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更新日:2024年12月20日
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こどもは、未来を切り拓く希望の光、大いなる可能性を秘めたかけがえのない存在であり、周りの人たちに愛され、信頼されることによって、自分に自信を持ち、夢や希望を持ちながら安心して健やかに育つことができます。
また、社会全体で、こどもが安心して暮らせること、思い描いた生活や夢を実現できること、さらに、郷土の先人から受け継いできた、家族や地域のつながりを大切にする県民性を有するふるさと富山を将来の世代に引き継いでいくことは県民すべての願いです。
一方で、核家族化の進行、共働き世帯の増加、地域の関わりの希薄化に加え、インターネット利用の低年齢化などの社会環境の変化がこどもに様々な影響を与え、いじめ、虐待、貧困、ヤングケアラー、インターネットを通じたトラブルの問題といったこどもを取り巻く状況は厳しさを増しており、こうした問題を相談できずに悩んでいるこどもの負担感や孤立感を社会全体で解消し、こどもの権利が守られる環境づくりが求められています。
我が国は、児童の権利に関する条約を結び、こどもが一切の差別的取扱いを受けることなく、こどもにとって最も良いことは何かを第一に考え、こどもにとって大切な権利を保障することを約束しています。
こどもの権利は、こどもが健やかに幸せな状態で成長していくために欠くことができない大切なものであり、こどもは大人と同様に権利の主体として尊重されなければなりません。
そのためには、こどもの視点を尊重し、こどもが安心して相談を行うことができる環境や意見を述べることができる場及び機会をつくり、その意見をこどもの支援のための施策に反映させることが重要です。
ここに私たちは、県はもとより、国、市町村、保護者、学校関係者等、こどもの支援を行う民間団体、事業者及び県民が相互に連携し、社会全体でこどもの成長を見守り、支え合う基盤を形成するとともに、こどもを含めた県民一人一人がこどもの権利を尊重し、こどもの視点に立ち、こどもにとって最も良いことは何かを第一に考え、こどもの意見を施策に反映することで、未来を担うすべてのこどもが権利を保障されながら、身体的、精神的、社会的に将来にわたって幸せな状態(ウェルビーイング)で生活を送り、健やかに成長することができる「こどもまんなか社会」の実現を目指すため、日本国憲法、児童の権利に関する条約及びこども基本法の精神にのっとり、この条例を制定します。
この条例は、こどもの健やかな成長を支援するための基本理念及びこどもにとって大切な権利を定め、県、保護者、学校関係者等、こどもの支援を行う民間団体、事業者及び県民の役割を明らかにするとともに、こどもの支援の基本となる事項を定めることにより、こどもの支援のための施策を総合的に推進し、もって社会全体でこどもの権利を尊重し、こどもの視点に立ち、こどもにとって最も良いことは何かを第一に考え、こどもの意見を施策に反映することで、未来を担うすべてのこどもが権利を保障されながら、身体的、精神的、社会的に将来にわたって幸せな状態で生活を送り、健やかに成長することができる社会(以下「こどもまんなか社会」といいます。)を実現することを目的とします。
(1)この条例において「こども」とは、心身の発達の過程にある者をいい、こどもの支援の対象となるこどもの範囲は、 支
援ごとに定めるものとします。
(2)この条例において「こどもの支援」とは、こどもの権利に関して行う次に掲げる支援をいいます。
➀こどもの健やかな成長に対する支援
➁こどもの健やかな成長を支える者(保護者、学校関係者等、こどもの支援を行う民間団体をいいます。以下同じです。)
への支援
(3)この条例において「保護者」とは、こどもを現に監護する者をいいます。
(4)この条例において「学校関係者等」とは、次に掲げる者をいいます。
➀学校(学校教育法(昭和22年法律第26号)第1条に規定する学校をいいます。以下同じです。)、児童福祉施設(児童福祉
法(昭和22年法律第 164号)第7条第1項に規定する児童福祉施設をいいます。以下同じです。)その他これらに類する施
設の関係者
➁➀に掲げるもののほか、こどもに対し、授業の終了後又は休日に遊び又は居場所を提供して、その健全な育成を図る事
