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更新日:2023年3月14日
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ねんだいのきめかた
厚く堆積する火山灰(立山町上段段丘)
古地磁気年代測定の試料採取
旧石器時代の石器が発見される地層は赤土となった火山灰土壌です。この土壌には、火山が噴火した時のテフラ(軽石、火砕流などの噴出物)が層になって堆積しています。このテフラの成分の組成を細かく調べると、どの火山からいつごろ噴出して堆積したものかを特定することができます。
この特定できるテフラを含む層は鍵層と呼ばれ、広域に降積もったものですから全国の旧石器群の時代判定の尺度となっています。例えば姶良丹沢火山灰(AT層)は約2万2千年前に鹿児島で噴火した時の火山灰ですし、大山倉吉火山灰(DKP)は現在の大山が約4万5千年前に噴火したもので、これらの火山灰は富山県でもみつかっています。旧石器が含まれる層とこれらの火山灰層を対比すればその石器の年代を知ることができます。富山県では、白岩藪ノ上遺跡や野沢遺跡などで火山灰分析が行われ。前者は3万年前、後者は2万年前と推定されています。
それでは今から何年前という実質年代はどうして計算できるのでしょうか。この方法として動・植物に含まれる放射性炭素が一定速度で減少していく原理を利用したC14法、黒曜石などに含まれるウラン238が自然核分裂し、その痕跡を計測するフイッション・トラック法、遺跡での磁気の方向や大きさを測定して年代を求める古地磁気年代測定法があります。
測定の名称 |
測定できる範囲 |
測定できる主な材料 |
測定方法 |
---|---|---|---|
炭素14(14C)法 | 0~6.5万年 | 有機物(貝,木片,骨など) | 生物に含まれる放射性炭素(14C)の量を測定 |
カリウム・アルゴン法 | 数10万年以上 | 火山灰,火山岩 | 岩石に含まれるカリウムの量を測定 |
フィッション・トラック法 | 数万~数億年 | 火山灰,黒曜石 | 鉱物に含まれるウラン(238U)の自然核分裂でできた傷跡を測定 |
熱ルミネッセンス法 | 0~10数万年 | 土器,焼土,火山灰 | 放射線を受けた鉱物が発する蛍光の量を測定 |
ウラン・トリウム法 | 0~30数万年 | 鍾乳石,貝殻,化石骨 | 骨などに含まれるウラン(234U)の量を測定 |
アミノ酸年代測定法 | 0~数百万年 | 化石骨 | 蛋白質の中のアミノ酸がラセミ体に変化した度合いを測定 |
黒曜石水和層年代測定法 | 0.1~2.5万年 | 黒曜石 | 風化によって表面にできた膜(水和層)の厚さを測定 |
古地磁気年代測定法 | 0~数億年 | 現地の焼土や地層 | 磁気を持った鉱物に残る磁気の強さや方向を測定 |
旧石器時代の年代を測る方法(岡村1990に加筆)
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