第23回富山県食育推進会議(令和6年12月16日開催)
会議概要
日時
令和6年12月16日(月曜日)14時00分~15時30分
場所
富山県民会館8階バンケットホール
出席者
委員16名、代理出席4名(委員数25名)
次第
1.開会
2.あいさつ
3.議事
「第4期富山県食育推進計画」の進捗状況について
4.閉会
主な意見
食育推進運動の展開と推進体制の充実
- 自分が食育に関わりだした約20年前から比べるとかなり食育推進は進んでいて、一定の成果は出ているのではないかと思う。食育推進計画の数値目標もこれ以上は突き詰めなくてよいのではないか。
- 食べることは、現在と将来の心と体の健康に直結していて、さらにその延長線上にはウェルビーイングにもつながっている。食育の重要さを改めて感じた。
- 高齢化が進んでおり、夫婦であっても片方が先に亡くなられたり病気になられたりで一人になる方がこれから増えてくるので、若者や子供の区分で食育推進をしているけれど、一人でもバラエティーに富んだ食事ができるメニュー考案など「おひとりさま」という区分でも取り組めばどうか。
- 県でイベントをやっていても、知らない人もまだまだたくさんいるので周知を頑張ってほしい。
家庭における食育の推進
- 情報が氾濫しており、糖質制限による極端なダイエットなど間違った情報も若い世代に広まっている。子どものころからの食育がより一層重要。また実際に食事を準備する親・家庭、取り巻く社会への食育の発信をやっていかないといけない。
- 野菜摂取量350g目標と言っているが、現状からみて目標が高すぎるのではないか。目指しやすい目標を立てるべきでないか。→(事務局)昨年富山県健康増進計画(第3次)を策定し、野菜の摂取目標は350gとした。その時も委員から現状と乖離が大きいという指摘はあったが、一方で全国的に健康日本21で1日350gということが定められていて世の中に定着している、という意見もあり、富山県の数値目標も350gとした。ただ、現状目標に足りていないため、推進運動にしっかり取り組んでいきたい。
- 野菜を350g食べることや減塩をイベントを行う度に呼びかけているがなかなか難しい。機会があるごとに地道に発信していくしかない。
- 中学生に味噌の濃さを変えた具無しみそ汁の飲み比べを実施したが「おばあちゃんの味だ」という感想があり、そもそもみそ汁を普段飲んでいない子どもが多いことがわかった。
- 県で作成するレシピはこれを食べれば野菜が○g摂れるということが一目でわかるといい。
- 一主婦としては、朝ごはんで野菜を必ず食べるようにしている。朝は時間がないので、夜ご飯を作るついでに朝食べる分も作っておく。
- 上の世代の男性はまだ料理をする人が少ない。舌が肥えている人が料理を作ればおいしいものができる。男性は舌が肥えている人が多いから、おいしいものが作れると思うので積極的に料理をしてみてほしい。そして調理の楽しさを知ってもらえれば、それがまた食育に結び付く。
- 食品トレーの購入量を調査し、種類ごとに集計したところ、総菜用のトレーが多かった。高齢者の総菜購入が多い。一人暮らしで、一人前のみを作るとなると、食材を使いきれなかったり、同じメニューを何日も連続で食べたりしないといけなくなるため、総菜を買った方がいいとなる。
- 食育は各家庭の責任が大きいと感じている。家庭によって、おなかが膨れればいいというレベルの食事からオーガニックを意識した食事など考え方や経済状況によって家庭ごとに多種多様な食事となっている。
- 保護者が共働きで忙しいだけでなく、子ども自身も塾や習い事で忙しい。またインターネット環境が整ってきたことにより興味関心がネット情報に向いていて、食事を摂ることへの関心が薄くなっている子どももいるように感じる。
- 各家庭で保護者ができることは、学校給食を家で話題にしてみることからだと思う。
- 食育推進全国大会でのブースで取ったアンケート結果から、食に関心がある人は定期的な歯科受診率が高いなど食だけでなく日常生活にも関心が高いと感じた。
- 口の発達は何を食べさせるかが重要。成長とともに自然と噛む力が強くなるわけでなく、しっかり噛むものを食べさせないと噛む力が養われない。最近の子どもたちは噛む力が弱い子が増えている。
