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更新日:2021年2月24日
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妊娠とアルコールに関しては、いわゆる「胎児性アルコール症候群」といって、妊娠中のアルコール飲用に起因する (1)成長遅滞 (2)中枢神経障害(発達遅滞、筋緊張低下、精神遅滞) (3)特異顔貌(小頭症、短眼瞼裂、人中形成不全、薄い上口唇、上顎低形成)の3徴候が揃ったものをいい、揃わない場合は、「アルコール関連神経発達疾患」「アルコール関連先天奇形」と症状により呼ぶことが提唱されています。
したがって、妊娠中のアルコール飲用により、胎児に奇形と脳障害が起きる可能性があります。その頻度は、欧米では「胎児性アルコール症候群」は出生1000に対して1とされていますが、「アルコール関連神経発達疾患」「アルコール関連先天奇形」を加えるとその数倍(1000対5程度)となります。日本では、「胎児性アルコール症候群」、「アルコール関連神経発達疾患」「アルコール関連先天奇形」を合わせても、1000対0.1と報告されています。
したがって、日本においては現時点では大きな社会問題にはなっていませんが、最近の若い女性の飲酒機会が増えていることは気になる所です。
アルコールの胎児への影響はエタノールやその代謝産物であるアルデヒドが、経胎盤的に胎児に移行することが原因と考えられています。
飲酒時期と発症に関しては、妊娠全期間と考えた方がよいでしょう。時々ビール5〜6本、ワイングラス5〜6杯を飲用するような場合は胎児性アルコール症候群のリスクは高まります。
したがって、妊娠初期に1日平均飲酒量がビールやワイン1杯程度で、5杯を越える飲酒機会がなければ、胎児への影響は少ないとお話ししますが、アルコールの安全性は確認できていないことから、以後の飲酒は慎みましょうとお話しするのが良いのではないかと思います。
妊娠4週から8週ごろまでは、胎児の重要な器官が形成される器官形成期なので、特に薬の使用には慎重でなければなりません。薬によっては妊娠中のどの時期であっても、胎児への毒性を考えて使用を避けるべきものもあります。例えば抗がん剤や免疫抑制剤。妊娠中期以降に限れば、非ステロイド系消炎鎮痛薬にも注意が必要です。しかし使用できる薬が全くないわけではありません。アセトアミノフェンという鎮痛薬はホルモンの生成に影響しないので使用できます。妊娠中の薬の使用には注意が必要ですが、過度に怖がることはありません。せきが3日以上続いたり、のどの痛みや38度以上の高熱が出たりするときは胎児に影響をおよぼすことがありますし、治療の時期を遅らせると母体が重症化することもあります。また妊婦に既往症がある場合は、投薬を含めた適切な治療をなるべく早く受けるべきです。かかりつけ医によく相談し、説明に納得した上で投薬を受けてください。
出産だけでなく、その先の育児も体力勝負といった面がありますから、体力づくりという側面から適度な運動がおすすめです。妊娠中期の安定期に入る頃にはつわりも治まり、食欲も出てきますので、あっという間に体重が増えてしまいます。痩せすぎはもちろんいけませんが、太り過ぎると妊娠高血圧症候群の原因にもなりますので、気分転換のためにもお散歩程度の運動が良いでしょう。ジョギングやジャンプを伴う動作、激しい運動はいけません。妊娠中のセックスも基本的には大丈夫です。ただし、精液中には子宮を収縮させるプロスタグランジンという物質が含まれているので、妊娠中であってもセックスするときはコンドームを使用した方が良いです。また、セックスは子宮の収縮を伴うので、切迫流産や早産の危険がある場合は控えましょう。運動も同様です。また妊娠中の喫煙は末梢血管の血流を阻害し、胎盤の血行を悪くするので禁止!飲酒についても、胎児の発育(特に脳)に悪影響を与えるので控えましょう。
※非ステロイド系の鎮痛剤は妊娠後期に胎児に影響があります。インドメタシン系の薬
アセトアミノフェン系の薬は大丈夫です(カロナールなど)
※妊娠中の薬の使用について
FDA(アメリカ)やADEC(オーストラリア)の調査結果があります。
お話をきいた人 / 元富山県立中央病院 中野隆医師
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