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更新日:2021年4月1日
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この展覧会は、世界にも希な鉄の文化を誇る、我が国独特の美意識により創造された日本刀の世界を、二部構成で紹介するものです。
「五ケ伝」とは、名工や刀工集団を輩出した、山城・大和・美濃・相州・備前の五つの主生産地とその鍛錬方法を指します。これら五つの産地では、平安時代中期から室町時代末期に至るまで、他の地域を圧倒する高い技術で歴史に名の残る名刀を生み出してきました。各産地には独自の特色があり、江戸時代以降、現代に至るまで多くの刀工達が「五ケ伝」のいずれかを手本として刀作りをしています。
また、これらの産地から派生した越中国は鎌倉時代末期から中堅刀剣産地として繁栄してきました。名工正宗の兄弟子である『則重』や正宗の門人で天下三作の一人に数えられ最高位の刀工である『江義弘(ごうよしひろ)』をはじめ、大和国から移住した『宇田派(うだは)』の活躍はめざましいものがあります。
本展では、刀剣の本場「五ケ伝」の名刀の実力を紹介すると共に、これらに引けを取らない実力を持つ富山ゆかりの刀剣を紹介し、越中富山が生んだ刀工を知っていただき、郷土の偉大な先人たちに対する理解を深めていただきたいと存じます。
[特別重要刀剣]太刀・銘「来国次」
[重要美術品]太刀・銘「大和則長」
[特別重要刀剣]太刀・銘「重久」
[特別重要刀剣]太刀・銘「則長」
[重要美術品]太刀・銘「宇多国房」
数ある刀剣のなかでも古来有名なもので、徳川幕府八代将軍吉宗の命により、本阿弥家十三代光忠(こうちゅう)が古作名物を調査し、享保(きょうほう)4(1719)年に「享保名物帳」としてまとめたものを「名物」と呼びます。しかし、それ以前の室町時代に、すでに刀剣に名物という称号が用いられることが明確に意識されており、新興武士・戦国大名らは、「名物」の莵集に力を尽くしていました。それは、名物刀剣を所有することが武将の誉れであり、さらに新興武家にとっては、それこそが家の格式を確固たるものにする象徴だったからです。
本展は、このような「名物刀剣」の発生から展開、評価の定着という流れを明らかにし、日本刀の歴史的研究と鑑賞への一助とすることを目的に開催します。国宝9件、重要文化財22件、重要美術品3件を含む、50件を一堂に展示し、日本独特の美意識によって創造された日本刀をもとに、日本の歴史をあらためて考える場としたいと思います。
[国宝]短刀・銘「吉光」名物・後藤藤四郎/徳川美術館蔵
[国宝]短刀・無銘「正宗」名物・日向正宗/三井記念美術館蔵
[重要文化財]脇指「来国光」名物・新身来国光
[重要文化財]刀・銘「義弘」名物・五月雨江/徳川美術館蔵
[国宝]太刀・銘「長光」伝・織田信長所持・名物・津田遠江長光/徳川美術館蔵
掲載図版の無断転用・転載を禁じます。
出品目録(第一部・第二部共通)(PDF:726KB)
(第一部No.31・短刀・銘「宇多国光」は事情により出品されません)
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