業を行う者
こどもの支援は、次に掲げる事項を基本理念として行うものとします。
➀すべてのこどもについて、一人の人間として権利があり、個人として尊重され、その基本的人権が保障されるとともに、
差別的取扱いを受けることがないようにするなど、日本国憲法、児童の権利に関する条約及びこども基本法(令和4年法律
第77号)の精神にのっとり、こどもの有する権利が尊重され、擁護されること。
➁すべてのこどもについて、適切に養育されること、その生活を保障されること、愛され保護されること、その健やかな成
長及び発達並びにその自立が図られることその他の福祉に係る権利が等しく保障されるとともに、教育基本法(平成18年
法律第 120号)の精神にのっとり教育を受ける機会が等しく与えられること。
➂すべてのこどもについて、その年齢及び発達の程度に応じて、自己に直接関係するすべての事項に関して意見を表明する
機会及び多様な社会的活動に参画する機会が確保されること。
➃すべてのこどもについて、その年齢及び発達の程度に応じて、その意見が尊重され、その最善の利益が優先して考慮され
ること。
➄こどもが心身ともに健やかに成長することができるよう、国、県、市町村、こどもの健やかな成長を支える者、事業者及
び県民が相互に連携し、及び協力して、社会全体でこどもを支えるための取組を推進すること。
(1)すべての県民は、こどもが健やかに成長していくために特に必要なものとして、次に掲げるこどもの権利を大切にする
ものとします。
➀家庭の環境、経済的な状況、社会的身分、国籍、人種、性別、障害の有無その他こども又はその家庭を理由としたあら
ゆる差別的取扱いや不利益を受けることがないこと。
➁命が守られ、かけがえのない存在として、愛情と理解をもって大切に育てられること。
➂いじめ、虐待などあらゆる暴力を受けないこと。
➃気軽に相談し、適切な支援を受けることができること。
➄健康な生活ができ、医療、教育、生活への支援などを受けることができること。
➅自分の気持ちや考えを自由に表明することができ、尊重されること。
➆自分の成長に役立つ必要な情報提供を受けて、社会に参加することができること。
➇遊ぶこと、学ぶこと、食べること、 心や体を休めること、様々な人や自然とのふれあい、文化、芸術、スポーツ、社会
体験活動ができること。
➈安心して過ごすことができる居場所があること。
➉誰一人取り残されることなく安心して夢に向かって挑戦し、失敗しても再度挑戦することができるよう、社会全体で温
かく見守られ、支えられること。
(2)こどもは、自分の権利が他者から尊重されることと同じように、他者の権利を尊重しなければなりません。
(3)こどもの健やかな成長を支える者は、こどもの権利が侵害されていないか注意深く見守るよう努めなければなりませ
ん。
県は、4に定める基本理念(以下「基本理念」といいます。)にのっとり、こどもの健やかな成長を支える者による主体的かつ自主的なこどもの支援のための取組を尊重しつつ、こどもの支援のための施策を策定し、及び実施するものとします。
県は、こどもの支援のための施策の実施に当たっては、市町村と連携するとともに、市町村が行うこどもの支援のための施策に協力するものとします。
(1)保護者は、基本理念にのっとり、こどもの健やかな成長の第一義的責任を有することを認識し、こどもが生活のために
必要な習慣を身に付けられるようにするとともに、心身の健やかな成長を図るよう努めるものとします。
(2)県、学校関係者等及びこどもの支援を行う民間団体は、保護者とともに、こどもの成長を見守り、心身の健やかな成長
を図るよう努めることとします。
学校関係者等は、基本理念にのっとり、学校、児童福祉施設等におけるこどもの安全を確保するとともに、こどもが安心して学び、及び育つことができる環境づくりに努めるものとします。
こどもの支援を行う民間団体は、基本理念にのっとり、多様な学びや遊び、社会体験活動等の機会に接することができる居場所づくりなどを通じて、こどもの健やかな成長を支えるよう努めるものとします。
事業者は、基本理念にのっとり、その雇用する労働者が、そのこどもに接する時間を十分に確保し、職業生活及び家庭生活の充実が図られるよう、必要な雇用環境の整備に努めるものとします。
県民は、基本理念にのっとり、こどもの支援のための施策について関心を持ち、及び理解を深め、こどもが安全に安心して暮らしていくことができる地域社会を実現するための主体的かつ自主的な取組を行うよう努めるものとします。
