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トップページ > くらし・健康・教育 > 生活・税金 > 生活衛生 > MAKE TOYAMA STYLE > 現場レポート > Vol.32 和菓子の新たな文化をつくりたいと意気込む「松木菓子舗」の取組み
更新日:2022年5月2日
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(令和4年2月4日掲載)
コロナ禍で売り上げが激減する中で開発した新商品をきっかけに、客層が広がったという『松木菓子舗』。「和菓子の新たな文化をつくりたい」と意気込む三代目の松木功太さんにお話を伺いました。
ようかん×ツール・ド・フランス
和菓子の新たな文化を創造
氷見市で三代続く和菓子屋『松木菓子舗』は、2020年5月、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて10日間店を閉めました。冠婚葬祭での利用が売り上げの約8割を占めていたため、経営が厳しくなり、松木さんは、「もう店は無理かもしれない」と閉店も考えたといいます。
しかし、苦しい中で地域の人や友人から「大丈夫か」と声をかけてもらい、これまで多くの人に支えられてきたことを実感。「危機的状況でも和菓子屋としてできることがあるかもしれないと、周囲の支えに光を感じました」と振り返ります。
1949年創業の『松木菓子舗』。お話を伺った三代目の松木功太さん。
そんな中で開発した新商品が、「CYCLEようかん」。自転車に乗るときに手軽に栄養補給ができる一口サイズのようかんです。
富山湾は、「世界で最も美しい湾クラブ」に加盟しており、氷見市から朝日町まで全長約102kmの「富山湾岸サイクリングコース」は、富山湾を眺めながら湾岸沿いに富山県を横断するコースとして注目を集めています。松木さんは、「氷見には自転車乗りが多く、母校の氷見高校には自転車競技部があり、競輪選手になった同級生もいます。コロナ禍でも自転車に乗って気晴らしはできると思い、補給食としての和菓子を作ろうと考えました」と話します。
絶景が楽しめる富山湾岸サイクリングコース。
松木さんは、「山登りやスポーツの合間に和菓子がいいと伺ったことがあり、植物性で糖分の吸収がゆるやかなようかんを自転車乗りの補給食にしてもらいたい」と商品開発を始めました。
参考にしたのは、父や祖父が残してくれた数冊のノートです。同店で引き菓子として作っていたようかんのレシピを元に、試行錯誤しながら約3ヵ月というスピードで商品化にこぎつけました。
長時間自転車に乗るとミネラル不足で足がつることがあると聞き、後を引く味わいの富山の海洋深層水の塩を使い、塩分を従来より多めにし、自転車に乗りながら食べることを考え、喉に詰まらないようやわらかく仕上げました。糖度を1度ずつ調整したり、実際に自転車に乗って食べてみたりと、周囲の協力を得ながら何度も改良を重ねたといいます。
氷見高校の自転車競技部の部員たちにも食べてもらいました。3年生は、コロナ禍で大会の出場機会がないまま部活引退を迎える頃で、松木さんは、「みんなが落ち込んでいる時期だったこともあり、すごく喜んでもらい、作って良かったと思いました」と話します。
パッケージは、「どうせなら自転車の世界最高峰を目指そう」と、世界最大の自転車ロードレースであるツール・ド・フランスをイメージ。同レースで賞をとった選手が着用する4種類のカラフルなジャージをモチーフにしました。
サイクルジャージのポケットにも入るようなサイズ感にこだわった「CYCLEようかん」。
最初は、ようかんを小さな袋にひとつずつ手作業で充填していましたが、販路開拓や感染症対策などの意欲的な取組みを後押しする富山県中小企業リバイバル補助金を活用し、ようかん充填機を購入しました。
富山県中小企業リバイバル補助金を活用して購入した、ようかんを小袋に充填する機械。
「発売当初は、『ようかんと自転車?』とびっくりされることが多かったのですが、「CYCLEようかん」をきっかけに、『ようかんを食べてみよう』というお客さんが増えました」と笑顔を見せる松木さん。「新しいお菓子を考えるのが一番おもしろいところ。ずっとここで店を続け、地域に愛される店になりたいです。お菓子は人と人をつなぐもの。お菓子を食べてみんな笑顔になってほしいですね」と和菓子づくりに取組んでいます。
「氷見の海や山の幸のおいしさを伝えたい」と、同店では、できるだけ氷見の食材を使用しているという。
松木さんは、「コロナ禍が和菓子の在り方を見つめ直すきっかけになりました。和菓子は文化です。その文化の中にいる者として、“ようかんと自転車”の組み合わせのように、最初は戸惑いがあっても、それがいつか当たり前になるような新しい和菓子文化をつくっていきたいです。いろんな場面で和菓子っていいなと見直される機会が増えるといいですね」と抱負を語ってくれました。
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