ツキノワグマによる人身被害防止について
県では、県民の皆様がクマと遭遇し、被害にあわないためにも、各種対策の実施を市町村等を通じてお願いしてきたところです。
まずは、クマに出会ったときにどうすればよいかということは、その時の状況(地形、天候、時間、クマの生理や個体差など)により、それぞれ異なります。
すなわち、遭遇した場合にどう対処するかではなく、遭遇しないために何をすべきかが最も重要なことです。
このことから、クマによる人身被害を防止するために、下記について、県民の皆さんにご理解いただきたくお願いします。
1 クマを引き寄せていませんか
- (1)人家のまわりに生ゴミなどを無造作に捨てたり、置いたりしないでください。
- (2)キャンプや登山、渓流釣りなどで出たゴミは管理を徹底し、必ず持ち帰ってください。
- (3)山野にある墓地の供え物等は持ち帰るようにしてください。
2 クマと遭遇しないために
- (1)クマに自分の存在を知らせてください。クマは、嗅覚や聴覚が人間より優れ、人の接近をいち早く察知し、人を避けます。ラジオや鈴などで音を出して行動してください。風や雨、川の音などで人の気配を察知できないことがあるので、過信は禁物です。
- (2)クマのいるところで行動しないでください。クマは、明るい場所を避けます。見通しのよい明るい場所で行動してください。クマの糞や足跡などを見つけたら、注意して引き返してください。
- (3)早朝や夕方の外出は注意が必要です。クマは、朝方や夕方に活発に行動します。この時間帯に外出する場合には、単独での行動は避けてください。特に、クマによる農作物等の被害歴がある場所での行動は危険です。
3 それでも、クマに遭遇してしまったら
- (1)子グマに出会った時は、そっと立ち去ってください。見えなくても、親グマが近くにいますので大変危険です。
- (2)とにかく落ち着いてください。
- ア.クマまで距離があるようなら、そっと立ち去ってください。
- イ.急に大声を出さないでください。大声を出したり、ものを投げつけたりすると、クマは興奮します。クマに逃げる機会を与えるよう心がけてください。
- ウ.静かに退避してください。クマから目を離さないようにして、できるだけゆっくりと後退してください。持ち物(帽子や衣類など)を静かに地面に置いて、クマの注意をそらしてください。クマとの間に立木などの障害物をおける位置まで移動できれば、突進を防ぐこともできます。
- エ.人家周辺でも細心の注意を。人家周辺での出没もあり得ますので、他人事などと思わず、常に周囲に細心の注意を払うよう心がけてください。
- (3)走って逃げないでください。クマは、「逃げるものを追う」習性があるといわれています。背中を見せて逃げるなど、不要な刺激を与えることは危険です。
- (4)急所を守ってください。万が一、クマが襲ってきた場合には、反撃することも考えられますが、力(走ることや木に登ることにおいても)ではクマの方が勝っています。確実な防御方法はありませんが、ダメージを最小限にするために、最初の一撃を避けて、自分の急所(頭部や首)を両手でしっかり抱えて、くぼ地や岩陰にうずくまり、クマの攻撃をしのぐ方法が有効だといわれています。
4 情報を提供してください
- (1)クマを目撃した場合は、直ちに、市町村へ連絡してください。情報が多く集まれば、パトロールや集団登下校などの対策が迅速に実施できます。
- (2)提供していただきたい情報は、「場所」「時間」「大きさ」「何をしていたか」などです。
5 その他
- (1)富山県内の山間地は、自然環境が豊かで、ツキノワグマも平成30年度末で約1,460頭生息していると推定されています。クマは国内の数少ない森林性大型哺乳類であり、私たちの住む自然界を構成する大切な一員です。
- (2)ツキノワグマは「猛獣」ではありません。本来は、大変臆病で温厚な動物です。過度に恐れることは決してありませんが、とにかく、人とクマとの遭遇を少なくすることが、結果的には被害の防止になります。
関連ファイル