遺跡について

遺跡とは、どのようなものを指すのでしょうか。
貝塚、古墳、都城跡、城跡、旧宅等過去の人間の行動を示す痕跡を留めている場所をいいます。また、遺跡の大半は地中に埋もれていることから、土地に埋蔵されている文化財「埋蔵文化財」ともいい、その場所を埋蔵文化財包蔵地と呼んでいます。

遺跡は、全国に約37万箇所、富山県には約3,700箇所があります。地中に埋もれているため、遺跡の詳細な内容が知られていないのが実態です。遺跡の時代、内容、性格等を明らかにするには、発掘調査が必要です。

※富山県の埋蔵文化財包蔵地については、「富山県埋蔵文化財包蔵地地図」にまとめられ、県または市町村教育委員会、図書館等に備えられています。また、インターネットからも遺跡を検索することができます。

遺跡の見つけ方

水田、畑等、下を見ながら注意深く歩いてみると、場所によっては土器・石器等の破片を見つけることができます。見つけた遺物の範囲・時代・内容・量・周辺の地形等を総合的に検討して、遺跡かどうかを判断します。このような調査を分布調査と呼んでいます。

遺跡の発掘調査

発掘調査には、試掘調査と本調査があります。

試掘調査は、遺跡の範囲、性格、内容等を確認する目的で行われる調査です。対象地となる土地に、等間隔に2m×2mの穴（つぼ掘り）や溝（トレンチ掘り）等を掘り、地層、遺構までの深さや遺物時代等を調査するものです。

本調査は、対象地の全面を調査するもので、よく見かける発掘調査はこれにあたります。
詳しくは発掘調査についてをどうぞ

遺構の見つけ方

地層順に土を掘り下げると、地層と異なる色で円形・方形・溝状等のシミのようなものを見つけることができます。これが遺構です。見つけた遺構内の土を丁寧に掘り下げていくと、遺構の性格や時代を明らかにできる遺物等が土と供に出土することがあります。

• 【遺構（いこう）】
  人間が生活するため人為的に大地に構築したもの（穴・溝・墳丘等）、自然地形を利用し生活の場とした所（川・道等）等で、すでにその機能を失っている跡で、不動産的なものをいいます。
• 【遺物（いぶつ）】
  人間の生活を支えるため、自らの考えにより考案したもの（土器・石器・木器・金属器等）、自然の状態から切り離されたもので使用されたもの（礎石、炉や竈の石・柱の木等）、食料や食べ殻（貝殻・種子等）等、動産的なものをいいます。

遺物の所有権

遺物は誰のものでしょう。法律上、遺物は落し物にあたります。したがって、その地域を管轄している警察署へ届けなければなりません。

警察は公告しますが、落し主が現れず、公告期間もすぎた場合は、自動的に都道府県に帰属となります。

年代の決め方

土器・石器・金属器等の出土品は、文献資料とは違い、年号や年代を示す文字等が記されていないものがほとんどです。そこで考古学の研究においては、型式（けいしき）学的方法と層位（そうい）学的方法の両者により、年代決定の手がかりとなる遺物の編年表（各時代の新旧順に遺物並べられている表、遺物の早見表のようなもの）が作成され、これをもとに、出土遺物の時代・時期を検討し、遺跡の年代を決定しています。

• 【型式学】
  遺物の形、材質、技法、文様の付け方等を観察し、変遷順序を考える方法で、土器や石器等で用いられています。
• 【層位学】
  自然堆積した地層では下層は上層より古いという理論に基づき、出土品の新旧を決める方法です。

最近では、年輪測定法、放射性炭素14年代測定法、フィッション・トラック法等の科学的な分析方法の成果をも参考に、年代の決定がなされつつあります。