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更新日:2022年5月2日
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(令和3年10月5日掲載)
コロナ禍で大きな打撃を受けながらも、個室に露天風呂を新設するなど、コロナ後を見越し新たな展開を図る宇奈月温泉の老舗旅館・延楽。「コロナ禍で接客業の喜びを改めて感じている」と語る専務取締役の濱田賢さんにお話を伺いました。
旅行者の価値観の変化を見越し
露天風呂付きの客室を増設
創業から80余年を誇る宇奈月温泉の老舗旅館・延楽。1937年、料理人だった初代が、「黒部の雄大な峡谷美を眺めながら料理を楽しんでもらいたい」と開いた旅館です。専務取締役の濱田賢さんは、「創業以来変わらず料理に最も力を入れ、純和風の佇まいを大切にしてきました」と話します。
富山の旬の厳選食材を中心にした目でも楽しめる料理の数々。
しかし、コロナ禍で観光客は減り、2020年5月には新型コロナウイルス感染拡大防止のため、宇奈月温泉一帯は約1カ月間の休業を余儀なくされました。2021年に入ってからは、宿泊客はコロナ前と比べて70%近く減少。宇奈月温泉の歴史に詳しい方によれば、世界大恐慌の頃に不況で休業したことはありましたが、これほど苦しい状況が長く続くというのは過去に例がないそうです。
文人墨客も多く訪れ、創業84年を迎えた『延楽』の濱田賢さん。
同旅館は2021年7月に館内をリニューアル。広めの個室6室を改修し、露天風呂を新設しました。「厳しい時期のリニューアルに躊躇がなかったわけではありません。しかし、コロナ後の旅行者の価値観を考えたとき、変わらないことへの恐怖感の方が強く、事業を続けていくために決断しました」と濱田さん。今後は、ロビーやロイヤルルームなどのリニューアルも予定しているそうです。
「コロナ前は、東京からのお客様が約7割。今は県内のお客様がほとんど。特にリピーターが多いのですが、中には初めて宇奈月温泉を訪れたという呉西のお客様もいらっしゃいました」。
露天風呂付きの個室は、大浴場での人との接触が避けられることもあって需要が高く、年配のご夫婦やファミリー層にも好評で、露天風呂付きの客室から順に予約が入っているといいます。
「当館の原点が料理旅館であることを踏まえ、以前からいずれは個人のお客様中心にシフトすべきと考えていました。それがコロナ禍で加速しました」と濱田さんは振り返ります。
新設した十和田石の露天風呂付き客室。このほか陶器浴槽の客室も。黒部峡谷に最も近い位置にあり、峡谷美が堪能できる。
リニューアルにあたり、事業再構築補助金をはじめ、国や県などのさまざまな補助金を活用しました。ウィズコロナを見据え、販路開拓や感染症対策などの意欲的な取組みを後押しする富山県中小企業リバイバル補助金も活用。「空気清浄機20台を購入し、リニューアルした露天風呂付き客室などに置きました」。
富山県中小企業リバイバル補助金を活用し購入した最新の空気清浄機。新設した露天風呂付き客室などに設置。
2023年に開湯100周年を迎える宇奈月温泉。2024年には、黒部峡谷と立山黒部アルペンルートを結ぶ新ルートが開通します。新ルートは黒部の雄大な自然と電源開発の歴史を体験できる貴重なスポットとして注目が集まっています。
濱田さんは、「新ルート開通も見据え、宇奈月温泉の観光ガイドレベルを上げるなど、ソフト面の強化も必要です。今ある資源を有効に活用しながら、地域の文化醸成にも取り組み、街全体、地域全体がより魅力的なスポットになるよう力を尽くしていきたいです」と意気込みを語ってくれました。
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