(1)県は、この条例、児童の権利に関する条約及びこども基本法の趣旨及び内容について、広報活動を通じてこどもを含め
た県民に普及啓発を図り、その理解を得るよう努めるものとします。
(2)県及びこどもの健やかな成長を支える者は、社会全体でこどもを支える取組を後押しするための気運の醸成を図るよう
努めるものとします。
(1)県は、こどもの支援を実施するための計画又はこどもの支援のための施策を策定し、実施するに当たっては、こども等
の幅広い意見を反映させるため、こども等からの意見を聴取するものとします。
(2)(1)の意見の聴取に当たっては、社会的養護下にあるこどもをはじめとした、様々な困難な状況にあるこどもの意見を
聴取し、その聴取した意見に応答するために必要な措置を講ずるものとします。
(1)県は、こどもの支援を実施するための計画又はこどもの支援のための施策を策定し、実施するに当たっては、こども等
の幅広い意見を反映させるため、こども等からの意見を聴取するものとします。
(2)前項の意見の聴取に当たっては、社会的養護下にあるこどもをはじめとした、様々な困難な状況にあるこどもの意見を
聴取し、その聴取した意見に応答するために必要な措置を講ずるものとします。
県及びこどもの健やかな成長を支える者は、こどもの支援のための施策について、こどもが理解を深められるよう、こども
の視点に立った分かりやすい情報及び学ぶ機会の提供に努めるものとします。
県及びこどもの健やかな成長を支える者は、こども同士が自ら意見を表明する機会の提供その他のこどもの社会参加を促進するために必要な環境の整備を図るものとします。
県は、誰一人取り残さずすべてのこどもが安全で安心して過ごし、かつ、多様な学びや遊び、社会体験活動等の機会に接す
ることができる居場所づくりなどの促進を図るものとします。
(1)こどもの権利侵害(以下この章において「権利侵害」という。)に関する事項について調査審議するため、富山県こど
も支援委員会(以下この章において「委員会」という。)を設置します。
(2)委員会は、(1)の規定によりその権限に属させられた事項を処理するほか、知事の諮問に応じて権利侵害に関する事
項を調査審議するものとします。
(3)委員会は、委員5人以内で組織します。
(4)委員は、こどもの権利に関し優れた識見を有する者のうちから知事が任命します。
(5)委員の任期は、2年とします。ただし、補欠委員の任期は、前任者の残任期間とします。
(6)委員会に特別の事項を調査審議するために必要があるときは、特別委員を置くことができます。
(7)ここに定めがあるもののほか、委員会の組織及び運営に関し必要な事項は、規則で定めます。
(1)何人も権利侵害をしてはいけません。
(2)権利侵害を受けた、若しくは受けているこども又は当該こどもの保護者は、委員会に対し、その救済を申し出ることが
できます。
(3)委員会は、(2)の規定による申出を受けたときは、当該申出に係る事案に関し法令に基づく救済制度が存する場合そ
の他の規則で定める場合を除き、その事案について調査審議し、当該申出をした者に当該調査審議の結果及びその理由
を通知しなければなりません。
(4) (3)の場合を除くほか、委員会は、権利侵害があると認められるときは、その事案について調査審議することができ
ます。
(5)委員会は、(3)及び(4)の規定により権利侵害に関する事案について調査審議を行うに当たっては、当該事案に係
る学校関係者等その他の関係者に資料の提出及び説明を求めることができます。
(6)委員会は、(3)又は(4)の規定により権利侵害に関する事案について調査審議した結果必要があると認めるときは、
知事又は教育委員会に対し、次に掲げる事項について勧告することができます。
➀権利侵害が行われないようにするため必要な措置を講ずること。
➁県の機関以外の関係者に対し前号の措置を講ずるよう要望その他の行為を行うこと。
(7)知事又は教育委員会は、(6)の規定による勧告を受けたときは、これを尊重しなければなりません。
(8)知事又は教育委員会は、勧告に基づく措置を講じたときは、速やかに委員会に当該措置について報告するものとする。
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