更新日:2021年2月24日

ここから本文です。

絵画の見方

絵画とは、明治時代に生まれた用語で、明治15年(1882)に、官設展として「内国絵画共振会」が行われてから一般化しました。古くは、「~絵」「画図」「書画」などと呼ばれており、掛け軸の場合には「掛物」「軸物」「画幅」「画軸」と呼んだりもされています。

日本の絵画は、素材が弱いこと、気象条件の変化が激しいこと、時宜にあったものが好まれることもあって、普段は桐箱に入れ、蔵などにしまっておき、季節や行事の折々に出されて鑑賞されます。美術館や博物館のように空調設備の整ったところでも、常時出しっぱなしにはせず、適宜入れ替えます。従って、いつも同じ作品を見ることはできませんが、逆に、頻繁に足を運べば多くの作品を鑑賞できることにもなります。

日本の絵画を見る場合、絵の出来映えや主題の解釈などの通常の鑑賞のほか、(1)形式、(2)本紙の品質、(3)彩色、(4)加飾技法、(5)表具などにも注意を払う必要があります。

絵の形式

どのような場で、何の目的で使われたのかなどは、形式によってある程度わかります。形式の種類は以下の通りです。

  • 1:壁画
  • 2:壁貼付
  • 3:襖絵
  • 4:障子絵
  • 5:屏風
  • 6:衝立
  • 7:絵馬
  • 8:扁額
  • 9:額
  • 10:掛物(掛軸)
  • 11:巻物
  • 12:折本
  • 13:画帖
  • 14:冊子
  • 15:色紙
  • 16:めくり(未表装)
  • 17:版画
  • 18:その他

掛軸の用語

旧状と現状は違う場合があります。例えば、元は壁貼付のものが、屏風に改装されたり、巻物が断簡になって画帖に貼り込まれたり、屏風の一部が掛け軸に改装されたりする場合があります。

屏風の形式

本紙の品質(材質)の呼び方

本紙とは絵や書などが描かれている部分で、紙でなくとも本紙といいます。素材は、形式や主題などによって使い分けられますが、注文主の指定によることもあります。

  • 1:絹本(けんぽん)…絹地
  • 2:紙本(しほん)…紙
  • 3:絖本(こうほん)…生糸の繻子織
  • 4:麻
  • 5:板
  • 6:石、漆喰壁
  • 7:その他

彩色の呼び方

  • 1:著色(ちゃくしょく)…カラーであること、彩色に使われるのは顔料(鉱物や動植物からとれる染料などから成る)
  • 2:墨画(ぼくが)…墨の濃淡だけで描かれている
  • 3:墨画淡彩(ぼくがたんさい)…墨絵に淡く彩色したもの
  • 4:白描(はくびょう)…墨の輪郭だけで描いたもの
  • 5:油彩(ゆさい)…油絵具によって彩色されたもの
  • 6:その他

加飾技法の呼び方

  • 1:金地(きんじ)…金箔が全面に押されたもの。このほか銀地、紺地などもある
  • 2:砂子(すなこ)…細かく切った箔が散らされたもの
  • 3:泥引き…金粉を筆などで塗抹したもの金だけではなく、銀や錫、銅、雲母などの場合もある

そのほか、仏画に使われる特殊な技法として、裏箔(本紙の絹の裏に箔を貼って透かせる)と截金(細い線を泥で描かず箔を切ってあらわす)があります。

紙本金地著色洛中洛外図六曲屏風

表具

日本の絵画では、表具も鑑賞の対象となり、表具の取り合わせの善し悪しは大事な要素で、作品の格、主題や用途によって約束事がたくさんあります。

絵の主題

絵の分類には幾とおりかありますが、ここでは、おおまかには以下のように分けます。その他、文人画、浮世絵、南蛮絵画、洋風画などに分類される場合もあります。

  • 1:神仏(仏画、神道絵画、道釈人物等)
  • 2:肖像
  • 3:山水
  • 4:花鳥
  • 5:風俗
  • 6:物語

筆者

絵画の理解に、主題と制作者や流派に関する知識は欠かせません。その他、塗師や染師などの描いたもの、素人の余技にも優れた出来映えを示すものもあります。

  • 1:宮廷絵所絵師
  • 2:絵仏師(仏画の描き手)
  • 3:画僧(禅宗絵画の主要な担い手)
  • 4:狩野派(三百年続いた大画派)
  • 5:文人画家(池大雅、与謝蕪村など)
  • 6:円山四条派(円山応挙、呉春など)
  • 7:琳派(俵屋宗達、尾形光琳など)
  • 8:町絵師
  • 9:浮世絵師
  • 10:諸派(長谷川派や洋風画派など)

絹本著色両曼陀羅図

お問い合わせ

所属課室:教育委員会生涯学習・文化財室 

〒930-8501 富山市新総曲輪1-7  県庁南別館4階   

電話番号:076-444-3434

ファックス番号:076-444-4434

関連情報

 

このページに知りたい情報がない場合は

より良いウェブサイトにするためにみなさまのご意見をお聞かせください

このページの情報は役に立ちましたか?

このページの情報は見つけやすかったですか?