安全・安心情報
トップページ > 産業・しごと > 農林水産業 > 富山県農村環境創造基金ホームページ > ふるさとウォッチング > 小菅沼・ヤギの杜
更新日:2021年5月25日
ここから本文です。
魚津市街地と富山湾を見下ろす里山にある小菅沼集落。ここで営まれていた中山間地域の農村ならではの知恵や暮らしを伝承し、様々な活動を通じて発信しているのが「小菅沼ヤギの杜」です。イベントへの参加者は誰もがリピーターになってしまう、そんな人々を魅了してやまないヤギの杜の活動についてご紹介します。
小菅沼・ヤギの杜は、集落外の非農家を含めた12名の有志で平成20年に結成されました。当時、畦畔の除草作業や鳥獣被害に悩まされていた集落が、ヤギを除草など農作業のパートナーとして起用したことが名前の由来。また“杜”という字には、人々が長い年月をかけて一から作り上げてきた場所、という思いが込められています。
ヤギの杜がまず取り組んだのが耕作放棄地の解消です。再び命が吹き込まれた田んぼは、県内でも有名になった「稲作アート」や「コキアのほうき作り」などのユニークな活動の場となりました。今や季節に応じて開催されるイベントには県内外から50人程が参加し、いつも大盛況。代表の金森喜保さんは「休む暇がなく大変で手が回らんわ」と困ったような笑みを見せますが、その目は生き生きと嬉しそうです。
さて、初めは除草のパートナーに過ぎなかったヤギですが、今や小菅沼のアイドル。この地を訪れる子連れのファミリーや老人ホームの方々の心を和ませています。そんな多種多様なイベントと人懐っこいヤギたちの力で交流が生まれ、“農村の暮らしの発信拠点”として地域の活性化につながっています。
小菅沼に連なるたくさんの棚田を一層美しく彩るため、ヤギの杜が平成28年から取り組んでいるのが“コキアの灯りプロジェクト”です。秋になると、棚田の淵に沿うように均一に植えられたコキアが赤く染まり、それはまるでスポットライトで照らしたかのような美しさ。今では県を代表する棚田景観の一つです。
ヤギの杜では、その土地を生かした様々な商品が生み出されています。現在、力を入れているのが、レモングラスなどハーブ類を使って開発した「ハーブティー」。また、稲作アートのイベントを通じて収穫される「古代米」も、長年愛され続ける逸品です。
一方で、脈々と受け継がれているのが奈良漬けに代表される漬物。小菅沼ではもともと冬場の保存食として作られていましたが、その味は集落の人々からヤギの杜のスタッフへと受け継がれ、不動の人気を誇る商品となっています。
県内の農産物直売所でこれらの品々に出会い、味にほれ込んだお客さんからお取り寄せの電話が舞い込むこともあるそうです
。
平成25年には「いろんな人とコラボレーションしたい!」との思いから「コラボルーム」を新設。また令和2年には、これまでの活動が認められ、国の『第7回ディスカバー農山漁村の宝』に富山県から唯一選定されました。
結成時に抱いていた「高齢者とともに地域を元気に」との思いは、時代とともに「農村の暮らしの発信」へと変化。活動の幅はどんどん広がり、中山間地域の活性化に取り組む県内でも名の知れた集落へと成長しました。その活動は共感を呼び、今では移住の問い合わせもあるそうです。「いずれは宿泊施設も兼ねたシェアハウスも作りたいなぁ。まだまだ夢物語だけど」とほほ笑む金森さん。熱心な活動ぶり、そして思いを一つに支えあうスタッフの皆さんを見ると、夢が叶う日はそう遠くないかもしれません。
お問い合わせ
関連情報
目的別情報
より良いウェブサイトにするためにみなさまのご意見をお聞かせください