- 妊婦歯科検診は任意であり、1歳半の検診の時は離乳食が終わっているため、歯科医が食べる力のつけ方を指導できる機会がない。
学校・保育所等における食育の推進
- 幼稚園では、食育を通して「食への感謝の心」「好き嫌いなくバランスよく食べること」「地域の特産物・食文化」などを主に子ども達に伝えている。家族のみんな、園のみんなで食べる楽しい給食は心の栄養ともなる。みんなで食べる中でマナーも身に着けられる。
- 子どもたちが小学生、中学生、そして大人になっていく中で、園で体験したこと・学んだことがいつか活きるように、ということを意識して日々取り組んでいる。
- 家庭とのつながりという意味では、これまでは家からお弁当を持ってきてもらう日を週1回設定していたが、忙しい保護者への配慮から、遠足などのイベントの日のみにするなど数を減らして行っている。
- 最近の物価高騰により園での給食の継続が大変になっているので支援いただけるとありがたい。
- 小学5年生の社会科で自給率の授業として、その日の給食を国産のものだけでつくるとどうなるかいうのをやってみた。パン食の日に実施したので、牛乳と野菜ちょっとしか残らなかった。それを見て子ども達は、生産者・調理する人・運搬する人、さらに価格の設定・貿易・紛争・国際協力とは何か、というところまで、様々な分野に課題をもって学んでいった。食育は非常に奥深く、いろんな視点が複雑に絡み合う大変興味深い教材であると感じた。
- 中学生は給食を楽しみにしている子が多いように感じる。
- 1人1台タブレット端末を持っているので、家庭科の授業では自分の食べている朝食の栄養のレーダーチャートを見るなどデジタルも使った学びをしている。英語の授業で和食をテーマにしたり、総合の授業でそば作りを体験したりと家庭科以外の科目でも食育を学んでいる。
- 給食の昼の放送で、今日の献立の県産食材は何個か、野菜は何種類かなどのクイズが出されている。
地域・職場における食育の推進
- これまで子ども食堂を197回実施し、延べ35,000人に食事を提供してきた。伝統料理を出すと意外にも喜ばれ、若い親には新鮮なようで、どうやって作るのかを聞かれることもある。
- ベジチェックは興味関心を引くのに効果的だと感じていて、1回きりでなく継続して測定ができるようにし、野菜摂取が習慣化するようにしてほしい。毎回の結果を継続して記録できる仕組みがあればよい。
- 例えばクリスマス会のような、各地域での活動の中で、調理実習とかDVD鑑賞とかで食育活動も行っている。
地産地消や食の循環・環境に配慮した食育の推進
- 米の値段は高くなったと言われるが、昨年までの価格だとほとんど儲けが出ていなかった。今ようやく生産コストに見合った価格になってきた。お米は種を植えればただ育つわけでなく、肥料費・農薬費・水道光熱費・燃料費と多くかかっていて、それに加えてさらに輸送費・小売店の利益とかかる。それら全てがかかってようやく安全安心なお米が消費者に届くことを理解いただきたいと、今PRを頑張っているところ。持続可能な農業のためにはコストに見合った収入が欠かせないので、生産者と消費者の相互理解のうえでの農業の継続に向けて取り組んでいきたい。
魅力ある食文化の継承
- 和食の料理人としては、魅力ある食文化の継承を行っていきたい。伝統料理がなぜ続いてきたのか。美味しいものを食べてもらいたい。
- 子どもたちに伝統料理を食べてもらうためにも、見栄えは大事な部分だと思うのでそこに力を入れていきたい。
- 食品製造業界からの食育では、富山県産の食材を使って伝統的な食品に加工して商品として出していくということをやっている。伝統的に良いものを良い形で伝えていくという意味では、今までの伝統食品の塩分とか野菜の量とかをアレンジして消費者に伝えていくのがよいのではないか。そのためには生産者、食品製造業者、食品加工業者、流通業者、さらに消費者まで含めたパートナーシップ、あるいは共通理念での教育も含めて、そういった総合的なプランの方に発展していくのがよいのではないか。
資料
第4期富山県食育推進計画の進捗状況の概要(PDF:857KB)