人工の造形を主体とする名勝
- (1)公園、庭園…誰もが親しめることができる庭や、城館、寺社、豪農や豪商にある庭、発掘調査によってよみがえった古代の庭があります。全国で公園は4箇所、庭園は179箇所が国指定されています(平成16年段階)。
- (2)橋梁、築堤…全国では錦帯橋、猿橋の2橋があります。
日本の庭園
神社仏閣、公家や大名の屋敷、豪農や豪商の邸宅などにはりっぱな庭園が造られています。日本庭園の源流は、中国の神仙蓬莱庭園とされ、時代とともに日本の自然風景美を象徴的に取り入れて発展してきました。石、水、植栽や景物などで構成されているのが特長です。
- 【石組】
石を組合せ種々の風景や観念を表現する。中国の神仙思想に基づく不老不死の世界を表現する蓬莱石組・鶴亀石組、仏教思想に基づく須弥山石組・三尊石組、そのほか滝石組などがある。
- 【水】
池泉、滝、池泉に注ぎ込む水路である遣水(やりみず)がある。枯山水の庭でも水を用いずに水を表現している。
- 【植栽】
常緑の松・杉・楠が多く使われ、刈り込んで意図的な形をつくることもある。
- 【景物】
敷石・飛石、石燈籠、手水鉢・蹲踞(つくばい)、垣などがある。
庭園の形式
- 【池泉】
池や遣水で構成された庭で、奈良時代までには成立していた。江戸時代期には大池泉庭も登場した。
- 【寝殿造庭園】
寝殿造りの邸宅に、大きな池泉を中心に中島、橋、釣殿などを配したもので、書院が伴う。
- 【浄土型】
庭園は寝殿造庭園と類似するが、阿弥陀堂が伴う。法華寺の庭園は、日本最初の浄土式庭園である。
- 【禅宗型】
浄土庭園の名残りをとどめながら、池泉と石で構成された庭園、その後、枯山水へ移行する。
- 【枯山水】
水を全く用いずに渓谷や大洋を表した庭で、室町時代後期頃、禅の修行の場として誕生したもの。
- 【大名庭園】
近世大名が富と権勢の誇示や癒しのために造った庭園で、大規模で回遊式できるのが特徴である。
富山県内の例
光久寺の茶庭(県指定 氷見市)
茶庭は、回廊をはさんで座敷と書院の間150平方メートル中庭と、背後の広々とした丘陵を巧みに生かした660平方メートルの後庭からなる。後庭は西側の茶室から出て、ひとまわりできる「回遊式庭園」である。
北に山、南に池、滝口から流れる清流、その間に配された樹木や石組の妙など、庭全体が自然の風景の理想的な縮図となっている。江戸時代の代表的庭園である。