安全・安心情報
トップページ > 産業・しごと > 農林水産業 > 富山県農村環境創造基金ホームページ > ふるさとウォッチング > 五箇山なぎ畑塾
更新日:2021年5月25日
ここから本文です。
「とやま帰農塾」は、田舎暮らし体験を移住・定住の促進や関係人口の構築につなげようと、2005年から県内各地で開催されています。今年は新型コロナの影響で、いくつかの塾が中止となる中、『五箇山なぎ畑塾』は交流に前向きな塾長の熱意にも後押しされ、首都圏等から14名もの参加のもと、8月24日から26日にかけて開催。感染防止のための様々な制約の中で、参加者たちは五箇山にどんな“ご縁”を感じたのでしょうか。
初日は、世界遺産の菅沼集落散策からスタート。塾長の西敬一さんからは、なぜ合掌造り家屋が豪雪に耐えられるのか、なぜ江戸時代に養蚕や煙硝づくりなどが栄えたのか、屋根材の萱はどうやって確保されるのかなど様々な説明がありました。風雪に耐えてきた家屋を前にしての解説は臨場感抜群で、参加者たちは真剣に耳を傾けていました。
その夜は、五箇山民謡『こきりこ節』に用いる伝統楽器「ささら」づくりに挑戦です。楽器を作るという珍しい体験に心を躍らせつつ、煩悩と同数の108枚の板を編み込む作業に没頭。完成後はさっそく音を出し、出来ばえを確かめていました。
2日目は、この塾のメインである“なぎ畑体験”です。なぎ畑とは、土の表面の雑草などを焼き、灰で土壌を中和することで肥料や除草剤に頼らず作物を育てる伝統農法。積み上げた枝に火を付け、それらを長い鍬のような道具で転がしながら地面を焼いていきます。真夏の日差しに炎の熱さが加わり、皆さん汗だく。その後、土に灰を混ぜ込みながら耕し、五箇山の在来種「赤かぶ」の種をまきます。こうした固有種を絶やさずに伝えていくのもなぎ畑の大きな目的と語る西さん。参加者たちは、立派な赤かぶの収穫に思いを馳せながら種まきに励みました。
この日の夕食の「報恩講料理」は、浄土真宗の仏事の際に出される精進料理です。肉や魚は一切使われていませんが、朱色の器に盛られた五箇山豆腐や地物の野菜料理の素朴な味に一同ほっこり。夕食後は、日本最古の民謡とされる『こきりこ節』を見学。茅葺き家屋を背景に、伝統衣装を身にまとった踊り手が“ささら”を鳴らしながら踊る優雅な姿に、皆さん魅了された様子でした。
この夜の締めくくりは、五箇山に移住された坂口さんご夫妻との座談会です。将来田舎暮らしを考えている参加者もおられ、いろんな質問が飛び交いました。特に、「移住して心細くなかったか」との問いに、「野菜を譲ってくれたり、住民の皆さんにはよくしてもらい、安心感から都会に帰りたいと思わなかった」と答えておられたのが印象的でした。
最終日は、五箇山豆腐作りに挑戦です。この豆腐は縄で縛って持ち運べるほど固く、それを生み出すのは漬物石で押し込んで水分を抜く工程です。出来立ての豆腐は温かく、大豆の風味も市販のものとは比較になりません。打ちたての蕎麦も振る舞われ、皆さん「美味しい!」と満足げでした。
今回は、感染防止のため交流会を中止するなど様々な制約がありましたが、「お酒がない分真剣に話を聞くことができ、自然の静けさも体感できた」との声もあり、こんな時だからこそ気付けた五箇山の良さがありました。
閉講式で、参加者からはこの時期に受け入れてくれたことへの感謝の気持ちが、塾長からは交流の手を止めないという決意と、何度でも五箇山に来てほしいとの期待の気持ちが伝えられました。ここで結ばれた“ご縁”は、ずっと続くに違いありません。
お問い合わせ
関連情報
目的別情報
より良いウェブサイトにするためにみなさまのご意見をお聞かせください