | (外部サイトへリンク) |
【解説】 湯谷川ダムは、山田川支流湯谷川の富山市山田村中村地内(旧山田村)にあります。ほ場整備の進展等により昭和40年代後半頃から不足するようになったかんがい用水を確保するため、地元の要望により建設された農業用ダムです。平成2年にダム本体の建設に着工し、平成12年に完成しました。有効貯水量140万立方メートルの湯谷川ダムによって、新規農業用水が確保され、受益地一帯の水不足は解消し、農業経営は安定してきました。 |
||||||||||
(10) | 古洞ダム |
古洞ダム |
富山市 三熊 |
282.3 | 468.9 | 751.2 | かんがい排水 射水山麓 |
昭和 57年 |
呉羽射水山ろく用水 |
(外部サイトへリンク) |
【解説】 古洞ダムは、昭和57年に完成した農業用ダムです。富山市と射水市に連なる呉羽・射水丘陵地帯の田畑の補給用水源で、集水区域が小さく用水源の少ないこの地域の農業にとって、欠くことのできない施設です。呉羽梨の栽培などの高収益農業にも貢献しています。 |
||||||||||
(11) |
神通川流域の利水施設 |
高熊頭首工 | 富山市八尾町高熊 | 492.0 | 0.0 | 492.0 | かんがい排水 新田用水 |
昭和 48年 |
保内 土地改良区 |
(外部サイトへリンク) |
杉原頭首工 | 富山市八尾町小長谷 | 293.0 | 0.0 | 293.0 | かんがい排水 久婦須川 |
昭和 55年 |
杉原土地改良区 | |||
井田川合口頭首工 | 富山市八尾町井田新 | 473.7 | 0.0 | 473.7 | かんがい排水 井田川合口 |
平成 3年 |
井田川沿岸土地改良区 | |||
【解説】 神通川は、岐阜県に源を持ち、富山県中央部を流れる一級河川で、その水資源は農業用水、発電用水などに利用されています。かつて神通川左岸地域には主たる水源が無く、たびたび水不足が発生していました。支流の井田川水系の利水施設が整備されたことで、安定した取水ができるようになり、現在では、富山市から射水市にかけての広い地域に水を供給しています。 |
||||||||||
(12) |
県東部地区二級河川水系の利水施設(1) |
蓑輪頭首工 | 滑川市蓑輪 | 2,802.6 | 0.0 | 2,802.6 | 農業水利 早月川 |
昭和 37年 |
早月川沿岸 |
(外部サイトへリンク) |
笠破頭首工 | 黒部市笠破 | 327.9 | 0.0 | 327.9 | かんがい排水 布施川 |
平成 3年 |
布施川沿岸 |
|||
黒谷頭首工 | 魚津市黒谷 | 1,555.0 | 0.0 | 1,555.0 | 用水障害対策 片貝川沿岸 |
昭和 51年 |
北陸電力株式会社 | |||
小川頭首工 | 朝日町山崎 | 737.7 | 0.0 | 737.7 | かんがい排水 小川沿岸 |
昭和 43年 |
朝日町土地改良区 | |||
県東部地区では農業用水の確保、浸水・渇水被害の防止のために、早月川、布施川、片貝川及び小川に農業用水の取水施設が建設されました。安定した取水によって各河川流域では、土地生産性の向上と農業経営の合理化が図られています。
【蓑輪頭首工の解説】 【笠破頭首工の解説】 【黒谷頭首工の解説】 【小川頭首工の解説】 |
||||||||||
(13) |
県東部地区二級河川水系の利水施設(2) |
上市川合口頭首工 | 上市町釈泉寺 | 1,172.0 | 0.0 | 1,172.0 | かんがい排水 上市川沿岸 |
昭和 30年 |
上市川沿岸 |
(外部サイトへリンク) |
上条頭首工 | 上市町神田 | 347.6 | 0.0 | 347.6 | かんがい排水 上条郷 |
昭和 45年 |
上条用水土地改良区 |
|||
上市川、白岩川流域では水不足による争いや水害が絶えませんでした。利水施設が整備されたことで、取水は安定し、受益地に公平に水が配分されるようになりました。
【上市川合口頭首工の解説】 【上条頭首工の解説】 |
発電・利水・治水・砂防などの目的で、河川をせき止め、上流部に水を蓄える構造物。構造により、アーチダム、重力ダム、ロックフィルダム、アースダムなどがあります。
水をせき止めるために河川や湖沼に設ける構造物を堰(せき)や堰堤(えんてい)といい、堰もダムの一種です。
河川や湖沼から農業用水を用水路へ引き入れるための施設の総称。単に堰(せき)ともいいます。
流れをせき止めて水位を高め、水を引き入れる施設です。取水条件が良好な場合には、取水堰を設けない場合もあります。
通常、取り入れ口、取水堰(ぜき)、付帯施設および管理施設より構成されます。取水堰の形式は、ゲートの有無により、固定堰と可動堰(土砂吐、洪水吐)に分けられ、付帯施設には、沈砂池、魚道、舟通し、放水路などが、また、管理施設には操作室や管理橋などがあります。
農業用水や雨水などの排水は、排水路などから河川等に排水されます。しかし、標高が低く、河川の水面や、海面の高さとあまり差がない地域では、自然の流れだけでは排水しきれず、田や畑が水に浸かってしまうことがあります。農地や農業用施設などへの水害を未然に防止するために農業用排水機場でポンプを運転して雨水を川や海に排水しています。
また、排水機場は、住宅地など地域全体の水害防止にも寄与しています。
お問い合わせ
関連情報
目的別情報
より良いウェブサイトにするためにみなさまのご意見をお聞かせください