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更新日:2024年4月1日
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前回は省エネ住宅にするにはどうすればいいのかについてご説明しましたが、今回は省エネ住宅のレベルについて見ていきます。最近よく聞く「ZEH」についてもご説明します。
ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)とは、外皮の高断熱化および高効率設備の導入によって省エネルギーを実現したうえで、太陽光発電などの再生可能エネルギー等により年間のエネルギー消費量の収支が正味ゼロ以下の住宅のことをいいます。
ZEHの要件を完全に満たしていないものの、ZEHに近いものとしてNearly ZEHやZEH Orientedというものもあります。
Nearly ZEHとは、外皮の高断熱化、高効率設備、再生可能エネルギー等により、年間のエネルギー消費量の収支をゼロに近づけた住宅のことをいいます。
ZEH Orientedとは、外皮の高断熱化及び高効率設備の導入によってZEH相当の省エネルギーを実現した住宅のことをいいます。
広義にはNearly ZEHやZEH Orientedを含めてZEHと呼ぶこともあります。
国は、さまざまな補助制度を設けるなどしてZEHの普及に取り組んでいます。富山県内でも近年急速にZEHレベルの住宅が普及してきました。
(参考:ZEHの定義は、2015年12月にZEHロードマップ検討委員会で示され、2019年2月にZEHロードマップフォローアップ委員会で改定されました)
住宅の断熱性能を示す指標として「外皮平均熱貫流率(UA)」があります。外皮平均熱貫流率とは、外皮(熱的な境界となる壁、窓、床、屋根や天井など)の平均的な熱の通しやすさを表しており、この値が小さいほど断熱性能が高いことを示します。
住宅のエネルギー消費量の大小を判断する基準として「基準一次エネルギー消費量」があります。基準一次エネルギー消費量とは、標準的な仕様を採用した場合のエネルギー消費量を示しており、この基準と比較することでエネルギー消費量が大きいのか小さいのかを判断します。
ZEHの主な性能基準は次のようになっています。
断熱性能 | 創エネを含めないエネルギー消費量 | 創エネを含めたエネルギー消費量 |
UA≦0.60 | 基準一次エネルギーから△20%以上 | 基準一次エネルギーから△100%以上 |
※UAの基準は場所によって異なり、上の表は富山県の場合を示しています。
国はZEHの普及に力を入れていますが、ZEHの省エネ性能は十分なのでしょうか。
実はZEHよりもさらに省エネ性能が高い住宅が定義されており、ZEHで十分とはいえません。
第三者機関が住宅の性能を評価して表示する住宅性能表示制度には外皮の断熱性能を評価する断熱等性能等級がありますが、ZEHレベルである等級5よりも上位の等級6、等級7が用意されています。
また、一般社団法人20年先を見据えた日本の高断熱住宅研究会(HEAT20)では、住宅外皮水準G1、G2、G3を提案していますが、いずれもZEHレベルより高い性能となっています。
このように住宅の省エネ性能には、ZEHのほかさまざまなレベルが提案されています。より高い性能を有する住宅のほうが健康、快適性、光熱費削減などの恩恵を受けることができますが、その分コストもかかるので、予算と相談の上よく検討する必要があります。
※UAの基準は場所によって異なり、上の図は富山県の場合を示しています。
富山県では、ZEHレベルより高い省エネ性能を有する住宅を普及させるため、「富山型ウェルビーイング住宅(仮称)」を定めて普及拡大を図ることとしています。現在、検討委員会を設置してその性能水準や推進方策などについて検討していますので、今後の動きにご注目ください。
ZEHとそれを超える省エネ性能のレベルについて見てきました。ZEHは最高レベルの住宅というイメージをお持ちの方もいらっしゃったかもしれませんが、そのようなことはありません。数年後にはZEHは当たり前になっています。省エネ住宅をご検討の方は、ZEHに留まらず、それ以上のレベルについてもご検討いただければ幸いです。
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