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更新日:2021年7月7日
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鷹栖口用水は、砺波市庄川町金屋付近を頂とする砺波平野扇状地の中央部に位置し、約1,000haの耕地を潤しています。また、この農業地帯には「カイニョ」とよばれる屋敷林に囲まれた家々が点在する「散居村」の美しい農村景観が広がっています。 一級河川庄川に設置された「庄川合口堰堤」から取水しているこの用水は、約37kmの水路を巡り、かんがいに利用され、その排水は小矢部川に流れ込んでいます。また、1年を通して通水されているこの用水は、防火、消融雪などの生活用水としても活用され、地域住民共有の大切な資産となっています。 |
あじさいが咲きほこる水辺 |
『金屋本江村長左衛門覚帳』によると、この地域の水不足を解消するため、明暦2年(1656)鷹栖口用水の掘削が開始され、延宝7年・徳川4代将軍家綱の時代に完成しました。 用水の完成後は取水堰の設置や補強工事、改修工事などが行われてきましたが、築造後長い年月が経過したことから施設の老朽化・脆弱化が目立ってきました。また近年は、都市化の進展に加えて、局地的なゲリラ豪雨や台風により河川・用排水路の増水が頻発しています。 これらの要因が重なって排水の流出形態が変化した結果、大雨のたびに水路から水が溢れ出すようになりました。その被害は田畑の冠水はもとより住宅地の浸水までへと及ぶようになったのです。 このため、さまざまな補修や修繕に取り組んできましたが、とりわけ平成元年から20年近い期間をかけた改修事業では、全国的にも稀な「浸透型洪水調整池」を併設した特色ある工事を完成させました。 鷹栖口用水は、これからもこうした地域の特色を活かした知恵や、住民の努力で守り続けられていきます。 |
農村景観を彩る桜並木 全国的にも稀な浸透型洪水調整池(砺波市神島地内) |
平成18年2月、鷹栖口用水は「全国疏水百選」に認定されました。これは、国土を守り、美しい田園を形作る農業用水(疏水)を次代に継承していくために、地域住民が一体となって保全管理している取り組みや、素晴らしい水辺環境施設が高い評価を受けたものです。
「疏水百選」認定記念の標柱は、「古上野のどんど」脇に建てられています。「古上野のどんど」では、毎年地域住民による「どんど祭り」が催され、人々の憩いの場となっています。
<古上野のどんど>
鷹栖口用水を掘削する際、下流の高い所へ用水を引くため、古上野に丸太を組んで堰をつくりました。この堰から落ちる水の音が「どんどどんど」と聞こえることから、この分水工は「古上野のどんど」として親しまれるようになりました。 |
古上野のどんど |
数百年にわたって営々と農業用水路が築かれてきた結果、砺波平野ではどこでも水を得ることができるようになりました。 地球規模で「水問題」が深刻化している今日、貴重な水資源としての農業用水の価値を再認識し、散居村の景観とともに次代に引き継いでいくことが求められています。 |
昔ながらの石積護岸が再生された出町六ヶ用水路脇の「しじみの里公園」で水とふれあう子どもたち(砺波市深江地内) |
鷹栖口用水守護所
かつて、庄川流域の地域は、この地に鎮座する雄神(おがみ)神社にちなんで「雄神の庄」と呼ばれていた。庄川は、「雄神の庄の川」と呼ばれており、それが「庄川」という呼称に変わっていった。鷹栖口用水守護所は、洪水や水不足に苦しんでいた村人たちを救うため、河の神である雄神や水利を司る神々への祈願と感謝をこめて、明治15年に建立された。昭和47年9月16日に再建されている。祭礼日は毎年4月14日。 |
鷹栖口用水守護所 (砺波市上中野地内) |
庄川合口堰堤(しょうがわごうくちえんてい) 砺波平野を流れる庄川に点在していた用水取入堰を 集約したかんがい・発電用の堰堤で、昭和14年完成。 平成16年に国の登録有形文化財として登録されている。 灌漑(かんがい) 農作物を育てるために必要な水を、 水路などを引くことによって外部から供給すること。 冠水(かんすい) 洪水などによって、田畑や作物が水をかぶること。 浸透型洪水調整池 従来の一時貯留型の調整池ではなく 入り込んだ水が地下へと浸透していくもの。 これにより、調整池を小さくおさえることができる。 |
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