更新日:2021年2月24日

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書跡・典籍・古文書の見方

書跡

書跡とは、古筆、墨蹟などのことですが、実際には書跡として製作されたものは極めて少なく、「典籍」や「古文書」から一部分を切り取ったものが大部分です。
著名な書道家の古筆を集めて手鑑にしたり、掛軸や巻物に仕立てられて鑑賞に供したりします。特に茶道の歴史とは密接な関係にあり、茶室に掛け軸にした書跡を飾る事が流行となります。

もちろん書の達筆さも評価の対象ですが、手鑑や掛け軸に仕立て上げられた経緯や編者を知ることも興味深いことですし、掛け軸の表具や飾られる茶室との調和にも着目すると理解を深めることができます。

  • 「古筆(こひつ)」・・・平安時代から鎌倉時代にかけての仮名を中心とする和様書道の優品を言う。多くは「古筆切」と称される断片で、内容の多くは和歌となっている。
  • 「墨跡(ぼくせき)」・・・禅僧、特に臨済宗の高僧の書を指す。

典籍

写本や版本もふくめ、古い貴重な書物のことをいい、基本的には第三者に向けて製作された書物です。内容からは大きく以下の3つに分けられます。

  • 「漢籍(かんせき)」…中国で著述されたもの、およびそれをならって日本で著したもの
  • 「仏典(ぶってん)」…本来インドの言語で著述されていたものを中国で漢文に翻訳したもの、およびそれに倣って日本で著したもの
  • 「国書(こくしょ)」…日本での著述内容は、経典、史伝類から謡本、本草学書、医学書まで多岐にわたる

形状には大きく分けて以下の3つがあります。

  • 「巻子本(かんすぼん)」・・・端に芯を持って巻き付けて保管する、いわゆる巻物で、絵巻物に多く見られる
  • 「折本(おれぼん)」・・・お経のように蛇腹型に折りたたんだもの
  • 「冊子本(さっしぼん)」・・・現在の本のように料紙を束ねて片側で留めたもの。

古文書

広い意味では典籍や帳簿のような記録類も含みますが、厳密に言えば、差し出し人と受け取り手がいることが明らかで用件が記された古い書類のことをいいます。寄進状(神仏への発信と考える)や消息類(手紙)、所領知行関係の承認や確認、諸職の安堵や補任状、叙位の通達、土地や物の譲渡や売買の証文、訴状などをさします。紙に書かれたもののほか、制札や棟札などのように木に墨書されたものも含みます。これらを分類すると以下のようになります。

  • 「古文書」・・・公家・武家・寺院・村落文書などまとまった文書集、詔勅・令旨・女房奉書・注進状・勧進状・書状類などの個別文書、像内納入文書、古文書手鑑、外国文書に細分される。
  • 「古記録」・・・公家・武家などの日記類、寺社記録、巡察見聞録、合戦記録、諸芸記録、外交記録などに細分類される。
  • 「制札・棟札類」・・・御触書や注意書きなどの制札や建物建築の際に棟に上げられた棟札のこと
  • 「系図」・・・いわゆる家系図の類
  • 「絵図」・・・絵画的なものではなく、建物や彫刻などの設計図にあたるようなもの

また、古文書は「料紙」と呼ばれる現在のB4版ほどの和紙をベースにしています。この料紙を折ったり切ったりして様々な用途に用いています。

  • 「縦(竪)紙」・・・料紙を折らずにそのまま用いたもので、正式な文書にはこれが用いられる
  • 「折紙」・・・料紙を横に折ったものを横折紙、縦に折ったものを縦折紙という
  • 「切紙」・・・料紙を横に半裁したもので、略式の文書に用いられる

形状としては、一枚物の「一紙文書」のほかに典籍と同様に巻物、折本、冊子になるものがあります。巻物や折本は料紙を貼り合わせて継紙としてしていきます。冊子は折紙や切紙を用いて糸綴じして製本されます。

  • 「縦(竪)帳」・・・
  • 「横帳」・・・
  • 「縦(竪)半帳」・・・
  • 「横半帳」・・・

料紙各部の名称と古文書の形態 製本・表装

仏祖正伝菩薩戒教授文 越中立山芦峅寺古文書

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