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更新日:2025年2月19日
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世界遺産とは、顕著な普遍的価値(※)をもつ、人類共通のかけがえのない遺産のことです。1972年の第17回ユネスコ総会で“世界遺産条約”が採択されました。現在を生きる私たちは、人類共通の宝物として、未来に引き継いでいく必要があります。
世界遺産はその内容によって、文化遺産、自然遺産、複合遺産の3つに分類されます。
令和6年7月現在、文化遺産が952件、自然遺産が231件、複合遺産が40件、合計1,223件が登録されています。
文化遺産 | 顕著な普遍的価値を有する建築物、遺跡、文化的景観など |
自然遺産 | 顕著な普遍的価値を有する地形や地質、生態系、絶滅のおそれのある動植物の生息・生育地など |
複合遺産 | 文化遺産と自然遺産の両者の価値を兼ね備えているもの |
国家間の境界を超越し、人類全体にとって現代及び将来の世代に共通した重要性をもつような、傑出した文化的な意義及び/又は自然的な価値のことです。
世界遺産に登録されるためには、「顕著な普遍的価値」の証明のため、「世界遺産条約履行のための作業指針」で示されている以下の基準(ⅰ)~(ⅵ)の少なくとも1つを満たすことが必要です。
(文化遺産の場合)
(ⅰ) | 人間の創造的才能をあらわす傑作であること。 |
(ⅱ) | 建築、科学技術、記念碑、都市計画、景観設計の発展に重要な影響を与えた、ある期間にわたる価値観の交流又は文化圏内での価値観の交流を示すものであること。 |
(ⅲ) | 現存するか消滅しているかにかかわらず、ある文化的伝統又は文明の存在を伝承する物証として無二の存在(少なくとも希有な存在)であること。 |
(ⅳ) | 歴史上の重要な段階を物語る建築物、その集合体、科学技術の集合体、あるいは景観を代表する顕著な見本であること。 |
(ⅴ) | あるひとつの文化(または複数の文化)を特徴づけるような伝統的居住形態若しくは陸上・海上の土地利用形態を代表する顕著な見本であること。又は、人類の環境とのふれあいを代表する顕著な見本であること。(特に不可逆的な変化によりその存続が危ぶまれていること。) |
(ⅵ) | 顕著で普遍的価値を有する出来事(行事)、生きた伝統、思想、信仰、芸術的作品、あるいは文学的作品と直接または実質的関連があること。(この基準は他の基準とあわせて用いられることが望ましい)。 |
※評価基準vii~xは自然遺産の基準のため略
① |
「世界遺産暫定一覧表」記載への取り組み ・登録をめざす自治体が、その資産の価値に関する調査・研究を進める |
② |
「世界遺産暫定一覧表」に記載 ・国が、世界遺産への推薦候補を記載した「世界遺産暫定一覧表」を世界遺産委員会に提出する |
③ |
推薦書準備作業 ・「顕著な普遍的価値」を証明するため、「世界遺産条約履行のための作業指針」に示す評価基準への適合、真実性や完全性の条件を満たし、万全の保護措置がとられていることが必要 |
④ |
事前評価候補について審議(リクエストは文化遺産・自然遺産あわせて年1件まで) ・文化審議会世界文化遺産部会において、事前評価リクエストを提出する候補を決定 |
⑤ |
事前評価リクエストの提出(9月15日期限) ・専門家で構成された国際非政府機関(国際記念物遺跡会議:ICOMOS)による約1年間の書面審査 ※2027年推薦分より事前評価を受けていることが必須 |
⑥ |
イコモスから評価レポートの送付(翌年10月1日まで) ・事前評価は正式推薦書の提出1年前までに完了することが必要 ※評価レポートは5年間有効 |
⑦ |
推薦候補についての審議 ・文化審議会世界文化遺産部会が諮問を受けて、当該年度の推薦候補について答申 |
⑧ |
国から世界遺産委員会へ推薦書暫定版を提出(9月30日期限) ※提出は任意 |
⑨ |
推薦の決定(文化遺産・自然遺産あわせて年1件まで) ・文化審議会世界文化遺産部会、世界遺産条約関係省庁連絡会議(外務省)、閣議了解を経て、政府として推薦を決定する |
⑩ | 世界遺産委員会へ推薦書正式版を提出(2月1日期限) |
⑪ |
イコモスによる審査 ・イコモスが審査を行い、世界遺産委員会に評価結果を勧告する |
⑫ | イコモスによる評価結果の勧告(世界遺産委員会の6週間前まで) |
⑬ |
ユネスコ世界遺産委員会で登録の可否を決定(推薦翌年の6~7月頃) ・21か国から成る世界遺産委員会が、推薦資産に関する審議を行い、登録の可否を決定する |
世界遺産条約を締約した国は、将来世界遺産一覧表に記載する計画のある物件を「暫定一覧表」としてユネスコに提出します。世界遺産委員会へ推薦書を提出し審査をされるには、事前に暫定一覧表に記載されている必要があります。
ユネスコ世界遺産条約の締結国が、世界遺産登録にふさわしいと考える候補をユネスコに対して推薦する文書です。世界遺産としての価値とそれを保護・管理するための計画を詳しく説明するもので、推薦する候補はあらかじめ各国の「世界遺産暫定一覧表」に記載されている必要があります。
正式には「国際記念物遺跡会議」。本部はパリにある国際非政府機関(NGO)で、文化遺産保護の原理、方法論、科学技術の応用の研究を行っています。世界遺産委員会の諮問機関として、世界文化遺産登録の評価・勧告、モニタリング活動を行っています。
世界遺産条約を基盤として組織され、条約を結んでいる国の中から選ばれた21か国で構成されています。締結国から推薦された案件を審査し、登録や保存上の問題などを議論します。
自国の世界遺産暫定一覧表記載資産の世界遺産登録をめざす締結国が、推薦書の本提出前に、顕著な普遍的価値などについて諮問機関(イコモス)より技術的・専門的助言を受ける制度です。諮問機関との対話を通じて質の高い推薦を促すことを目的としています。
2021年の第44回世界遺産委員会拡大会合において導入が決定され、2023年より試験的に開始されました。2027年(令和9年)に推薦する資産から、予め事前評価を受けていることが義務化されます。ユネスコへの申請締め切りは毎年9月15日、翌年10月1日に事前評価の結果が出され、その後、その結果を反映させた推薦書素案を作成して、国内推薦を目指します。
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