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更新日:2021年2月24日
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文化財という言葉は、第2次世界大戦後に文化財保護法(昭和25年制定)ができる際に新しく生み出された言葉です。この意味は、私たち人類の長い歴史の中で生まれ、育まれ、今日の世代に守り伝えられてきた貴重な財産を指します。これは、私たちの歴史、伝統、文化等の理解に欠かせないものであると同時に、将来の文化の向上発展の基礎をなすものであり、その適切な保存・活用を図ることが極めて重要であるとされています。
国では文化財保護法により、「我が国にとって歴史上又は学術上(芸術上)価値が高いもの」を文化財とし、「国指定文化財」として保護しています。また、富山県では富山県文化財保護条例によって、「富山県にとって歴史上又は学術上(芸術上)価値が高いもの」を「県指定文化財」として保護しています。同様に県内の各市町村でも「各市町村にとって価値の高いもの」を「市町村指定文化財」として保護することとしています。私たちが日頃、文化財として目にするものはこうした「指定」された文化財がほとんどです。
では、指定されなければ文化財ではないのか、というと必ずしもそうではありません。定義のところで見てきたように、国、県、市町村指定のいずれも、「◯◯にとって」とあります。つまり、◯◯に相当するところの文字を替えてみれば、いくらでも文化財は出てきます。例えば、あなたのおじいさんが大事にしていたキセル。品物自体は高価なものではないけれど、キセルにはおじいさんの思い出がいっぱい詰まっていることでしょう。あなたが子孫におじいさんのことを話すとき、キセルはたくさんの思い出を伝えてくれることでしょう。このキセルはあなたの家族にとっては立派な文化財といえるのです。
わたしの家には、東京オリンピックの頃(昭和40年頃)買ったカラーテレビがあるのだ。わが町では初めて手に入れた珍しいものだが、さて、国や県指定文化財になるのだろうか。
いくら価値が高くても、ある程度古いものでなくては、文化財にはなりません。国では製作(発祥)されたのが、第二次世界大戦終結頃までを目安としています。(建造物では建設後50年以上経過していること)ですから、カラーテレビは50年は経っていないので今のところ、文化財にはなりません。
目に見えてはっきりと形のわかる文化財です。大きいものでは、住宅や寺社、橋、ダムなどの「建造物」、比較的小さいものでは絵画、彫刻、工芸品、書跡・典籍・古文書、考古資料、歴史資料の「美術工芸品」があります。国指定を受けたものは「重要文化財」とも呼びます。また、国では建造物に限り、「登録制度」を設け、多くの建造物を「登録」しています。
目に見えない文化財です。例えば、細かい金属の細工をする技術(わざ)など、古くから伝わる技術そのものが対象です。また、この技術を現在伝えている人も「保持者」として認定されます。国の無形文化財保持者に認定された人は「人間国宝」ともいわれます。
昔の人が着ていた衣服や使っていた道具など,当時の生活や生業の様子を伝えるものは「有形民俗文化財」に、昔から伝わっている唄や踊りなどは「無形民俗文化財」になります。有形と無形の考え方は上の二つと同じです。
昔の人が住んだり使ったりした跡が地面に残っているものは「史跡」、美しい庭園や山や海の景色は「名勝」、貴重な動物、植物や岩石などは「天然記念物」と呼びます。いずれも大地に関わるもの、もしくは自然に関するものです。
たくさんの古い家や蔵などの建造物が並んでいる場合には、まとめて「伝統的建造物群」と呼びます。
ちょっと変わったものですが、昔の人々の生活の跡が土の中に埋もれていることがあります。これを「埋蔵文化財」と呼び、土を掘って発掘調査をすることにより、大発見につながる場合もあります。大変貴重な場合は、土地が「史跡」に、発掘出土物が「考古資料」に指定されることもあります。
文化財防火デー
毎年、1月26日は文化財防火デーです。この日は昭和24年の1月26日に法隆寺金堂壁画が焼失したことにちなんで定められたものです。文化財のある場所では防災訓練や消防訓練が行われます。皆さんも火には気を付けましょう。
文化財は、長い歴史が刻まれたもので、現在残っているただ一つのものだったり、今の技術ではまねできないものばかりです。ですから、一度失われてしまうと、二度と私たちは見ることができなくなってしまうのです。
文化財は昔のものですから傷んで壊れてしまいがちです。でも、いきなり新しいものにせずに、できる限り、古い材料を活かして修理します。なぜなら、古いということに歴史の重みがあるからです。また、傷んだり、失われたりしないように専用の収蔵庫を作ったり、文化財のまわりの環境を整備したりして保存する方法もあります。
国、県、市町村指定された文化財には、保存のための修理の際に補助金が交付されます。また、専門家の指導・助言を受けることができます。そのかわり、文化財を勝手に改造したり、移動することに厳しい制限が設けられています。
指定された文化財は、手厚い保護と厳しい制限により昔の姿を残しています。しかし、価値はあるけれど厳しい制限は困るなどで指定されていない文化財は、まだまだたくさんあります。そこで、最近では、国が、建造物に限り「文化財登録制度」をつくり、所有者の協力を得て、文化財を「登録」することにしました。登録文化財は手厚い保護はあまり受けられませんが、文化財の保存に厳しい制限がないのが特徴です。これにより、多くの文化財を活用しながら守っていくことができるようになりました。
富山県には「国宝」がひとつあります。高岡市の瑞龍寺ですが、さて、国宝とは何のことでしょうか。
国宝とは、国指定重要文化財になっているもののうちから、さらに特別に重要とされたものを選び出したものです。全国でもちょっとしかない、ほんとうに大事なものなんですね。
文化財を守るために、してはいけないことがあります。特に、国・県・市町村の指定を受けている文化財は法律、条例などで行為が厳しく制限されている場合があるので注意が必要です。
皆さんでしっかり守っていきましょう。
山にキャンプに行ったら、カモシカの子供が迷子になってたんだ。かわいそうだから家に持って帰って飼っても良いの?
先生の仲間、カモシカはいつも親子で仲良しなんだ。人から見て迷子に見えてもお母さんがきっとすぐそばにいるから、驚かさないようにそっとその場を離れてね。絶対に連れてきてはいけません。法律でも、許可なく飼育することは禁止されています。
文化財を実際に見るときどんなところに注意したらいいのでしょうか。せっかく見に行ってもなんだか良くわからないのではもったいないですね。
注意:いろいろな種類があるので全ての項目をチェックできるわけではありません。
項目 |
解説 |
---|---|
いつ |
文化財といえば古いもの。いつ作られたものか。解説板やパンフレットで調べてみよう。今から何年前かも計算してみよう。 |
だれ |
どんな人が作ったのだろう。作った人はどんなところに苦労したのかを考えてみよう。 |
なぜ |
どんな理由で作られることになったのか。その時代のことを調べてみよう。 |
なに |
何に使っているのだろう。今の使い方と昔の使い方が変わっているかもしれないよ。 |
みる |
近く…近くに寄ってみよう。細かい金具や飾り、木の肌に面白い発見があるかもしれない。 |
遠く…遠く離れて見てみよう。近くでは見えなかったものが見えてくるかもしれない。 | |
上……空を見上げてみよう。空間のひろがりを感じてみよう。 | |
下……地面を見よう。小さな花や虫が見つかるかも。 | |
やる |
見るだけじゃなく、参加できるイベントがあるかもしれない。 |
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