国の登録有形文化財(建造物)の登録について
このたび国の文化審議会において、次の2か所3件の建造物が、国の登録有形文化財(建造物)として登録をするよう答申されましたので、ご案内します。
なお、県内の国の登録有形文化財(建造物)の件数は今回で77か所160件となる予定です。(県内の主な国の登録有形文化財(建造物)…富山県庁舎本館、旧金岡家住宅)
登録の意義
- 所有者のみならず、県民が地域の身近な文化資産の価値や魅力を再発見するとともに、地域の宝として誇りを持って末永く保存・継承していくための契機となる。
- 地域固有の優れた歴史的・文化的な資源が保存されることで、地域づくりや観光などへのさらなる積極的な活用の推進につながることが期待される。
建造物の概要
旧坪岩崎鰤大敷網倉庫(きゅうつぼいわさきぶりおおしきあみそうこ)
名称(建築年代)
旧坪岩崎鰤大敷網倉庫(明治43年頃建築/平成8年改修)
所在地
氷見市中波字上野476-3
所有者
氷見市
構造等
土蔵造2階建、瓦葺、建築面積169平方メートル
特徴等
- 氷見灘浦海岸の女良(めら)漁港に南面して建つ、鰤の大敷網(現在の定置網のこと)を収納した二階建ての倉庫。網を保管する倉庫としては珍しい土蔵造りである。
- 屋根の棟に乗る鰤形を象る雪割瓦が特徴的で、大敷網で繁栄した氷見の鰤漁を象徴する建造物である。
- 女良漁港沖の坪岩崎漁場は、明治40年に設置された鰤大敷網で、倉庫を建設した地域の有力者をはじめとする網元が共同で経営し、大成功した。
- 令和4年(2022)に個人が氷見市に寄贈し、氷見市が今後活用していく予定としている。
写真
旧坪岩崎鰤大敷網倉庫
特徴的な雪割瓦
山崎家住宅
名称(建築年代)
- 山崎家住宅主屋(明治20年建築/昭和28年頃・同35年頃改修)
- 山崎家住宅土蔵(明治21年建築)
所在地
中新川郡上市町浅生字中坪18
所有者
個人
構造等
- 主屋:木造2階建、瓦葺、建築面積246平方メートル
- 土蔵:土蔵造2階建、瓦葺、建築面積34平方メートル
特徴等
- 浅生(あそ)地区は市街地南東の山間に位置し、立山修験の裏参道に通ずる場所として知られており、山崎家住宅は登山者の休憩所として親しまれてきた。
- 主屋は県東部に多い「マエナガレ」と呼ばれる切妻平入の大規模農家建築。もとは入母屋造の茅葺屋根だったが、昭和28年頃に瓦葺屋根に改修されている。
- 豪壮なつくりで、特に18畳にもなる広間は「ワクノウチ」造りが見事で、成の高い差鴨居(ヒラモン)を四周に廻し、上部に根曲材の梁(チョウナバリ)を井桁状に組んだ梁組が現れ、見どころとなる。
- 主屋の南に位置する土蔵は、置き屋根形式の瓦葺で、米蔵兼家財蔵として使われてきた。妻(側面)に家紋等を付した重厚な外観で、旧家の屋敷構を構成する。
- 細田守監督(上市町出身)の映画「おおかみこどもの雨と雪」の舞台モデルとして全国的に有名。現在はNPO法人「おおかみこどもの花の家」が管理・公開し、平成24年(2012)7月21日(映画公開日)から令和6年(2024)7月3日までに通算約12.9万人が来訪した(R5の来訪者数は約1.3万人)。
写真
山崎家住宅主屋(左)・土蔵(右)(NPO法人「おおかみこどもの花の家」提供)
山崎家住宅広間ワクノウチのチョウナバリ