安全・安心情報
更新日:2023年4月21日
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国の特別天然記念物であり、県鳥であるライチョウの保護対策の基礎資料とするため、県では生息・生態調査を実施しています。特に生息数の多い立山地域については、原則、5年毎に生息数調査を実施しており、令和3年度に調査を実施しましたので、その結果をお知らせします。
室堂平を中心に雄山、別山、浄土山など1070ha
調査員が踏査(急斜面では望遠鏡等による確認)により個体及び生息痕跡の確認を行い、ナワバリの数及び位置を確認します。ライチョウのつがいは基本的に一夫一妻であり(本年度調査では2つのナワバリで一夫二妻が見られた。)、ナワバリを形成したつがいとアブレオスの合計値を生息数とします。
現地調査で視認されたライチョウの成鳥の生息数は205羽(オス163羽、メス42羽)でした。視認されたライチョウ及び繁殖期特有の生活痕跡(ナワバリ)の観察結果から、141のナワバリの存在が推定され、この結果、141のナワバリにはオス141羽とメス143羽が生息すると考えられます。これにナワバリを形成していないいわゆるアブレオス40羽を加え、調査地域内には少なくとも324羽の成鳥が生息していると推定されました。
これは、前回調査(平成28年度)の295羽に比べ10%増となっています。ナワバリ数は調査開始以来最も多い記録となりました。
調査年度 |
推定生息数(羽) |
ナワバリ数 |
性比 |
|||
---|---|---|---|---|---|---|
合計 |
オス |
メス |
不明 |
|||
S47(1972) |
267 |
163 |
104 |
|
104 |
1.56 |
S56(1981) |
244 |
150 |
94 |
|
94 |
1.60 |
S61(1986) |
213 |
118 |
95 |
|
95 |
1.24 |
H3(1991) |
333 |
200 |
132 |
1 |
132 |
1.52 |
H8(1996) |
334 |
210 |
124 |
|
124 |
1.69 |
H13(2001) |
167 |
94 |
73 |
|
73 |
1.29 |
H15(2003) |
225 |
124 |
100 |
1 |
100 |
1.24 |
H18(2006) |
245 |
141 |
104 |
|
104 |
1.36 |
H23(2011) |
284 |
164 |
120 |
|
120 |
1.37 |
H28(2016) |
295 |
169 |
126 |
|
125 |
1.34 |
R3(2021) | 324 | 181 | 143 | 141 | 1.27 | |
平均 |
266 |
156 |
110 |
|
110 |
1.41 |
(注)平成13年度の調査結果において生息数が激減したため、平成15年度に中間調査を実施
個体数、ナワバリ数ともに前回調査に比べて増加しており、特にナワバリ数は過去最高の数となりました。前年の繁殖成績(巣立ち成功率・ヒナ期から若鳥期の生存率)が例年に比べて良好であったことが、この大きな要因と考えられました。なお、野生動物は一般に個体数の増減を繰り返しており、今回の結果もライチョウという種本来の持っている増減の範囲内であると考えられます。近年調査では、個体数とナワバリ数がいずれも増加しており、平成13、15年度の減少期を脱して増加傾向にあると考えられますが、立山地域の環境容量から考えるとピーク時に入りつつあると思われます。また、温暖化による低標高地のナワバリ消失が懸念されていますが、今回調査でも低標高地のナワバリ消失は見受けられませんでした。
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