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更新日:2021年3月29日
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下保昭が本格的に水墨画を描きはじめるのは、日展を脱退する少し前からであり、日展脱退という試練を経た後の作品には、生きることへの潔さと気合のようなものが漂いはじめます。
近年の「日本の山水」シリーズに見られる特色は、華厳の滝や立山や黒部峡谷などを題材とした作品に見られる気韻の高さであり、人に媚びず自分にも媚びない精神の高さである。これらの作品から感じられるのは、微妙な四季のうつろいに心を託する日本人のあえやかな感性というよりは、四季の変化の奥にある悠久とした不変の時の流れの実相を見つめている、下保昭の冷ややかな熱情とでもいったものです。
近年の下保昭は、<愛>や<孤独>や<郷愁>などといったものを意図的に排除し、日ごろ私たちが口にしている美そのものをも頑なに拒絶しているようにすら感じられます。今、下保昭によって、近代水墨画の歴史に新たな1ページが着実に開かれていくような、そんな予感がします。
紫気東來(三幅対)
平成11年
作家蔵
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