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トップページ > 産業・しごと > 農林水産業 > 富山県農村環境創造基金ホームページ > カモ親子の農村日記 > 上条頭首工(上市町)
更新日:2021年2月24日
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立山町と上市町との境にある大辻山を源とし、富山市水橋地区で富山湾へ注ぐ白岩川。右岸の上市町と富山市の347haの水田を潤しているのが、上条頭首工です。
上条郷では、古墳群や住居跡、生簀跡等のほか全国初となる厚板状双六盤など出土品も数多く、奈良時代には東大寺荘園があったともいわれています。
当時の白岩川は、河道を大きく蛇行していたので、緩やかな勾配を持ち、流量も年間を通じて豊富なことから、水運が発達。大正期までは河口から約12kmの上流まで、舟運便が運航していました。米や加工品等の農産物は、水橋港から「北前船」で全国各地へ運ばれ、帰り荷として海産物や肥料等が各地から集まり大変賑わったといわれています。
上条郷のかんがい排水は、白岩川からの取水と一部上市町地域からの落水でした。干ばつ時には白岩川が減水するために水争いが絶えず、加賀藩では作地の相互交換、分水・分木の寸法等をその都度議定してきたとされています。1730年には四千石用水の取水と配水を公平に規定。上市町神田地内で水路を整備し、1736年から「上条用水」と称することとなりました。
明治34年(1901)、上条用水水利組合が設立され、7分水工・17用水の配水・維持管理など主要な役割を果たしてきました。
当時の白岩川からの取水方法は川床を掘り上げて石俵や蛇籠を積み、むしろ等で漏水を防ぐという方法だったため、大水時には流されてしまい、復旧に多くの労力を要しました。そこで昭和24年(1949)に白岩川を改修し、取水箇所に床止め横断コンクリート堰堤が築造されました。
昭和39年(1964)には「上条用水土地改良区」となり、昭和42年(1967)から「上条郷地区県営かんがい排水改良事業」に着工。懸案となっていた上条頭首工の整備、上条用水路・石割川排水路の改修が進められ、昭和48年(1973)に完成しました。
現在、用水は防火・生活用水など、地域に欠かせないものとなっており、その源となる頭首工や幹線用水路の適切な維持管理に努めているところです。また、老朽化がすすむ頭首工や用水路については、既存施設を活用しながら、基幹水利施設ストックマネジメント事業等で施設の長寿命化に取り組んでいます。
先人たちの苦労の結晶である土地改良施設を広く理解してもらうために、主に小学生を対象とした「施設見学会」を平成15年から毎年開催しています。併せて、田植えや稲刈り体験を通してお米の大切さを学んでもらう「田んぼの学校」、環境学習である「田んぼの生きもの調べ」などにも積極的に関わり、大切な資産を若い世代に引き継ぐ努力をしているところです。
また、土地改良区では、「次代へつなぐ」という明確なビジョンのもと、地域農業を守る担い手の育成にも力を注ぎ、「ほ場整備事業」を企画・立案しています。まだ計画段階ですが、北陸新幹線の車窓から、次代へつなぐ新しいほ場、美しい農村風景が見える日を夢みています。
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